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チャークは、アイリスが、15歳の時、自分のお小遣いを貯めて買ってきたミニウサギだった。
手のひらに乗るくらいの小さなウサギ…耳も短めで、愛らしい黒い瞳に柔らかな鼻先、短い手、
茶色と黒と白の三色の模様が、何だか三毛猫のような感じのする、とってもかわいいウサギだった。

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あれから、8年余り、ミニウサギの面影は無いくらい大きくなったけど、物言わず鳴かない動物だけれど、わたしたちに懐いてくれていた。そして、その愛らしい仕草はわたしたちを癒してくれていた。
『ここ最近、あまり餌を食べないの…だから、新しい餌を買ってきたけれどやっぱり食べない』と。
アイリスは心配していた。わたしは、なんとなく、チャークは、かなり年を取ったような気がしていた。

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アイリスは、入院する朝、いつものようにチャークに話しかけながら、水と餌を与えていた。
『おかあさん、わたしが帰ってくるまで、チャークのことをお願いします。餌を食べてなかったら新しいのに交換してやってね。水は毎日新しくしてやってください。よろしくお願いします。』
アイリスは、そんな風に言い残して家を出た。

わたしは、アイリスに付き添い、一日中病院にいた。
翌日の手術に備えてアイリスは不安な面持ちでいっぱいだったから、面会時間のぎりぎりまで側にいて、夜8時過ぎに家に帰り着いた。
家に着くとすぐに、いつもの癖でウサギ小屋を覗く。すぐに飛んでくるはずのチャークは…
すでに、冷たくなって横たわっていた。
「チャーク、チャーク…」名前を呼んでさすったけれど、チャークは二度と目を開けなかった。

「チャーク、おまえは、アイリスの身代わりになってくれたの?」思わず、そんな言葉が零れた。
とても寒い晩だったから、力尽きてしまったのだろう。誰にも知られずにひっそりと…
そう思うと可哀想でたまらなくなって、涙がぽろぽろ零れてしかたなかった。
アイリスのことに夢中で、チャークのことをかまってやれなかった。「ごめんね。チャーク…」

可愛がっていた動物が主人に何かある時は身代わりなって亡くなるという話を聞いたことがある。
もし、チャークがアイリスの入院する日の前に亡くなってしまったら、アイリスは悲しみに打ちひしがれてしまうだろ。
そう思うと、チャークは何かを感じていて、アイリスの事を見送るまでは生きていてくれたような気がする。
そして、自分の命と引き換えにアイリスを守ってくれたような気がしてならなかった。
そうとしか思えないようなタイミングなのだった。

アイリスの手術は、開胸しないですむけれど、足の動脈と静脈から2本、首の静脈から1本の三本のカテーテルを挿入し、レントゲンを当てながら心臓に出来た不要な回路のケントソクというものを探しながらレーザー光線で焼ききるという高度な熟練された技術を持った医師でなければ難しいと言われる特殊な手術だった。
アイリスの場合も当初1つだと言われていたケントソクが3個見つかり、それを焼き切るのに時間がかかってしまったのだった。

手術が上手くいくことを信じていたが、成功と言う言葉を医師から聞くまでは、手術室の外で藁をもつかむ思いでいた。
担当医の先生が、手術室から飛び出してきて、『○○さん、お待たせしましたが成功しました。』と言われた時は、思わず涙が溢れて、急に力が抜けてその場にしゃがみこんでしまった。

そして、チャークに祈った。『チャーク、アイリスを守ってくれてありがとう…』

アイリスには、まだ、チャークの死を知らせていない。悲しむだろうと思うと、とても辛い。
アイリスには、チャークが手術の前日に亡くなった事は言わないほうがいいだろうと思った。
でも、どう話したらいいのだろう…
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2008.02.29 Fri l 日々の想い l COM(2) TB(0) l top ▲
娘のアイリスの心臓の手術が成功しました。
3時間~4時間の予定でしたが、予想に反して、患部が3ヶ所あって、思った以上に時間がかかり、2時から7時まで掛かってしまいました。
5時間の大きな手術になってしまいましたが、アイリスは良く頑張りました。
主治医の先生にも大変お世話になりました。
そして、ご心配してくださったみなさん、ありがとうございましたm(__)m
今夜は、お礼とご報告をさせていただきます。

冬の終わりに、新しい春の風が吹きました。
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2008.02.28 Thu l 日々の想い l COM(6) TB(0) l top ▲
最近のわたしのお気に入り…

サンドベージュ色のロングTシャツ
シルバーグレーの薄手のカーディガン
紫がかったブルーグレーのざっくりと編み上げたセーター
シンプルな黒のタートル
インディゴブルーのブーツカットジーンズ

細いレースをパイピングしてあしらった白いブラウス
黒いウールのフレアースカート
ちょっとおしゃれした日の白いカシミアのコート

オフホワイトのロングマフラー
インドの雑貨店で見つけた、エスニックな感じのニットの帽子
Rちゃんに貰ったグレーの毛糸の手袋
そして、水色のクリスタルのネックレス

洋服や小物を選ぶのって大好きだけれど、ブランド物はあまり興味がない。
だからみんな高いものじゃないけれど…

お気に入りを着て「似合うよ」って、褒められた日は、なんだかしあわせなの(^_^)
そんなオンナごころ…いつまでも持っていたいなぁと思う…

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2008.02.26 Tue l 日々の想い l COM(0) TB(0) l top ▲
雪の森で、雪遊びをした。
楽しかったね。チラチラと舞いだした雪もへっちゃらではしゃいでいたね。
白くまばゆい森の中で、小鳥たちのさえずりが、歌うように流れて、
積った雪面に陽射しが零れて、チラチラと七色の光が遊んでいた。

