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6月最後の週末、アイリスと花逍遥に出かけた。
行く先は、お決まりの秩父路だった。奥多摩にギンリョウソウを訪ねようかと思ったが、昨年見た蓮園に、蓮の花を見に行こうと言う事になった。

蓮園に行く前に、秩父路をドライブして路傍の花を見て歩いた。
道中、どこの道すがらも、紫陽花は見ごろとなっている。
梅雨時は特に、瑞々しい旬の紫陽花を愛でながら長閑な野辺を走り抜ける。
アジサイ、あじさい、カタカナやかなで書いても素敵だけれど、わたしは、紫陽花って書くのが一番好き。

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白い紫陽花…車の窓から

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淡い色の額紫陽花は、札所の庭で

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スタンダードはブルーの紫陽花

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白い色の額紫陽花もシンプルで素敵。

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7月18日まで、ご開帳の札所は、どこもいつもより賑わいを見せていた。
この紅白の布は、ご本尊の観音様と繋がっている。この布の先に続く綱を握る事で、お手を繋いだことになるのだそうだ。庶民の信仰らしくて微笑ましい。

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野座の石仏…長閑な田園風景の中に鎮座している。

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その周りにはハルシャギクが風にそよぐ。北アメリカ原産の帰化植物だけれど、すっかり里山の風景に馴染んでいると思う。

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この石仏の野辺に続く、札所22番の童子堂は、とても長閑なお寺で、境内と言うより野辺と言った方がいいくらい、いかにも秩父札所のイメージで、好きなお寺だ。
本堂から、山門を望む。

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季節の花、紫露草咲く…

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境内の畑では紅花咲く…

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アイリス撮影の紅花
『おかあさん、♪~ひかるたまねぎ~って感じでしょ!(*^_^*)』

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電線に止まったツバメが三羽…かわいいね。アイリス撮影。

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コスモス、一輪。

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野ばらのように咲く、薔薇の花。

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ノカンゾウが咲く裏庭

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最後の札所の34番、結願の寺、水潜寺は、観光バスを連ね多くの参拝客でにぎわっていた。
 
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参道にはひっそりと雪ノ下が花盛り…

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さて、ここから、ぐるっと回って、荒川へ抜ける。

途中の田園風景の中に、突如、巨樹が現れた。
たぶん、欅の樹と思われる。崩れそうな小屋も何だか古めかしい。

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小屋の裏には小さな池があって、カルガモがいた。
(手前の茂みの影にいるのが分かりますか?)

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とても長閑な田園風景が続く

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またまた、「ハス園」の文字を見つけて車を止めてみる。
少し歩いていくと、田んぼの中にハスの花が植えられている場所に出た。
そこで草取りの作業をしている方に尋ねたら、ここがハス園だという。
奥で作業をしている95歳のおじいちゃんが、趣味でこのハス田を作っているそうだ。
蓮田の奥に続くお宅に一人暮らしをされていて、食事の支度も身の回りの事も畑も、すべて一人でやっているそうだ。お話をしてくれた方は、親戚の方で、今日は草取りを手伝いに来たのだという。
『今年は遅くて、まだあまり花が咲いていませんが、良かったら見ていってください。』と言ってくださった。

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おじいちゃんのハス。(アイリス撮影)

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蕾が多い。来週辺りが見ごろだと言う。
『良かったら、また、見に来てやってください。喜びますから…』と、その方は丁寧におっしゃった。
「はい、きっと、また寄らせていただきます。おじいちゃんに、どうぞ、いつまでもお元気でとお伝えください。ありがとうございました。」と、お礼を言ってお別れした。
おじいちゃんは、ハス園に、極楽浄土を見ているのだろうか…
『おじいちゃんのハス、とっても綺麗だったね。』と、アイリスが言った。

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大きな池のあるお寺、久昌寺にやってきた。ここもハス園があるけれど、まだひとつも咲いていなかった。

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キンシバイの花が咲いている。
ビオウヤナギに似ているが、おしべが花びらより短いので区別が付く。

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オカトラノオの白い清楚な花が、池のほとりに咲いていた。
小さなひとつひとつの花も美しいが、少し傾いた花穂が、水辺にとてもマッチしている。

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モンシロチョウとセセリチョウのコラボ(*^_^*)アイリス撮影

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アイリスは、すっかり望遠レンズの使い方をマスターしたようだ。
なかなか様になっている。

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カノコガ。アイリス撮影。

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最後に、昨年訪ねた荒川のハス園にやってきた。
ここも、まだ、3割程度の開花だったけれど、咲き始めの美しいハスの花が見れた。

