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懐かしい昭和の香りのする街を歩きながら、不思議な世界へタイムスリップした。
まるで、落書きされた板塀の路地裏に迷い込んだみたいだった。
季節の花を愛でながら、猫に案内されて歩いた路地裏をぬけて
たどり着いたのはあの坂道…そして、

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待っていたのは、あのお店、見た目はとっても古びてるけれど…

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10年も、待たせちゃったけれど…開いているだろうか?
壁にかかった看板も、色あせてしまった。

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出窓に飾られた花は野の花…出窓の下に咲いた花も白いどくだみの花…

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そして、今日、その扉を開けることを運命付けられていたかのように
“カフェ 夏への扉” の、扉は開いていた。

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お待ちしておりましたよ。さぁ、どうぞ… と、言うように。

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わたしは、とってもドキドキしていた。10年も前に見かけて、入ってみたいと思っていたお店。
その時は、まだ、早朝だったから、扉は開いていなかった。
その時も、古めかしい外観から、「もしかしたら、もう、やっていないのかも?」と思ったし、今回も、お店がやっているという確信は何も無かったけれど…
確かに今、夏への扉は開かれていたのだった。

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わたしは、勇気をだして、その小さな扉の中に一歩足を踏み入れた。
わぁ~♪わたしは、ちいさくつぶやいた。
心地よいジャズの音色がピカピカに磨かれた木の床の上でスイングしていた…
開け放たれた窓からは、ちょっと懐かしい夏の匂いの風が吹き込んでいた。

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『いらっしゃいませ。お好きなお席へどうぞ』 奥から現われたマスターが、笑顔で迎えてくれた。
想像していたとおりの優しげな人だった。
この店はご夫婦で営んでいらっしゃるようだ。奥様も清楚でかわいらしい方だった。

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コーヒーミルかしら?古めかしくて味がある…。

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わたしはちょっと迷ったが、一番奥まった小さなスペースが、ちょっと個室みたいな、なんとも素敵なテーブルを選んで座った。
お店は高台になっていたので、窓の下を、青梅線の線路が走っていた。

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席に着くとわたしは、棚に積んである写真集を手にとって、パラパラとめくった。
ノスタルジックなジャズの音色と、ジャズノートな女性ボーカルの歌声が、この場所の雰囲気に凄くマッチしていて、ああ、なんて素敵な時間なんだろう…

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開け放した窓からは、時折、下を走る電車の音がガタン、ゴトンと、何だか懐かしい音を建てて過ぎてゆく。そして、その度に、お店も一緒に、ガタンゴトンと揺れる。
まるで、寝台列車のビュッフェにいるような錯覚に陥った。わたしは懐かしくて思わず目を閉じる…
そう、昔は、夜行寝台列車なんてあったなぁ。高校を卒業した年の夏、友人と東北旅行に出かけた。
その時乗った列車は、“上野発の夜行列車”だった。
いっぱいのキラキラした夢を握り締め、揺れる車窓で流れ行く景色を眺めていた。
あの時も、こうして、ガタン・ゴトンと揺れていたのだった。

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書棚には、“夏への扉” の文庫本があった。
わたしは、思い切って奥様に聞いてみた。「お店の名前は、この本からとったのですか?」
すると、奥様はにこやかに、『ええ、そうなんですよ。お読みになったことありますか?』と答えたのだった。
わたしは、「やっぱりそうなんですか。とっても素敵な名前で、いつか来てみたいと思っていたんですよ。思っていた通りの素敵なお店ですね。」と言った。そして、本はまだ、読み始めたばかりなんですよ。と付け加えたのだった。

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ちょうど、お昼時だったので、スバイシーカレーと、コーヒーを注文した。
フルーツがたくさん入っているような甘いカレーに、ピリリとスパイスが効いていて、甘くて辛い不思議なカレーで、とっても美味しかった!もちろん、コーヒーは絶品の美味しさだった。

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素敵なジャズを聴きながら、落ち着ける空間でくつろいでいると、遠い日々に、ここで夢や恋を語り合った若者たちがいたのじゃないかと思ったりした。
そして、ふと、加藤登紀子さんのこの歌を思い出していた。ジャズと言うよりはシャンソンかな?