森は一面の銀世界だったけれど、どこかしら春の匂いがしていた。
雪は、まろやかに次の季節をそっと包んでいたのかもしれない。
厚く積った雪の下で、せせらぎは密やかに目を覚まし、
木の芽も花の蕾も、春の訪れを待っている。

春は、冬の中から生まれてくるものなんだね。
あの日、きっと、わたしたちは、冬と春の間にいたのね。


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2008.02.25 Mon l 山と森 l COM(0) TB(0) l top ▲
夕べから、大荒れの天気。
凄い突風がびゅんびゅんと音を立てて吹いていて、空は、茶色の土埃に煙っている。
洗濯物も、外に干せないほど、我が家の周りはひどいものだった。
換気扇から、逆流して入り込んでくる風が、畑の土も一緒に持ってくるものだから、家の中もザラザラ…お掃除が大変だ。春一番なのかな?
こうして、寒気と強い風が、吹き始めると、だんだんと春がやってくるような気がする。

昔から、風が吹くと、わたしは髪を切りたくなる…
午後から少し収まってきそうだったので、アイリスを誘って美容院へ行った。
シャンプーをしてもらうのって気持ちがいい。
そして、美容師さんの、白いしなやかな指先が、髪の束を挟んで、しゃきしゃきと銀色のハサミを動かしながら、カットしてくれるのも好きだった。

そんなに長さは変わらないけれど、少しシャギーを入れて、毛先を軽くしてもらった。
そっと手グシを入れると、羽のようにしなやかで軽い…
なんだか、春が来たような気がした。
ヘアスタイルが決まると、何となく嬉しくなるものだった。
たまには、こんな風に、自分のためにかける時間って、好きだなぁ。

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2008.02.24 Sun l 日々の想い l COM(0) TB(0) l top ▲
♪  春よ、遠い春よ
   まぶた閉じればそこに
   夢をくれし君の 懐かしい声がする…

ユーミンの古い歌を口づさみつつ、春浅い秩父路をアイリスと歩いた。
荒川の道の駅に車を止めて、果樹園や畑の中の小道を辿りミズバショウ園へと向かう。
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まず最初に飛び出してくれたのは、ジョビコだった。民家の庭先を飛び回って盛んに尻尾をパタパタさせながら、「ココダヨ…」と言わんばかりに、小枝の影からこちらを覗いている。
本当に、あなたは、なんて愛らしいのかしら…

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畑の紅梅を愛でていたら、今度はツグミたち。スタコラサッサという感じで里道を走り抜けては
立ち止まり、姿勢を正してあたりをキョロキョロと見回す。
そんな姿が何か物思いにふけっているようで、賢そうにみえる。
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穏やかな冬日の中に、何かの花ガラが、透き通るよなセピア色に輝いていて、綺麗だなぁと思ってカメラを向けていた。ファインダーの向こうから、枯れたその花に、何か話しかけられた気がしてわたしは目が離せない…
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すると、アイリスが、弾んだ声を押し殺して、わたしを呼ぶ。
『おかあさん、大きな鳥がいる!なに?あの鳥?』
慌てて、アイリスが指差す茶畑の方を見ると、ゆったりとした足取りで歩いてゆく鳥がいる。
キジのメス?かなと思って双眼鏡を覗いたら、なんとヤマドリだった。
「すごい!アイリス。ヤマドリよ!早く双眼鏡で見てごらん」と言ったけれど、もうアイリスはしっかり双眼鏡で覗いていた(^_^;)
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『え?ヤマドリっていうのは、鳥の名前なの?それとも山にいる鳥ってこと?』と、アイリスは面白いことを言っている。わたしは、笑いながら「ヤマドリって言う名前の鳥よ。」と答えた。
「すごーい!なんて綺麗な羽なの!茶畑の中にいっぱいいるね。ああ、みんな隠れちゃった』
わたしも始めて見れたので、とてもうれしかった。空には穏やかな雲がぽっかり。
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ミズバショウ園は、少し葉が伸びていたけれど、まだ、この間と変わり映えしなかった。
やっぱり花が咲くのはもう少し先なのかもしれない。
静かな山間の谷戸は、雪を湛えて静まり返っていて、木道の上を辿るのは、わたしたち二人だけだった。
『わたし、フクロウかと思ったわ。』と、アイリスは、今しがた白い羽の大きな鳥が、森の中に降りてゆくのを見たと言った。羽の先が指のように割れていたと言う。ちょうど、写真を撮っていて、わたしは見損なってしまったけれど、「オオタカかも知れないと思った。
すると、急に辺りが賑やかになり、シジュウカラやエナガの群れが、やってきた。
ホオジロたちは、我れ先にと、枯れ草の中から次々と面白いように飛び立つ。
いったい何羽のホオジロがこの草原にいたのかしらね?
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ハス園は、やっぱり静かに水を湛えていた。ただ、この間と少し違うのは、花ガラが、いくつも取れて水に浮かんでいたことだろう。
吹き寄せる春の匂いを乗せた風が、小さな帆を立てた小舟を滑らせるように運んでいった。
花ガラは、寄り添いあうように水面を揺れ動いていた。
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「小人の三角帽子みたいで、かわいいね~♪くるくる回りながら漂ってるわ。まるで小さな舟のようだわ」と、わたしが言いながら写真を撮っていたら、
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『わたしは、ドレスを着た妖精のようだと思ったわ。ほら、踊っているみたいでしょ!』と、言いながら、アイリスもカメラを向けていた。
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photo by Airis
「ほんとネ!アイリスの発想のほうが、素敵ね。ふんわりとドレスの裾を広げて踊っているようだわ…妖精たちの舞踏会ネ(*^。^*)」
散ってすがれた花ガラだけれど、それを、妖精たちに見ているアイリスの心根が美しいなと思った。(親ばかだけど…)(^_^;)