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美しいね。

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言葉は要らない感じ。

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蕾も清楚。
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アイリス撮影。
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この一枚は、素敵に撮れたね。『うん、後ろに山並みを入れてみたの(*^_^*)』アイリス撮影。

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蓮田のある場所は、長閑な田園地帯。
地元の自然観察員の人が『今夜はここで、蛍鑑賞会がありますので、よろしかったらどうぞ。』と案内してくださった。もう、かなりの数が飛んでいるとのことだった。
ハスの花の上を舞う蛍…。想像しただけで、どんなに幻想的な光景だろうかと思った。

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わたしの好きなタチアオイの花が、緑の野辺に咲いていた。

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今年もこの花を見ることが出来て嬉しい。やはり、田舎のこんな風景に似合う花。

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ゼニアオイも…

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秩父花逍遥は、この花で終わりです。
帰り道、アイリスと話したけれど、『やっぱり、おじいちゃんの白いハスが一番綺麗だったね。』と言う事になった。
そう、質素だったけれど、何か、心に響くものがあったのだ。
それを、感じ取れることが嬉しい花逍遥だった。

そうそう、ハス園で、こんなトンボを見つけました。
黄色いトンボです。ブレブレですが、何トンボかなぁ?

このトンボは、キイトトンボのオスだと、お友達のむじなさんが教えてくれました。
尻尾の先が黒いのがオスなんだそうです。(この画像でもなんとなく分かりますね。)
成熟すると、顔から胸にかけてのオレンジ色が黄緑色に変わるそうです。
このトンボは、まだ、オレンジ色をしてるから、若いオスってことになりますね。
小さな生命、でも、いろんな不思議が隠されている。興味は尽きないです。
むじなさん、教えてくださったって、どうもありがとうございました。

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2008.06.29 Sun l 里山 l COM(2) TB(0) l top ▲
      6月の雨には
      6月の花咲く
     花の姿は変わるけれど
     変わらぬ心を誓いながら

     いくつ春を数えても
     いくつ秋を数えても
      ふたりでいたい…

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トウゴクミツバツツジ

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ヤマツツジ

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ギンリョウソウ

小椋佳さんの六月の雨のフレーズが、ふとこころの中を過ぎってゆく
6月の雨の森を歩いた。

昨年も同じ時期、この森をネット友のmasaさんと一緒に歩いた。
masaさんに助けられ、雲取山に咲く憧れのキバナノコマノツメに出逢えたのだった。
あの日も一日中、お昼時を除けば、ずっと雨降りだったけれど、今日も完璧の雨の1日だった。
1年前とまったく同じシチュエーション。違うのは、今回のパートナーがhideちゃんという職場の自転車友だったこと。

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こんな雨の日に山歩きしているわたしも、本当に懲りない人間だと思った。
そんな、ずぶ濡れ山行に付き合わせちゃって、hideちゃん、ごめんね。
でも、『すっごく、楽しかったよ!』って、目をキラキラさせながら言ってくれてありがとうm(__)m

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6月に入ったばかりの日曜日、今年もキバナノコマノツメに逢いたくなって、大ダワ林道をせっせと登っていったものの、アプローチの長さに大ダワまでも辿り着けなかった。
それでも、1000メートル以上の高所に咲くと言われるミヤマスミレに、思いがけず出逢えて胸躍らせた。
紅紫色のそのスミレは、針葉樹の根元に、緑のコケに囲まれて、びっくりするほど鮮やかに咲いていた。

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ミヤマスミレたちは、まるで、登山道を見下ろしているかのように、涼しげな顔で見つめていた。
わたしはスミレの花と目が合ったような気がして、ドキッとした。
斜面の高い位置に咲いていたけれど、攀じ登るようにしてそのスミレの傍へ行った。
「かわいいねぇ!綺麗だね!はじめまして!よく咲いててくれたね~!」もう、ありったけの言葉で小さな愛らしい妖精に話しかけていた。

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そして、山頂への想いを残しつつ、振り返り、振り返り下山をした。
滴るような緑の森で、オオルリの囀る声と姿に出逢えた。
呼び笛を鳴らしながらの帰り道、いつの間にか現れた5羽のゴジュウカラたちの姿も見れた。
親子なのかしら、木々の枝から枝へと登ったり、飛び交ったり、賑やかに遊んでいた。
そうそう、鹿にも出逢えた素敵な山旅だった。