    時には昔の話をしようか / 加藤登紀子
 
  通いなれた 馴染みのあの店
  マロニエの並木が 窓辺に見えてた
  コーヒーを一杯で一日
  見えない明日を むやみに探して
  誰もが希望を託した
  揺れていた時代の 熱い風に吹かれて
  体中で瞬間(トキ)を感じた そうだね

  一枚残った写真をご覧よ
  ひげづらの男は 君だね
  どこに居るのか 今ではわからない
  友達も何人かいるけど
  あの日の全てが 空しいものだと
  それは誰にも言えない
  今でも同じように 見果てぬ夢を描いて
  走り続けているよね どこかで

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10年前のわたしが見つけた、素敵なお店に、やっと出逢えた。

世のなべての猫好きにこの本を捧げる…
著者(ロバート・ア・ハインライン)のこんな言葉で『夏への扉』は始まる
2009年6月18日 わたしはついに、夏への扉を開けたのだった。
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2009.08.09 Sun l 小さな旅 l COM(8) TB(0) l top ▲

正式名を「昭和商品レトロ博物館」と言います。
下手な写真ですが、いっぱい撮ったので、もう少し貼ってみましょうか…
昭和レトロ特別編です…(^_^;)

こんな筆箱、使いましたよね。像が踏んでも壊れない…なんてCM,ありましたよね。
鉛筆削りも懐かしいです。

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12色や21色の色鉛筆。付けペンの青いインクや黒いインク。

陽水の“心模様”のこんなフレーズ、思い出しませんか?

  さみしさのつれづれに 手紙をしたためています あなたに
  黒いインクがきれいでしょう。 青い便箋がかなしいでしょう…

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昆虫採集セット。分度器。クレヨン。そろばん。

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折りたたみ式ナイフ。彫刻刀。磁石。石の標本セット。ありましたね~(*^_^*)

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こちらは、アルマイトのお弁当箱、比較的、新しいキャラクターですね。

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メンコに、牛乳瓶のふた、ベーゴマ、この当たりは男の子たちの宝物ですね。

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将棋に、消しゴム、コミック本。

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ぬりえやビー玉、レコードプレーヤー。

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抱っこちゃん人形、フラフープに夢中になったのは、幼稚園の頃だったかな?

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小学校から帰ると、ランドセルを置いて駆けていった。
駄菓子屋さんは、子どもたちの社交場だった。そこに、こんな不思議な小人さんがいた。
ほしくてたまらなくて、買って帰ったことを思い出す。タバコをくわえさせると、確かパイプから、輪になった煙が、浮かんだと思う。。。不思議だったなぁ。

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そうそう、お使いを頼まれて、カレールーを買いに行ったこともあったっけ。懐かしいパッケージ。

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木の牛乳箱、チリリリンと、牛乳屋さんがやってきて、カチャカチャと牛乳を配ってくれた。
それを毎朝取りにいったっけなぁ・・・

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サイダーやジュースや、ラムネ、缶詰もこんなのあったなぁ。

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いかがでした?ほら、あなたも懐かしくてたまらなくなったでしょ?

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足踏みミシンに

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黒電話・・・

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そうそう、レトロ館の2階には、「雪女」の部屋があります。
靴を脱いで、ギシギシと軋む狭い木の階段を上って行くと…
畳の部屋が現れます。そして、雪女の人形が…怖い!!お化け屋敷の世界です。
部屋の壁には雪女伝説が書き記されています。
怪談「雪女」を書いた、ラッカディオ・ハーンは、この青梅の地に住んでいたそうです。そして、そこで聞いた「雪女」の民話を元に、書いたのだそうです。
ラッカディオ・ハーンの息子さんのお話など書かれていて、とても興味が湧きました。
雪女の民話は、雪深い東北とかの民話だと思い込んでいたけれど、もしかしたら奥多摩で語り継がれていたのかもしれない…なかなか面白いと思いませんか?
もし、昭和レトロ館を訪れた方がいらっしゃいましたら、ぜひ、2階の部屋にも寄ってみてください。でも、一人だと、怖いかも…

さて、特別編は、このくらいにして(^_^)

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面白い形の電話ボックスのすぐ側の、細い路地を曲がってみると、