『あら?氷の上に氷がある。どうやって凍ったのかしら?』アイリスが不思議なものを見つけたのだ。
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「ほんと、アイスアイランドって感じね」
『分かった、溶け残った氷の下に、新しい氷が張ったんじゃない?』
「うんうん、なるほど、そうかも知れないね!」などと、おしゃべりしながら歩いた。
遠くに武甲山も眺められる里山は、穏やかな春もよいだった。
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photo by Airis
さて、名物のお蕎麦で、お昼を済ませ、ここから、一路、両神にあるセツブンソウの自生地へと車を走らせたが、何だかにわかに雪雲が広がり、太陽を隠してしまった。
セツブンソウの自生地に着いたら、1台の車が駐車場に止まっているだけだった。
セツブンソウ園地の前には、地元のおばあちゃんたちがお店を出していた。
「こんにちわ、入園料は?」と、尋ねると、『今日は、まだ、いらないですよ。どうぞ』と言って中に入れてくれた。
それもそのはず、まだ、セツブンソウは、影も形も無くて、雑木林の中は一面枯れ葉の斜面だった。
去年、まるで雪のように咲いた、春の妖精のような花たちをアイリスに見せてあげたかったのだけれど、ちょっと早かったようだった。
ちょうど、先客の人たちが帰るところで、挨拶をしたら、にこやかに『この先に、ほんの少しだけ咲いていましたよ』と教えてくれた。
さっきまでのお天気はどこへやら、急に冷たい風が吹き始め、小さな粒の霰が降り始めた。
「お天気が悪くなってきたから、手分けして探そうか?お母さんは上の道を探すから、アイリスは下の道を探してね」
わたしたちは、遊歩道を二手に分かれて足元に積った枯葉を踏みながら、セツブンソウを探した。
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しばらくすると、『おかあさん、ここに咲いてるよ~!』と、アイリスの呼ぶ声が聞こえた。
振り返って下を見ると、吹き始めた突風が、ザァ~っと、落ち葉をさらって、波のようにアイリスのいる場所へと流れていくのが見えた。アイリスを包み込んでしまうように定まり無く流れゆく落ち葉たち。
「まるで、枯葉の海に彷徨ってるみたいだわ…」と、わたしは、独り言を呟きながら、アイリスの元へと下りていった。
「わぁ、何て健気なのかしら…」 『花たちは目を覚ましたけれど、こんなに寒いなんて…って、きっと驚いてるでしょうね』
たった1輪でも、2輪でも、咲いていてくれて嬉しかったけれど、きっと凍えてしまいそうで、かわいそうだった。「負けずに、がんばって咲いてね…」わたしたちは、まるで、雪の結晶で出来てるような小さな春の精に、そっと別れを告げたのだった。
『おかあさん、わたしが元気になったら、また、連れてきてあげるよ。』と、アイリスは言った。
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荒れ模様のお天気だけれど、せっかく来たのだからと、もう一ヶ所、四阿屋山中腹にある蝋梅とフクジュソウ園に行ってみる事にした。車はどんどん林道を登って、かなりの標高のところにある駐車場に着いた。
ここから車を降りて200メートルほど歩いていく。下のセツブンソウ園では霰だったけれど、こちらはすでに山の中なので、小雪になって辺りが白く霞むほどになった。
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芳しい香で咲き競う蝋梅にも小雪が舞い落ちる。
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フクジュソウにも雪がかすかに積り始める。
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風情があるなぁ…
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『ねぇ、おかあさん。丸いガラス玉の中に、水と砂みたいな白い粒が入っていて、ひっくり返すと、まるで雪が降っているように沈む置物があるじゃない。ほら、中にクリスマスツリーとかが入っている…まるで、その中に入っているみたいだと思わない。』と、アイリスが言った。
「うん、分かるよ。ちょうど、一面にふわふわと舞うような降り具合と、雪の密度が似てるよね」
アイリスの発想は、キラキラと純粋に輝いていて、わたしには、思いも寄らなかった事を気付かせてくれる。
娘とのこんな時間が、とってもいとおしい…
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雪が降り出したので、疎らだった人影も途絶え始めた。さあ、わたしたちも帰ろうかと、思った時、何かが、梢に舞い降りた。何だろうと、双眼鏡で見たらシメだった。
そして、それを皮切りに次々と鳥たちが姿を見せ始めたのだった。
シメの後にやってきたのは、黒い頭に大きな黄色のくちばし、ほんのりとピンクがかったベージュ色の胸をした小鳥。シメより少し大柄で、鋭い眼光…「ああ!イカルだ~!」わたしは、驚いてそう叫んでいた。『ええ?これがイカルなの!凄い、迫力ある顔してる!』アイリスも嬉しそうに叫んだ。
そして、その後、今度は、込み入った枝の上に、やはり少し大きめな鳥がやってきた。
また、イカルかなと思ってみたけれど、違う。イカルよりずっと紅い胸や体の色、羽の黒い模様、ベニマシコ?いいえ、オオマシコに違いないと思った。
以前、奥多摩の標高1000メートル以上の山の上で見た事があったけれど、この場所も同じくらいの標高だと思うので、可能性はあると思う。
「凄いよ!アイリス。枝が少し邪魔してるけれど、オオマシコだと思うわ。胸や頭が赤いのが分かる?くちばしも太くて短いでしょう?一生懸命花芽を食べてるわ。」
足元では、シロハラが一生懸命、落ち葉をひっくり返しているし、シジュウカラも、ジョウビタキもやってきた。
最後には、レンガ色の小鳥、アトリもやってきた。アイリスにとっては、始めてみる野鳥ばっかりだった。『たくさん鳥が見れて、わたしは、とっても満足だったわ♪』「雪の中粘ったかいがあったというものね」
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(シルエットだけだけど)
二人で夢中になっているうちに、いつの間にか雪が止んで、頭上には綺麗な青空が広がっていた。周りにはもう誰もいない。「凄い、サプライズだったね!」『うん、わたしたちだけ(笑)もう、4時になっちゃったから、帰ろう…』
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帰り道、武甲山が、真っ白に雪化粧していることに気づいた。
「見て!山の上ではきっと凄く雪が降ったんだわ。さっきはほとんど雪が無かったのにあんなに、真っ白に積っているわ。」
『おかあさん、山の稜線を見て、雪煙が上がってるよ!』
「ほんと、きっと凄い風が吹いてるんだろうね。寒そう…。何だかスイスの山でも見てるみたいだわ…スイスの山を見たこと無いけれどね(笑)」
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『あっ!トビが飛んでる。気持ち良さそう…鷹じゃないけど、鷹みたい。武甲山は、富士山みたいだし、一富士、二鷹、三なすび、なんてね。』と、アイリス。
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「え?なすびは?…わたしたち、ふたり?」と、わたし。
『うん、それっぽいでしょ(^_^;)』と、アイリスはハンドルを握りながら笑った。
そして、最後の最後に、もうひとつのサプライズ。
アイリスの手術の成功を願うために立ち寄った白髭神社の石段を降りてきたら、河原に降りる白い翼をアイリスが見つけた。急いで河原を見ようと走り寄ったら、一羽のアオサギが、羽を休めたところだった。
『今日は、最高!』見たかったアオサギに逢えて、アイリスは、感動したように、瞳を輝かせたのだった。
2008.02.23 Sat l 小さな旅 l COM(4) TB(0) l top ▲
今夜は、Misiaを聴いていた。
明日も早いし、もう、休まなくちゃ…と思っているのに、何だか眠れずにいる。