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その後、サイトに来てくださるHgさんから、オオダワから長沢背稜への登山道の方がキバナノコマノツメがたくさん咲いていると教えていただき、わたしは、何とか行って見たいと思っていた。
6月最後の日曜日、天気予報は雨…。
でも、キバナコマノツメに出逢える最後のチャンスかも知れない。
長いアプローチの日原林道を辿り、大ダワ林道の登山道を越えてさらにその奥へ…辿り着ける自信はなかった。
その話を聞いたhideちゃんは、自分が連れて行ってあげると申し出てくれたのだった。
お陰で、長い林道をショートカットして、大雲取谷の登山口まで車で乗りつけることができたのだった。

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「これなら、今日は辿り着けるかも…でも、雨が激しくなってきたけれど、いい?」と聞くと、hideちゃんは、『せっかく来たんだから行ってみようよ』と言ってくれた。
しっかりと雨の身支度はしたけれど、そこからは長い道中が待っていた。増水した長沢谷に架かった丸木橋を渡りカツラの巨樹の横を通り抜けて登り始める。雨に濡れた木々の緑は滴るようで、「なんだか、体中が緑に染まりそうだよ!」と言ったら、hideちゃんは、笑っていた。
山ツツジの花が散り敷いた登山道を辿りながら…

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それにしてもよく降る雨で、天から降り注ぐ雨粒が谷底に落ちて行くのが見えるくらいだった。
寂び寂びと、雨の登山道を辿っていく。
ところどころ、増水した谷川を渡り、一部土砂が崩れ登山道が崩壊した場所もあった。
パートナーがいなかったら、きっとくじけて引き返していた事だろう。
林床には、ギンリョウソウの純白の花が雨に濡れ、いっそう透き通るように咲いていた。
登山道の下を流れる大雲取谷は、白波を蹴立てて瀬音を響かせる。

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hideちゃんが、大きなヒキガエルを見つけた。
『雨だから、喜んでいるのかな?ちっとも動かないよ。』
「結構、かわいい目をしてるよ。」と、覗き込んだら、びっくりしたのか、でんぐり返しをしながら斜面を転がり落ちていた。
「え~!大丈夫かな?」
すると、カエルは、途中の小枝にひっかって止まり、白いお腹を見せながら、ごろんと体を起こしたのだった。その姿があまりにもユーモラスで、ふたりして声に出して笑ってしまった。

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何度もスイッチバックを繰り返しながら登り詰め、やっとのことで大ダワまで辿り着いた。
「お腹すいたけど、びっしょりで食べる場所も無いよね」って事で、立ったままおにぎりをほおばった。
お行儀悪いけど、これがまた、結構おいしい!お茶も乾いた喉を潤してくれた。
わたしたちは生き返り、もう少しだけ、この先を歩いて見る事にした。
左に辿れば雲取山だけれど、右に辿って芋ノ木ドッケという、不思議な山名の山へと向かう縦走路へ入っていく事にした。
辺りは急に針葉樹林帯となり、緩やかな気持ちのいい尾根道となった。雨で無ければどんなにか気持ちのいい風の通り道だことだろうか…晴れている日に歩いて見たい道だった。

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雨だけれど結構鳥たちは活動していて、オオルリやイカルの声も聞こえていたし、この尾根道に入ったら、センダイムシクイの鳴き声が盛んに聞こえてきた。
針葉樹の森の独特の芳香に包まれ、センダイムシクイのじゅり、じゅり、じゅり…と鳴く声を聞いていると尾瀬のアヤメ平に抜ける樹林帯や、南岸道のコメツガやシラビソの森を歩いているような気持ちになった。「なんだか、尾瀬を思い出すなぁ…」

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すると、濃いグレーの鳥がすぐ近くの小枝に止まり羽繕いを始めた。
双眼鏡で観察したら、胸からお腹にかけて黒い網目模様がくっきり見えた。
一瞬、マミジロ?って思ったけれど、トラツグミにも似ていた。うーん、分からない?
家に帰って図鑑で調べたら、やっぱりマミジロかも?それともイワヒバリ?
お友達のシューさんに伺ったら、マミジロのメスかもと教えていただいた。
もう一度図鑑を見たら、そんな気がしてきた(*^_^*)シューさんありがとうございます。m(__)m

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そのあと、今度は、賑やかに囀るルリビタキたちが現れた。わたしたちの周りをぐるぐるとせわしなく飛び回り、せっかちに囀る。
すばやく飛び回るので5羽ぐらいの鳥がいるように思ったが、3羽ぐらいだったのかもしれない。
時折り、警戒するようにジェ、ジェと舌打ちするような声も藪の中から聞こえてくる。
あまりにも、目に付くように飛び回るオスの姿を見ていたら、数年前、登山道で、巣から落ちた雛を守ろうと必死に飛び回っていたキクイタダキの姿と重なった。
もしかしたら、また、雛が巣から落ちてしまったのかも知れない。