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ここは、猫の街、青梅。「ねこかいぐり公園」という、小さな公園に出逢う。

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古い写真館、木造の洗濯屋さん。ドクダミの白い花や夏色のは花咲く裏道を散策してゆく。

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紫のテッセンの咲くお庭

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ヒメシャラの美しい花…

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ムラサキツユクサも雫を浮かべて…

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もう咲いていた、萩の花

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ナンテンの白い花

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色ずき始めたばかりの紫陽花・・・綺麗

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大きなお寺が現れて

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お地蔵さんが、ひっそりと…

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アジサイの大きな花が揺れて、電車がゴトゴトと通り過ぎる。

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単線の線路がどこまでも続く。

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綺麗な芙蓉の花、形がとっても珍しい

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白い紫陽花が咲く、お宅…

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蔦も緑に…

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花を愛で、古い町並みを愛で、わたしは、路地裏を歩いていく。
道案内をしてくれたのは、この猫だった。

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またまた長くなりました。次回は、夏への扉 4へと続きます。
2009.08.08 Sat l 小さな旅 l COM(3) TB(0) l top ▲
♪  春よ、遠い春よ
   まぶた閉じればそこに
   夢をくれし君の 懐かしい声がする…

ユーミンの古い歌を口づさみつつ、春浅い秩父路をアイリスと歩いた。
荒川の道の駅に車を止めて、果樹園や畑の中の小道を辿りミズバショウ園へと向かう。
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まず最初に飛び出してくれたのは、ジョビコだった。民家の庭先を飛び回って盛んに尻尾をパタパタさせながら、「ココダヨ…」と言わんばかりに、小枝の影からこちらを覗いている。
本当に、あなたは、なんて愛らしいのかしら…

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畑の紅梅を愛でていたら、今度はツグミたち。スタコラサッサという感じで里道を走り抜けては
立ち止まり、姿勢を正してあたりをキョロキョロと見回す。
そんな姿が何か物思いにふけっているようで、賢そうにみえる。
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穏やかな冬日の中に、何かの花ガラが、透き通るよなセピア色に輝いていて、綺麗だなぁと思ってカメラを向けていた。ファインダーの向こうから、枯れたその花に、何か話しかけられた気がしてわたしは目が離せない…
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すると、アイリスが、弾んだ声を押し殺して、わたしを呼ぶ。
『おかあさん、大きな鳥がいる!なに?あの鳥?』
慌てて、アイリスが指差す茶畑の方を見ると、ゆったりとした足取りで歩いてゆく鳥がいる。
キジのメス?かなと思って双眼鏡を覗いたら、なんとヤマドリだった。
「すごい!アイリス。ヤマドリよ!早く双眼鏡で見てごらん」と言ったけれど、もうアイリスはしっかり双眼鏡で覗いていた(^_^;)
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『え?ヤマドリっていうのは、鳥の名前なの?それとも山にいる鳥ってこと?』と、アイリスは面白いことを言っている。わたしは、笑いながら「ヤマドリって言う名前の鳥よ。」と答えた。
「すごーい!なんて綺麗な羽なの!茶畑の中にいっぱいいるね。ああ、みんな隠れちゃった』
わたしも始めて見れたので、とてもうれしかった。空には穏やかな雲がぽっかり。
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ミズバショウ園は、少し葉が伸びていたけれど、まだ、この間と変わり映えしなかった。
やっぱり花が咲くのはもう少し先なのかもしれない。
静かな山間の谷戸は、雪を湛えて静まり返っていて、木道の上を辿るのは、わたしたち二人だけだった。
『わたし、フクロウかと思ったわ。』と、アイリスは、今しがた白い羽の大きな鳥が、森の中に降りてゆくのを見たと言った。羽の先が指のように割れていたと言う。ちょうど、写真を撮っていて、わたしは見損なってしまったけれど、「オオタカかも知れないと思った。
すると、急に辺りが賑やかになり、シジュウカラやエナガの群れが、やってきた。
ホオジロたちは、我れ先にと、枯れ草の中から次々と面白いように飛び立つ。
いったい何羽のホオジロがこの草原にいたのかしらね?
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ハス園は、やっぱり静かに水を湛えていた。ただ、この間と少し違うのは、花ガラが、いくつも取れて水に浮かんでいたことだろう。
吹き寄せる春の匂いを乗せた風が、小さな帆を立てた小舟を滑らせるように運んでいった。
花ガラは、寄り添いあうように水面を揺れ動いていた。
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「小人の三角帽子みたいで、かわいいね~♪くるくる回りながら漂ってるわ。まるで小さな舟のようだわ」と、わたしが言いながら写真を撮っていたら、
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『わたしは、ドレスを着た妖精のようだと思ったわ。ほら、踊っているみたいでしょ!』と、言いながら、アイリスもカメラを向けていた。
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photo by Airis
「ほんとネ!アイリスの発想のほうが、素敵ね。ふんわりとドレスの裾を広げて踊っているようだわ…妖精たちの舞踏会ネ(*^。^*)」
散ってすがれた花ガラだけれど、それを、妖精たちに見ているアイリスの心根が美しいなと思った。(親ばかだけど…)(^_^;)