すれ違う時の中であなたとめぐり逢えた
不思議ね願った奇跡がこんなにも側にあるなんて

逢いたい想いのまま逢えない時間だけが過ぎてく扉すり抜けて…



とっても素敵な歌詞だと思う。
時間が扉をすり抜けるって、すごい言葉だと思うし何だか分かるような気がする…


You're everything You're everything
あなたが想うより強く…

わたしの体の中も、時間がすり抜けてゆくみたい・・・
真っ白な雪景色が、何だかとっても見たくなった。

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2008.02.23 Sat l 音楽 l COM(0) TB(0) l top ▲
冬の夜空は澄み渡って、とっても綺麗…
このところ、仕事が忙しくて、毎晩、1時間から2時間の残業をしている。
アイリスが、『家事見習いをする!』と言って、毎晩、夕飯を作っていてくれてるので、凄く助かるんだけれど、すっかり甘えてしまっていいのだろうか。(^_^;)
結構、自分で考案した、創作料理にも腕を振るってくれている。
先日、ふたりで買い物に行った時も、本屋さんで、お料理の本を買っていた。
『だいたい作れる料理だけど、基本を抑えておかないとね…』そんな事を言いながら。
今夜は、何を作ってくれてるのかぁ…そんな事を考えつつ家路を急ぐのだった。
月は、煌々と頭上を照らし、高圧線の鉄塔がグーンと夜空に聳えている。
ちいさなコーヒーショップには、仕事帰りに寛ぐ人々の姿があたたかそう…
「そうだ、家に帰ったら、アイリスに美味しいコーヒーを入れてあげよう♪」

振り仰ぐ、夜空には大きくオリオン座が浮かんでいた。
『オリオン座の、左下に輝く星があるよ。水色に輝くその星がシリウスだよ。
しーちゃんが好きな水色の星…綺麗だよ。見てみてネ』
あなたからの、そんなメールを思い出して、シリウスを探す。
「あっ、見つけたよ。きれい!ほんと、水色に輝いているね…」