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『そんな時は、なるべく速やかにその場を離れる事が肝要です。でないと、親は子育てを放棄してしまう可能性があるからです。』そう、教えてくれたお友達の翼さんの言葉も思い出した。
わたしたちは、立ち止まるのを止め、急いでその場を離れると、もう、ルリビタキは追ってこなかった、帰りに同じ場所を通過する時にも、同じように囲まれたから、やっぱり子育て中のルリビタキだったのかもしれないと思った。

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…長沢山への分岐を曲がるとすぐに、キバナノコマノツメが現れます。
そう、Hgさんが教えてくれた。そろそろかなぁ?と、周りをきょろきょろしながら歩いていたら、
『しーちゃん、もしかしたら、あれじゃない?』と、hideちゃんが指差す方を見たら、
「あ~!そう、そう!!そうだよ、咲いてた~♪うれしい。。。」

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最初の一輪を見つけた後、次々と、咲いていてくれた。
本当に小さくて愛らしいスミレ…今年も逢えたね…

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こんな岩の角に寄り添って咲いてる。

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みずみずしい綺麗なお花も…

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周りにはマイズルソウの純白な愛らしい花も咲き始めていた。

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「わぁ!ハルリンドウかな?まだ、咲いてるんだね。」と、わたし。
『へぇ、ハルリンドウっていうんだ。とんがりの蕾が、かわいいね』と、hideちゃんも覗き込む。

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わたしは、もう、夢中になってしまって、傘をさすのももどかしくなって、かぶっていた黄緑色の傘を投げ出した。雨に濡れるのもお構いなし…
そんなわたしの姿をおかしそうに見つめながら、hideちゃんが傘をさしかけてくれた。
「ごめん。hideちゃん、悪いね~m(__)m」
 『いいよ。しーちゃんは、夢中になると、周りが何にも見えなくなるんだね。ほら、タオルだって落としてるよ(笑)』

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キバナノコマノツメをもう少し探しながら、大きなダケカンバの根元までやってきた。
雨は相変わらず激しくて、樹林帯の中はうっすらと霧も立ち込めていた。
そろそろ引き返すタイムリミットだと思った。「hideちゃん、そろそろ下山しようか?今、何時?」
『うん、三時を回ったよ。』 「え~?ちょっと長居をし過ぎたかも…帰ろう。」
わたしは、急に不安になった。ここから車のある林道まで2時間ぐらいかかってしまうだろう。
この天気だから、もう少し時間がかかるかも。ちょっと焦ったわたしを見て、hideちゃんは落ち着き払ってこう言った。
『大丈夫だよ。1時間半もあれば降りれると思うよ。滑らないように気を付けて降りようね。』

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それからは、ただひたすらに下っていく。何度か滑って、とうとうわたしはしりもちを付いた。
谷川を渡り返す場所は、増水して、登山靴の中にも少し水が入ってきた。
雨具を着て傘をかぶっているけれど、どこからか雨水が沁みてくる。
『なんだかふたりとも、泥んこで、ぐっしょりだね。しーちゃん、いたずらっ子みたいだよ。』と、hideちゃんが笑った。
「そういうhideちゃんだって、ドロドロだよ。何だか子供になった気分!STAND BY MEの世界みたい!」と、わたしも笑う。

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頑張って、なんと1時間半で車のある林道まで辿り着いた。
いつももっと時間をかけていたけれど、なんだ、やればできるじゃない。と、わたしは思ったのだった。
「hideちゃん、今日はどうもありがとう。お陰でキバナノコマノツメに出逢えたよ。ずぶ濡れになっちゃってごめんね。でも、きっと、後からじわじわと楽しい気分になるよ。」というと、hideちゃんは、こう答えた。
『とっても楽しかったよ。お花はどこに咲いていても綺麗だけれど、山の上で出会うお花は格別だね。キバナノコマノツメ、最初に見つけたとき、わぁ~!なんて綺麗なんだろうって思ったよ。苦労して出逢うからなおさらなんだね。』