『あら?氷の上に氷がある。どうやって凍ったのかしら?』アイリスが不思議なものを見つけたのだ。
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「ほんと、アイスアイランドって感じね」
『分かった、溶け残った氷の下に、新しい氷が張ったんじゃない?』
「うんうん、なるほど、そうかも知れないね!」などと、おしゃべりしながら歩いた。
遠くに武甲山も眺められる里山は、穏やかな春もよいだった。
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photo by Airis
さて、名物のお蕎麦で、お昼を済ませ、ここから、一路、両神にあるセツブンソウの自生地へと車を走らせたが、何だかにわかに雪雲が広がり、太陽を隠してしまった。
セツブンソウの自生地に着いたら、1台の車が駐車場に止まっているだけだった。
セツブンソウ園地の前には、地元のおばあちゃんたちがお店を出していた。
「こんにちわ、入園料は?」と、尋ねると、『今日は、まだ、いらないですよ。どうぞ』と言って中に入れてくれた。
それもそのはず、まだ、セツブンソウは、影も形も無くて、雑木林の中は一面枯れ葉の斜面だった。
去年、まるで雪のように咲いた、春の妖精のような花たちをアイリスに見せてあげたかったのだけれど、ちょっと早かったようだった。
ちょうど、先客の人たちが帰るところで、挨拶をしたら、にこやかに『この先に、ほんの少しだけ咲いていましたよ』と教えてくれた。
さっきまでのお天気はどこへやら、急に冷たい風が吹き始め、小さな粒の霰が降り始めた。
「お天気が悪くなってきたから、手分けして探そうか?お母さんは上の道を探すから、アイリスは下の道を探してね」
わたしたちは、遊歩道を二手に分かれて足元に積った枯葉を踏みながら、セツブンソウを探した。
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しばらくすると、『おかあさん、ここに咲いてるよ~!』と、アイリスの呼ぶ声が聞こえた。
振り返って下を見ると、吹き始めた突風が、ザァ~っと、落ち葉をさらって、波のようにアイリスのいる場所へと流れていくのが見えた。アイリスを包み込んでしまうように定まり無く流れゆく落ち葉たち。
「まるで、枯葉の海に彷徨ってるみたいだわ…」と、わたしは、独り言を呟きながら、アイリスの元へと下りていった。
「わぁ、何て健気なのかしら…」 『花たちは目を覚ましたけれど、こんなに寒いなんて…って、きっと驚いてるでしょうね』
たった1輪でも、2輪でも、咲いていてくれて嬉しかったけれど、きっと凍えてしまいそうで、かわいそうだった。「負けずに、がんばって咲いてね…」わたしたちは、まるで、雪の結晶で出来てるような小さな春の精に、そっと別れを告げたのだった。
『おかあさん、わたしが元気になったら、また、連れてきてあげるよ。』と、アイリスは言った。
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荒れ模様のお天気だけれど、せっかく来たのだからと、もう一ヶ所、四阿屋山中腹にある蝋梅とフクジュソウ園に行ってみる事にした。車はどんどん林道を登って、かなりの標高のところにある駐車場に着いた。
ここから車を降りて200メートルほど歩いていく。下のセツブンソウ園では霰だったけれど、こちらはすでに山の中なので、小雪になって辺りが白く霞むほどになった。
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芳しい香で咲き競う蝋梅にも小雪が舞い落ちる。
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フクジュソウにも雪がかすかに積り始める。
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風情があるなぁ…