夜空に、想いを飛ばし、絆を繋ごう。
「今日も、お仕事お疲れさま…」
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2008.02.19 Tue l 日々の想い l COM(0) TB(0) l top ▲
川乗山の中腹には百尋の滝という素晴らしい滝がある。
このところの冷え込みで、きっとほぼ全面凍結なんじゃないかと思った。
3日に降った雪も、きっと奥多摩の山々には残っているだろう。
また、雪マークの天気予報が出ている9日。
午前中はまだ、大丈夫そうだったので、ちょっと川乗山の林道を辿って滝を俯瞰してこようと思った。
思ったとおり、登山口の川乗橋からの景色は雪景色。
雪の渓谷
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マーブルの森。みーんなクリスマスツリーみたいできれい♪
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雪の中に佇むカツラの樹。なんだか、この木の形が気に入った。
わたしは、やっぱりカツラの樹形が好きなんだと思う。
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雪が、ふわふわの繭玉みたい。
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雪の林道。ところどころ、吹き溜まりになってるけれど、わだちの後があるから、つぼ足でも大丈夫だった。
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細倉橋から、本当なら登山道を入れば百尋の滝の真下まで行けるけれど、かなり雪が深そうなのでわたしには無理だと思った。このまま林道を歩いて雪山気分を味わうだけで十分だったので、そのまま、迷う心配のない林道を行くことしした。
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崖を沁み出した湧き水が凍って、ツララや氷柱がいっぱい。
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ツララや氷柱のキーンと凍った姿に出逢うのは冬山の楽しみのひとつだ。
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不思議な造形。どんな風に氷ったのかしら?
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氷に閉じ込められた枯れ葉。
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膝まで潜ってしまうふかふかの雪に、ちょっとはしゃいで、ぱふ、ぱふと歩いてみたり…
でも、あんまり川岸に寄ると足を踏み外しそうだから気をつけないとね。
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渓流には、小さな氷たちが発達途上(笑)
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目の前の木々の枝をみあげたら、小さな冬芽がいっぱい…
「あっ、春を待つ樹!」こんな雪の中だけど、もう、少しづつ、膨らみ始めてる。
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「わあ、景色が開けた!」川乗谷や、登ってきた林道を俯瞰する。
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さらに登ると、「すごい!こんなに見晴らしがいいなんて!」目の前には白とグレーとの、モノトーンの世界がどこまでも広がる。遠くにちょこんと見えるのは雲取山かしら?
初めてこの林道を詰めて見たけれど、冬の林道は発見がいっぱい♪
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「そろそろ百尋の滝が見えるんじゃないかしら?」わたしは、開けた風景の隅々に目を走らせる。
「あっ!あった!」大きな岩が聳える中ほどに、滝はうっすらと青みがかった氷になっていた。
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初めて、初夏に訪れた時のことを思い出す。
滝つぼ付近に立つと、細かい霧となったしぶきが辺りに満ちていて、結構濡れてしまうのだった。光の加減で虹が架かる事もあった。
あっ、あの階段だわ!登山道から滝へと降りる急階段が見えた。
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ぐっと引き寄せてみたら、ロープが下がっているみたい。
冬場は凍結して危ないので、登山者への配慮かもしれない。
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しばらく滝を俯瞰した後、もう少し先まで歩いてみた。
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谷川は細くなり、大きな石が川床を埋めていた。
そして、その石の上には、こんもりと白い雪が積っていた。
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山肌も、厚い雪に覆われていた。
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さすがに、歩きづらくなってきた。そろそろ戻ることにしよう。
林道はまだ上へと続いていた。今度、暖かくなったなら、この先の道を行ってみようと思ったのだった。
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ほんの数時間の林道歩きで、ちょっぴり雪山の気分が味わえて満足だった。
もう一度、どこかの滝を見に行こうかな…そんなこと考えつつ、わたしは来た道を引き返していった。
2008.02.18 Mon l 山と森 l COM(4) TB(0) l top ▲
昨年、ザゼンソウを探した秩父の山荘を訪ねてみたけれど、
『今年はまだ、影も形も無いよ』と、管理人のおじさんが言った。
登山道脇の杉林の中に、自然に近い形で保護されているのだった。
尾瀬で出会ったザゼンソウを想いながら、昨年木道を歩いたことを思い出して、そろそろ見れるかなと思ったんだけれど、ちょっと早かったね。
仕方ないので、ハス園とミズバショウ園まで歩いてみた。
昨年、アイリスと6月の雨の日に訪れたハス園は、今は花ガラだけが天を仰いでいた。
白く張った氷の上に冬の陽射しが動いた。
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あの美しかった大輪のハスの花の芽は、この氷の下でじっと春を待っているのだろう。
溶け始めた氷の割れ目に湧く水に、何となく春の兆しを感じたりしながら、ハス園の間に付けられた木道を辿り、今は飄々とした世界を歩いた。

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 散ってすがれたたんぽぽの 瓦のすきにだあまって
 春が来るまで隠れてる 強いその根は目に見えぬ
 見えぬけれどもあるんだよ 見えぬものでもあるんだよ

そんな、金子みずずの詩を思い出して、あなたとくちづさんだりしたね…
帰り道、もうひとつ山際にあるミズバショウ園に立ち寄ってみた。

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-夏の宵に、蛍を探して訪れた時、満天の星空に吸い込まれそうだったね。
  -カエルたちが、あたり一面にいるんじゃないかと思うくらい、あっちでゲコゲコ、こっちでゲコゲコ鳴いていたよね。
-そして、蛍が、ひとつ、ふたつと、儚く飛んでいたね。
  -いまにも消えそうな儚い光を見つめて何だか泣きそうになったよね。

-スピッツの『蛍』聞きたくなっちゃったなぁ…

  ♪  時を止めて、君の笑顔が
     胸の砂地に染みこんでゆくよ
     闇の途中でやっと気付いた
     すぐに消えそうで悲しいほどささやかな光…♪

 そんな事を話しながらミズバショウ園に入ったら、一面の雪の中に、小さな緑の芽が芽吹いていた。
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小さな流れのほとりに…

-まぁ、まるで尾瀬のような光景ね
 -ほんと、尾瀬が恋しくなってしまうね。
-こんな雪の中に咲いたミズバショウを見てみたいね。
 -雪解け水のなかで、清らかに咲く姿を見てみたいわ。