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そして、翌日、hideちゃんは、こんなメールをくれた。

『やっぱり、しーちゃんのいう通り、じわじわと嬉しさがこみ上げてきたよ。しーちゃんと出会わなかったら、山の上にあんなに綺麗に咲く花があることを知らなかったと思うよ。しーちゃんのお陰だね。ありがとう。』
「hideちゃん、楽しい山旅を、ありがとうm(__)m」 わたしは、hideちゃんの友情に感謝したのだった。
2008.06.28 Sat l 山と森 l COM(7) TB(0) l top ▲
日原の集落には、稲村岩という特徴的な山がある。
その全部が石灰岩で出来ているというその山は、美しい円錐形をしていてとても美しい山だ。
稲村岩って、名前も気に入っていて、いつも気になっている山だった。
数年前の夏、登りかけて雷雨に遭い、引き返したまま、まだその頂を極めていない。
いつかは登りたいと思ってはいるのだけれど、いつも通り過ぎてしまうのだった。
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集落の道すがら見上げる…まるで、この村の守り神のようにしっくりと景観に溶け込んでいる。
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中日原のバス停…鄙びた佇まいが素敵…

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早朝の道路には塵ひとつ無い、集落のお年寄りが、お掃除をしていた。
早朝から偉いなぁと思う。「おはようございます。」と挨拶を交わす。
石垣に零れるように咲く紅い薔薇が、雫をたくさん付けて綺麗!

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野生に近いような小さな薔薇の花…
でも、豪華な薔薇より、こんな素朴な花が山里には良く似合っていると思う。
緑の中で、紅い花が可憐に映える。

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まだ、雨は降ってこない。ちょっとだけ、路地を曲がって見た。
あら、ここは、稲村岩への登山道だった…数年前の記憶が重なった。

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路地裏のお宅から昭和歌謡の歌が流れていた。この音の感じは、きっとレコードだろうと思う。
CDのクリアな音源ではなく、どことなく柔らかで、どことなく少し音が割れていて、そこがまた、いい感じ。
ノスタルジックな音色は、レコードに落とした針から流れている、そんな感じがした。
今も大切に使い込まれているのだろうか?黒いドーナッツ版のレコードを懐かしく思い出したのだった。

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この細い路地を降りていって、川を渡り返して登ってゆくのだ…
懐かしいなぁ。あの日は、うす紫のシオンの花がたくさん咲いていた。
今日は、うす紫や、淡いピンクの紫陽花が咲いてる。

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あの日は、雨に濡れたダリア越しに、稲村岩を撮ったけれど、今日は、ほおずきの白い花越しに撮ってみる。

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土塀がむき出しになった蔵のバックに稲村岩…

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ズミの実がたわわに実る

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なんだか、ジェリービーンズみたい。かわいい♪

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このまま、この道を辿り、稲村岩に行きたくなったけど、今日はキバナノコマノツメに、逢いに行くから、また今度ね…

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花陰にひらひらと舞うカノコガや、スジグロシロチョウに、別れを告げて、もときた道に戻った。

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集落の中心には、こんな古い井戸がある。明治時代に向かいの山から水を引いたそうだ。

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この水で、汗を流しているランニングシャツの少年の姿が浮かんだりした。
ほんのひと時、あの夏の日にタイムスリップして、一瞬の時間旅行…
懐かしさに胸がきゅんとなる。

稲村岩より、愛を込めて…夏の記憶を届けましょう。

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2008.06.26 Thu l 日々の想い l COM(6) TB(0) l top ▲
今日は夏至…一年中で、最も太陽が高くなり、昼間が長く夜が短くなる日なのだそうだ。
でも、今日は曇り空で夕方には雨が降り出してしまったから実感が湧かない。

もう、7~8年前の初夏、池塘を埋めるミツガシワの群落を見た。
真っ白な星型の花が一面に敷き詰められたようだった。
わたしは、風立ちぬベンチに座って、ずっと、この光景を見ていた。
白い花の向こうの木道を辿ってゆく登山者の姿が、蜃気楼のようにぼんやりと霞んで見えるほど、日差しは眩しくて夏そのもの。
空はどこまでも青く、眩しい白い雲が湧く山並みは緑に輝く、至仏には残雪、遥か燧は、青く浮かんでいた。
優しい顔をして、至仏の風が、わたしの肩を抱いてくれた。
やがて、木道を辿り、わたしも旅人になる。
尾瀬ヶ原を一面に埋めて、ワタスゲが柔らかな穂を、ふわふわと揺らして光と風の球になる。
ああ、白い夏…そう、呟けば、至仏の風は絶え間なく、やさしく吹き渡り、
白い球は、どこまでも湿原に寄せては返す波のように揺れていた。

そんな事を思い出しながら、庭の白百合を見つめていた。
白い夏は、ここにもあったね。
透明な雫を付けて、今朝一番で開いた清らかな花たち

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あなたたちは美しいね。
純白のウェディングドレスのようだね。