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『ねぇ、おかあさん。丸いガラス玉の中に、水と砂みたいな白い粒が入っていて、ひっくり返すと、まるで雪が降っているように沈む置物があるじゃない。ほら、中にクリスマスツリーとかが入っている…まるで、その中に入っているみたいだと思わない。』と、アイリスが言った。
「うん、分かるよ。ちょうど、一面にふわふわと舞うような降り具合と、雪の密度が似てるよね」
アイリスの発想は、キラキラと純粋に輝いていて、わたしには、思いも寄らなかった事を気付かせてくれる。
娘とのこんな時間が、とってもいとおしい…
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雪が降り出したので、疎らだった人影も途絶え始めた。さあ、わたしたちも帰ろうかと、思った時、何かが、梢に舞い降りた。何だろうと、双眼鏡で見たらシメだった。
そして、それを皮切りに次々と鳥たちが姿を見せ始めたのだった。
シメの後にやってきたのは、黒い頭に大きな黄色のくちばし、ほんのりとピンクがかったベージュ色の胸をした小鳥。シメより少し大柄で、鋭い眼光…「ああ!イカルだ~!」わたしは、驚いてそう叫んでいた。『ええ?これがイカルなの!凄い、迫力ある顔してる!』アイリスも嬉しそうに叫んだ。
そして、その後、今度は、込み入った枝の上に、やはり少し大きめな鳥がやってきた。
また、イカルかなと思ってみたけれど、違う。イカルよりずっと紅い胸や体の色、羽の黒い模様、ベニマシコ?いいえ、オオマシコに違いないと思った。
以前、奥多摩の標高1000メートル以上の山の上で見た事があったけれど、この場所も同じくらいの標高だと思うので、可能性はあると思う。
「凄いよ!アイリス。枝が少し邪魔してるけれど、オオマシコだと思うわ。胸や頭が赤いのが分かる?くちばしも太くて短いでしょう?一生懸命花芽を食べてるわ。」
足元では、シロハラが一生懸命、落ち葉をひっくり返しているし、シジュウカラも、ジョウビタキもやってきた。
最後には、レンガ色の小鳥、アトリもやってきた。アイリスにとっては、始めてみる野鳥ばっかりだった。『たくさん鳥が見れて、わたしは、とっても満足だったわ♪』「雪の中粘ったかいがあったというものね」
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(シルエットだけだけど)
二人で夢中になっているうちに、いつの間にか雪が止んで、頭上には綺麗な青空が広がっていた。周りにはもう誰もいない。「凄い、サプライズだったね!」『うん、わたしたちだけ(笑)もう、4時になっちゃったから、帰ろう…』
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帰り道、武甲山が、真っ白に雪化粧していることに気づいた。
「見て!山の上ではきっと凄く雪が降ったんだわ。さっきはほとんど雪が無かったのにあんなに、真っ白に積っているわ。」
『おかあさん、山の稜線を見て、雪煙が上がってるよ!』
「ほんと、きっと凄い風が吹いてるんだろうね。寒そう…。何だかスイスの山でも見てるみたいだわ…スイスの山を見たこと無いけれどね(笑)」
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『あっ!トビが飛んでる。気持ち良さそう…鷹じゃないけど、鷹みたい。武甲山は、富士山みたいだし、一富士、二鷹、三なすび、なんてね。』と、アイリス。
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「え?なすびは?…わたしたち、ふたり?」と、わたし。
『うん、それっぽいでしょ(^_^;)』と、アイリスはハンドルを握りながら笑った。
そして、最後の最後に、もうひとつのサプライズ。
アイリスの手術の成功を願うために立ち寄った白髭神社の石段を降りてきたら、河原に降りる白い翼をアイリスが見つけた。急いで河原を見ようと走り寄ったら、一羽のアオサギが、羽を休めたところだった。
『今日は、最高!』見たかったアオサギに逢えて、アイリスは、感動したように、瞳を輝かせたのだった。
2008.02.23 Sat l 小さな旅 l COM(4) TB(0) l top ▲