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雪の中から、ツン、ツンと目を覚ました、ミズバショウの坊やたちが、「春はすぐそこまで来ているんだよ」ってささやいてる気がした。
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冷たい冬のさなかに、あなたと春の兆しを見つけました。
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2008.02.18 Mon l 里山 l COM(0) TB(0) l top ▲
フィー、フィー、チュリー、チュリー、チー、チー、チー、チチチ…
いろいろな鳥の声が、さざ波のように寄せてきた。
「あっ!鳥たちがいる…」わたしは、橋に走り寄って、川辺に繁る森を覗き込んだ。
川面を飛び去るカワセミの姿。
木々の枝から枝へと飛びゆく鳥影たち。
エナガや、シジュウカラたちの群れだった。
ツーツーピー~、ツーツーピー~、ツーツーピー~
まるで、歌っているような節まわしで、長く囀るシジュウカラの声は
いままで聞いたことが無いくらい、軽やかで、柔らかで、美しかった。
枝から枝へ、見え隠れするシジュウカラの、モスグリーンの背中が朝日にいっそう美しく輝き、白いほほが愛らしく感じられた。
「シジュウカラさん、あなたの囀りってこんなに美しかったのね。」
わたしは、しばしその歌声に聞き入っていたのだった。

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雪をまとった山並みが凛として輝く冬の朝
さわやかな山の空気に、木々は深呼吸し、川面は光を滑らせた
ここは、奥多摩数馬峡に架かる数馬峡橋…
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2008.02.16 Sat l 山と森 l COM(0) TB(0) l top ▲
昨晩から今朝にかけてたっぷりと雪が降った。
そして、今日は見事に晴れ上がり透き通るようなブルーの青空が広がっている。
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ベランダから眺める景色は銀世界。物干し竿に積もった雪は、太陽に照らされて銀色の雫になっていた。
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鳥たちの声が心地よく聞こえてくるベランダで、洗濯物を干しながら、わたしは、いつもあれこれ思いを馳せている…(笑)
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雪が降った翌日は、きっとたくさんの鳥たちが見れると思った。
白い雪に映える、黄色や青や赤い鳥たちはさぞ美しいことだろう…
関東に大雪が降った翌朝、わたしは、時間代休で半日仕事を休んでしまった。
アイリスと週末の森まで鳥を見に行きたくなったのだ。(チョイワル)(^_^;)
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お昼までには職場に行かなければならないので、早々と8時に家を出た。
見慣れた街も、どこか北国の街角のよう…。
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公園の街路樹は真っ白に雪景色。時折、さらさらと雪が零れ落ちてくる。
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枝いっぱいに咲き競う紅梅は、白い雪をかぶっていた。
紅梅に雪…そして青空。撮ってみたかったシチュエーション。
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椿の紅にも、白い雪が、よく似合っている。
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雪に弱い土地なので、早朝の道路は延々と渋滞していた。みんなイライラ顔でハンドルを握っていた。
一生懸命仕事に向かう人たちには申し訳ないけれど、わたしたちは一路、週末の森へと向かう。
畑の木々も美しく雪化粧。ドウダンツツジの枯れ枝に積もる雪って大好き!
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ビニールの囲いの中で緑ぐむ春野菜たち。
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民家の庭の絵になる風景。
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蝋梅の透き通る花色に、真っ白な雪…あの芳しい香りも雪に閉じ込められていたのかしら。
太陽の光に暖められて、いっそう密やかに、ほのかに漂いだしていた。
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いつもの水路にさしかかると、やっぱり今日もモズリンとモズ吉が現れた。
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『今日は寒いからかな?何だか膨らんでるね。まんまるでかわいい♪』とアイリスが言った。
「やっぱりカメラを向けてしまうね。可愛いね…」
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モズ吉は、畑の杭に止まったり、梅の小枝に止まったり、わたしたちの回りをあまり離れずに飛び回った。
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次は、セグロにハクセキレイ。雪の畑でキセキレイも、見れた。
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アイリスは、『綺麗な黄色だね。カキ氷にレモンシロップをかけたみたいな色…』と笑った。
水路には、薄氷が張りつめ、鯉たちは、身を寄せ合ってじっと動かない。
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そこへ、カルガモが泳いできた。きらきらと漣が眩しく輝く…今日も光を連れて泳いでいくのね。
あんまり美しいからしばらく見とれてしまった…
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アイリスが好きなマガモ君は、今日も番で仲良く泳いでいた。
「オシドリじゃないけど、この川のおしどり夫妻だね♪」(笑)
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『おかあさん、二組のカップルがいるけど、こちらのほうは、きっと熟年カップルだね。
若いカップルは、恥ずかしがり屋で、葦の陰に隠れてしまうけど、こちらは堂々としているもの』
そんなことを言い合っているなんて知らぬげに、カモたちはお食事に忙しそうだった。
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『あっ、おかあさん、カワセミ!』アイリスはとっても目が良い。向こう岸の土手の草の中に
翡翠色の青い鳥を見つけたのだった。
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「わぁ、白い雪景色の中のカワセミ、絵になるね~♪綺麗。」わたしは何枚もシャッターを切ったけれど、コントラストが強すぎて、カワセミの姿が黒く沈んでしまうのだった。