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細い小さな枝をひとつ手折り、花瓶に挿した。
ひっそりと、娘の姿が重なった。

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2008.06.22 Sun l 未分類 l COM(6) TB(0) l top ▲
「おはよう!よく寝れた?」と、娘たちを起こすと、長女はベットの中で大きく伸びをして、
『うん、ふかふかで気持ち良かったからぐっすりだったよ。こんなにゆっくりしたのは久しぶりだよ。』
と、すっきりした笑顔を向けた。
「アイリス、ウッドデッキにさっき、シジュウカラがやってきたよ。」と、声をかけると、
『ほんとう?』と言って、アイリスが飛び起きた。(笑)
三人でウッドデッキに出て、記念写真を撮ったり、空を見たり…
欅の木が、新緑の枝を柳のようにさらさらと揺らしていた。どうやら今日もお天気は大丈夫らしい。

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わたしたちは朝食を済ませ、出発する事にした。
『おかあさん、とってもいい宿だったね。昨日の温泉もとっても良かったし、忘れられない良い思い出になったわ。本当にありがとうございました。』と、娘たちは嬉しそうな顔で深々と頭を下げた。
「どういたしまして、ここなら近いから、また来ようね。」何だかちょっぴりこそばゆいような、でも、ちょっぴり、ジーンとしながら、わたしはそう答えて、宿を後にした。

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アイリスは、颯爽と愛車を走らせて、宿の近くにある札所33番の「菊水寺」と言うお寺に向かった。
早朝の野辺は、なんとも言えないさわやかな風が流れているようだった。
やがて、長閑な田園風景が広がって、早朝から田植えをしている人の姿や、畑を耕す人の姿があった。こんな朝早くから、本当に農家の方は働き者だと思う。
のんびりと旅を楽しんでいるわたしは、申し訳ないような気持ちになった。
道端の草花や畑の蕎麦の花が、初夏の風物詩のように、朝もやの中に浮かんでは流れていった。
車の窓から眺めながらも、わたしは、こんな景色の中を歩きたいと思った。
きっと、あちこちで、立ち止まっては、シャッターを切っていることだろう。
そして、ファインダーの中で見つけた、美しい初夏の宝物を、ひとつひとつ胸に刻み込んでゆくことだろう。
わたしには、そんな歩き方が似合っているのだと思う。

車は札所の駐車場に滑り込んだ。がらんとして、まだ、一台の車も止まっていない。
8時から参拝が出来るそうだが、どうやら、わたしたちが一番乗りのようだった。
桜並木と石畳が美しい参道を娘たちは連れ立って歩いていく。

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綺麗に掃き清められた境内は、清々しい朝の空気が流れていた。
塵ひとつ無い堂内は、ひんやりと水を打ったように静まり、開け放たれた縁側の向こうには、滴るような緑の庭園が広がり、磨かれた床や、畳の上をその木々の緑が染めているように見えるのだった。
そんな奥まった祭壇には、重々しい扉を開かれて秘仏が安置されているのだった。
本当に、厳かな感じで、気持ちが引き締まるような気がして、わたしたちは無心で手を合わせた。

こちらの住職さんが、写経をしておられたが、厳しさと暖かさが感じられる和尚様だった。
わたしたちが差し出した納経帳を、一度目の高さに掲げ一礼してから、書いてくださる。
そして、戻される時も同じように一礼してから、手渡してくださる。
いつも、変わらないこの作法に、格調高さと、人間性の深さを感じさせる人だと思った。

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ヒエンソウ(飛燕草)に似た紫色の美しい花がたくさん咲いていた。
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赤やオレンジ色のグミの実もたくさん実っていた。
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早朝のお寺は気持ちいいなぁ…
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このお寺は、34の札所の中でも離れた場所にあるお寺だ。あと、31番、32番、34番と3箇所ほど離れた位置にあるお寺がある。
これらの札所は、こんな風に宿泊しなければ、朝1番で訪ねる事は出来なかったと思う。
日帰りでも十分に来られる距離…でも、宿泊するっていいものだなぁと思う。
わたしたちは、清々しい気分で長閑な里山を超え、秩父市内へと戻っていった。
『今日は、昨日の続きで秩父市内のお寺を回って、後は、帰り道にあるお寺に寄りながら、帰ろうと思いますが、いいでしょうか?』と、アイリスが今日の予定を発表した。
『うん、いいよ。アイリスにお任せするよ。よろしくお願いします。疲れたら、運転交代するよ』と、長女が言った。もちろん、わたしは、異議なしだった。(*^_^*)
次のお寺は、小さな草花が参道脇に植えられた長閑なお寺だった。

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札所17番の定林寺。ここのお寺の鐘が有名らしい。
一面に観音像が刻まれ、たくさんの文字が刻まれている。これだけ彫るのは大変な事だろうと思う。

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このお寺の納経所の人が、フウセンカズラの実とジュズダマの実で作った、小さな巡礼人形をプレゼントしてくださった。
三人のおじいちゃんの中の一人の人が作ってくださっているのだそうだ。明け方までかかる事もあるのだという。
とても丁寧にひとつひとつ手作りされたお人形は、納経に訪れた人々に、差し上げて喜ばれているそうだ。
アイリスも長女も、とても喜んで、『わぁ~!とってもかわいい!ありがとうございます♪』とお礼を言っていた。

『フウセンカズラの実のハート型の白い模様を顔に見立てるなんて、凄いアイデアですね~。』と、アイリスはすっかり感心してしまった。
人形を作ったおじいちゃんは、『フウセンカズラの実を良く知っているね。体はジュズダマなんだけれど、知っているかなぁ?』と尋ねた。
『あっ、知ってます。お手玉の中に入ってる実ですよね。』と、長女が答えた。
『そうそう、よく知ってるね。』思いがけなく会話が広がった。秩父の人の温かな人情が感じられ嬉しかった。
『ありがとうございました。大切にしますね。』 『はい、はい、道中気を付けてね。』
「いつまでも、お元気で…」そんな言葉を交わしつつ、札所を後にしたのだった。

札所19番 から、飛び飛びで8番まで、写真でどうぞ!
札所19番、龍石寺は、山の上にある大きな一枚岩の上に建てられたお寺だから、樹木や花がほとんど植えられていない。なんとなく殺風景な感じだけれど、このお寺は日照りの時に、大岩が割れてそこから龍が生まれ、雨を降らせて救ってくれたと言う言い伝えがあるそうだ。
ごつごつとした岩がむき出しになった境内…それでも、淡い薄紅色のユウゲショウと、無垢な白さのドクダミの花が風にゆれていた。
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次は、札所18番、西光寺
このお寺には四国八十八箇所の観音霊場のご本尊様のミニチュア版の仏像が並んだ回廊があり、この回廊を通ればお参りした事になるのだそうだ。
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いつも、巡礼の人が腰掛けて、お弁当を広げたり、のんびりおしゃべりをしているベンチも、朝早いから、人影も無く雀たちが追いかけっこしているだけだった。
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14番、札所の今宮坊。長閑なお寺では、町の人たちがお茶の接待をしてくださっていた。
歩く道すがら、スカシユリが綺麗に咲いていた。
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「このお花、何だか、かわいいね。」と言うと、長女は、『うん、ミッキーマウスを逆さまにしたように見える!』と言った。なるほどね。(笑)
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駐車場の片隅に、小さなハキダメギクの花に囲まれて、キキョウソウの花が咲いていた。
ちいさな、ちいさな、紫が微笑んでいるみたい。
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次のお寺は、15番札所の少林寺。秩父鉄道の線路がすぐ下を走っていて、細い路地の踏み切りや、草の土手がいい感じ。今日は、タイサンボクの花がほのかに甘く香っていた。

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アイリスは、この仏像が好きだった。
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アサザという水草が咲いていた。かつては沼や池に群生していたけれど、今は稀少な植物になってしまったらしい。黄色い花が美しく繊細に思えた。
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次のお寺は、法長寺。7番札所だ。このお寺は牛伏の寺とも言われ牛を祭っている。
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涼しげな浮き玉…
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御朱印帳に御朱印をいただき、お寺の名前を書き込んでいただく、これを納経と言う。
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道端に咲いた小さな季節の花を愛でながら気が付けば7つの札所を巡っていた。
「そろそろお昼だし、それじゃ、この辺でお蕎麦を食べて帰ろうか?」
秩父は蕎麦の街と言われるほど、たくさんのお蕎麦屋さんがあるのだ。
アイリスと以前食べて美味しかったお店にやってきた。

いよいよ、楽しかった秩父の旅も終わりに近づいてきた。
最後に、樹齢600年のコミネカエデがある札所西善寺に着いた。
この巨木は東西に20m、南北に18mの枝を張り、樹高は10mあるという。
苔むした庭園の緑も美しいお寺だ。
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思えば、初めてアイリスと訪れたのが、このお寺だった。
2年前の11月初旬…ちょうど、このお寺の小峰もみじが色づき始めた頃だった。
この時、門前で出会ったおじいさんがいた。
この人は、以前、タクシーの運転手さんをしていたので、札所巡りにとても詳しかった。