ちょっと、明るさを調整してみたけれど、上手くいかない(^_^;)
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カワセミは長いことじっと、その場所に止まっていた。よく見ると時折、首を伸ばしたり縮めたりする仕草を繰り返していた。    
『あれ?カワセミどん、ひゃっくりをしてるみたい。どうしたのかな?(笑)』
「きっと、大きな魚を飲み込んだから、喉につっかえてるんじゃない(笑)」
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『こんなに、じっくり見たのは初めてよ。カワセミどんの頭って、こんな水玉模様になってたのね。知らなかったわ。首には白いマフラー巻いてるし、白い水玉模様の帽子だなんて、すごくおしゃれね~!』と、アイリスの声が弾んでいる。
「白い雪に、ブルーが綺麗ね。アイリス流にいったら、カキ氷のブルーハワイね(笑)」
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今日は雀たちもたくさんいる。アイリスが天使のように舞い降りたと表現したスズメの姿がわかった。なるほどね…確かにそんな感じだよ。
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電線に止まった雀たちも、何だかかわいいね。
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真っ白な畑に、置かれた農具も…
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ネットに積った雪は、レース編みみたいだね…
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散歩のわんこの足跡。かわいい~♪と、アイリスは喜んだ。
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冬芽に積った雪…
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真っ赤な南天の実もたわわ
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水路から離れて畑の中の道を行くと、チチチ…
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「あっ、アイリス、ホオジロよ。スズメの中に、一羽だけ、混ざってるわ。」
『ああ、ホオジロって初めて見たわ。ほんと、図鑑で見ていた顔をしてるわ。ホオジロっていうけど、あんまり白くないね。どっちかというと黒いほうが目に入るよね。』
「頭の羽が立っていて、カシラダカにも似てるよね」
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『雀たちの後を追いかけてばっかり、きっと、あのホオジロは自分はスズメだと思ってるかもね(笑)。他のスズメたちに、おい、お前違うだろう…なんて、怒られているかも。』アイリスと鳥見をしてると楽しかった。いろんな発想が次々と浮かんでくるのだ。
まだ、柔軟な心なんだと思う。
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週末の森の入り口では、カワラヒワとメジロ。どちらも緑の小鳥が迎えてくれた。
メジロは一生懸命、柚子の実をつついていた。
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ミヤマホオジロとルリビタキのポイントには、平日だというのに、数人のカメラマンがいた。
雪に映える黄色い小鳥を狙っているのだろう。みんな考えることは同じなようだった。
遠くから双眼鏡で覗いたら、いつもよりもたくさんのミヤマホオジロたちが枝や草の中にいた。
特別、今まで見たことが無いほど真黄色なオスがいて、本当に綺麗だった。
綺麗なオスが見れたからいいねと、立ち去ろうとしたら、また、止められてしまった。
『そっちは通っちゃ駄目だ!あの枝に来るように、餌をまいてあるんだから。何を見に来たんだミヤマホオジロだろう?』とても横柄な言い方だと思った。
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わたしたちは、撮影の邪魔をするつもりなど毛頭、無いから、『すみません、そっちの道は通らないで貰えますか』一言、そう言われれば納得もしたけれど…
わたしは、大人気ないけれど、「ミヤマだけじゃありません、いろいろな鳥を見に来たんです!」と答えて、さっさと立ち去ったのだった^_^;
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雪の尾根に上がってみたけれど、今日はあまり鳥がいない。そこに、一羽のアオジが姿を見せてくれた。アイリスにとっては初見の鳥だった。『これがアオジなのね。青くなくて黄色い感じだね』
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森の中の資材置き場の空き地には、数羽のカシラダカたち、梢ではコゲラたちがコツコツ木を叩いては夢中で餌を探していた。わたしたちは、雪の上の鳥たちを見ようなんて思っているけれど、鳥たちは餌探しに必死なのだろうなと思ったら、少し複雑な心境になった。
ある意味、下の森で餌を撒いてる人たちは、鳥たちにとって、ありがたい存在なのかも…
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真っ白に積もった空き地の雪はかなり深く積もっていた。
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『誰も歩いていない所を歩いてもいいのかしら?』と、言いながらアイリスは足跡を付けた。
二人の足跡だけが、白い雪の上に転々とついた。
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木立の影は青く見える。白と青のコントラストがとっても綺麗だった。
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まだ、ふんわりとした質感がのこっている。
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二人の影法師
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『あっ!トビかな?かっこいい飛び方ね!』と、アイリスが空を見上げた。
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悠々と大空を高く高く上って行く。トビなのかしら?尻尾の形が違うようにも思うけど…
わたしは、その姿を追いながら、独り言のようにつぶやいた。
もっとゆっくり見ていたいけれど、時間なので帰りに向かうことにした。
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『わぁ、かわいい♪』杭の上にこんもりと積もった雪を見て、アイリスがつぶやいた。
アイリスは何かひらめいたらしくあたりをきょろきょろ探している。

草の実で、耳をつけ、
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目をつけ、
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鼻をつけて、
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はい、ゆきねずみのできあがり♪
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愛らしい表情のゆきねずみくんに見送られながら、雪の週末の森を後にしたのだった。
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ほんの半日だったけれど、週末の森で、たっぷり雪景色と鳥たちに癒されて心は満たされていた。
やっぱり今日も、赤い鳥には逢えなかったけれど…

2008.02.15 Fri l 山と森 l COM(4) TB(0) l top ▲
昨日の雪が、山々の木々や畑や街を真っ白に染め上げた朝、
山梨に住む娘のところへと主人と二人で出かけた。
昨夜は、あちこちで通行止めの表示が出ていた中央道も、今朝はすっかり除雪され快適に車は走っていく。
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朝の光の中で、まるで雪国のような光景が車窓を流れていった。
霧氷に包まれたように真っ白に輝く冬木立や、緑の葉の上に雪を乗せ
クリスマスツリーみたいに可愛らしい針葉樹や杉の森、
「まるで粉砂糖を降りかけたみたいで、綺麗…」
どこへ行くにもカメラ持参のわたしは、走る車から写真を撮った。
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「相模湖が見えてきたわ。あら、鳶が飛んでるわね」
どこへ行くにも双眼鏡持参のわたしは、走り去る車の車窓から、鳥を探した。
主人は、ハンドルを握りながら、黙り込んだまま。半分呆れてる(^_^;)
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車が大月に差し掛かる頃だったろうか、前方に真っ白な富士山が現れた。
「わぁ、富士山よ!凄い真っ白だね~!ねぇ、帰りにどこか寄ってみようか?」
『雪だから、どこへ行っても仕方が無い』
「日帰り温泉なんてどう?」 『疲れるから、用が済んだらさっさと帰る。』
やっぱりね。そう来ると思っていたわ(^_^;)
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山梨の家に着くと、娘は眩しげな顔で迎えてくれた。
お正月に逢ったばかりなのに、何だか久しぶりみたい…
彼や、あちらのお父さんと和やかに言葉を交わしながら、娘の心づくしの手料理をご馳走になった。
山菜おこわに、ぶりの照り焼き、肉じゃが、そして、アサリのお味噌汁。
なかなか、上手になったじゃない。娘の主婦ぶりにほっと胸を撫で下ろし、
彼との何気ない言葉のやり取りに、娘がこの家の人になったことを感じた。
良く日の当たる部屋の窓ガラス越しには、びっくりするほど大きな富士山が聳えていた。
「いつも、こんなにいいロケーションで富士山を見れるのね!」
『最初は綺麗だなぁって思ったけど、もう見飽きちゃった(^_^;)』
まるで春霞のように、淡く浮かぶ雪の富士だった。
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『おかあさん、わたし明日の準備にお寺に行くけれど、一緒に行ってくれる?』
明日、一周忌の法要をするのだと言う。
主人とわたしと娘は、少し離れた場所にあるスーパーに寄って、お花とお供え用のお菓子を買って、娘の案内でお寺へと向かった。
周りを山々に囲まれた畑の中に、小さな古びたお寺があった。
娘は先立ちになって、お寺の庭へと入っていき、私たちはその後に続く。
そして、娘は躊躇無く、慣れた手つきで、木の引き戸を開き堂内へと入り、靴を脱ぐとすたすたと仏間の裏側へと入っていった。
「え、勝手に入っていいの?」戸惑いながら聞くわたしに、『うん、毎週来てるから。」と娘は答えた。
「毎週、来てるの?」とわたし。 『うん、お花とお線香を上げにね。』
「ひとりで来るの?他の人は?」 『お父さんも、彼も来ないから、わたし一人よ。』
「え~、毎週なんて偉いじゃないの」 
『お寺が近いし、わたしは車だから、仕事帰りにちょっと寄れるからね。』と、娘は事も無げに言う。
「でも、偉いわ。なかなか出来ないことよ。おかあさんには、きっと出来ないわ。」
『そんなことないよ。お花が無いと、寂しいと思うから…』
娘は、お菓子を備えながら、『本当は早く、お墓に入れてあげれればいいのだろうけれどね。』と言った。
いろいろ、日々の暮らしに追われ、若い二人には、まだ、お墓を買うお金が無いのだと言う。

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お寺の庭先で、買ってきた花を花瓶に生けていたら、ご住職さんが出てこられた。
娘は、『こんにちわ、○○です。明日は、よろしくお願いします。』と挨拶をした。
ご住職さんも、穏やかに、二言三言声をかけられて、また奥へと戻っていかれた。
わたしは、会釈をしながら、娘の成長振りに胸がいっぱいになった。
娘は、いつの間にか、この土地に馴染んでいるような気がした。
古いしきたりとか、きっと、まだ分かってはいないのだろうけれど、自分で考えて行動しているところが頼もしかった。
そして、りっぱな法要は出来なくても、心ばかりの質素なお花であっても、あたたかな想いがこもっていれば、それが一番だと思った。
形やお金じゃない、心だよね…
お義母さんが亡くなってから一年、欠かさずお花を供えてきた娘の真心がいじらしかった。
「頑張っているのね…えらいわね」そう言いながら、わたしは、何だか泣きそうになるのをこらえたのだった。
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白い山々に囲まれた小さなお寺を後にしながら、しみじみと中島みゆきさんの「糸」と言う歌がわたしの胸に流れていた。
きっと、もう、娘は大丈夫だろうと思った。しあわせになって欲しい…

わが町に、帰り着いた時、西の空は柔らかなオレンジ色に染まっていた。
振り返ると、薄紫の小さな富士山が山の向こうに頭を覗かせているのが目に入った。
車で2時間もあればいける場所、でも、遠いなぁ…
そんな事を考えながらぽつりと「あなた、富士山が見えるわ…」と言うと、
『遠くにな…』と、主人も呟いたのだった。

       糸

   なぜめぐり逢うのかを
   私たちはなにも知らない
   いつめぐり逢うのかを
   私たちはいつも知らない
   どこにいたの 生きてきたの
   遠い空の下ふたつの物語
   縦の糸はあなた 横の糸はわたし
   織りなす布はいつか誰かを
   暖めうるかもしれない

   なぜ生きてゆくのかを
   迷った日の跡のささくれ
   夢追いかけ走って
   ころんだ日の跡のささくれ
   こんな糸がなんになるの
   心許なくてふるえてた風の中
   縦の糸はあなた 横の糸はわたし
   織りなす布はいつか誰かの
   傷をかばうかもしれない

   縦の糸はあなた 横の糸はわたし
   逢うべき糸に出逢えることを
   人は仕合せと呼びます
2008.02.11 Mon l 日々の想い l COM(5) TB(0) l top ▲