そして、お宅がこのお寺のすぐ傍にあるので寄っていきなさいと、お茶をご馳走してくださり、
分かりやすい札所の地図をくださった。
御朱印帳の意味を教えてくれたのもこの人だった。
この人に出会わなかったら、御朱印をいただきながらの札所巡りの旅をしようとは思わなかったと思う。

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若いお坊さんの後姿がりりしかった。
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少しづつ廻り始めた札所、訪れる度に癒されていた事を思い出す。
あの頃に抱えていた悩みは、今は少し軽くなった。
御朱印帳も今では3冊目になった。長女も自分の御朱印帳を持っている。

こんな出会いもあるのだなと思う。
いつか、四国の八十八箇所の札所を巡って見たいと思うのだった。
たぶん、それは、ずっと先…。人生の最終章に差し掛かった頃かもしれない。

その時には、できるなら、人生の苦楽を共にした夫と一緒に歩いてみたいとそう思うのだった。
きっと、何かが見つかるかもしれない。こころが触れ合える事…
長い人生の中で、それがわたしの望みだったから。

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わたしたちの巡礼の始まりのお寺、西善寺を最後に、今回の旅は終わった。
「昨日は、7寺、今日は8寺、随分たくさんのお寺を巡る事が出来たね。アイリスお疲れ様。」と言うと、
『おねえちゃんも、満足したかな?出だしが遅れてしまったから、なるべくたくさん回ってあげたいと思ったんだ。』と、笑った。
そうだったのね。いつになく、アイリスが、熱心に地図を眺めていた訳が分かったのだった。
姉の遅刻分を取り返してあげようとしていたのだ。
『アイリス、とっても楽しかったよ。ありがとうね。』と、長女が言った。
『お姉ちゃん、また、一緒に行こうね。』
ふたりの笑顔が輝いているように見えた。
さりげない優しさが胸に沁みる旅の終わりだった。

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横瀬町にある寺坂の棚田は、武甲山を望む絶好のロケーションで、秋にはコスモス畑に変わる場所だ。今は、田に水が張られ美しい景色が広がっていた。
ちょっと曇り空だったけれど、田の縁に腰を下ろしてスケッチを楽しむ人たちの姿が、こころ安らぐ風景になっていた。
年々採石され大きく削られて姿を変えていく偉大な山、武甲山が、人々の暮らしを見守ってくれている。
この山を見上げると、いつも郷愁を感じてしまう。
わたしは、この秩父という地が好きなんだなぁと、しみじみと振り返りつつ武甲の里に別れを告げた。

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長い旅行記にお付き合いいただきありがとうございました。m(__)m
2008.06.18 Wed l 里山 l COM(4) TB(0) l top ▲
『5時で、納経所がしまってしまうから、最後に、音楽寺に寄って、今日は終わりにしようか?たぶんぎりぎりで間に合うと思うから』

今日の7つ目の札所の音楽寺に着いたのは、5時少し前だった。
最後の参拝者となったわたしたちを、納経所の方は優しく迎えてくれ、たのだった。

小高い丘の上にあるこのお寺からの眺めは真正面に武甲山が大きく聳え、秩父の町並みが眼下に広がっていた。
「きっと、夜景が綺麗だろうね!」と、三人でしばらく眺めていた。

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本堂の裏に続く、ちょっとした竹林を登っていくと、ぽっかり空が開けて、13仏が佇む尾根に出る。

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草生した尾根は遠く秩父の青い山並みのほうへと消えていて、ひっそりと13仏が秩父の町並みを向いて立っていた。

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かつては、この峠を越えて、人々が秩父の町へと向かったのだろう。旅の無事を願って峠にはお地蔵さんが奉られていたのだと思う。
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なんとなく、民話の傘地蔵を思い起こさせるような素朴なお地蔵さんだったが、今は目の前に立派な別荘が建てられていて昔の景観はなかった。
ちょっと残念な気もするけれど仕方がない。せめて写真は、山々を背に、昔のイメージで撮ってみた。

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ミューズパークは、ひとつの丘陵全体が、テニスコートなどの野外施設や、バンガロー、野外音楽堂などが、点々と広がる公園になっていた。
その一角には、流れるプールがあり子供たちが小さい頃、電車とバスを乗り継いで連れてきた事があった。
『ここのプール、おかあさんに連れてきてもらったことがあったね。』アイリスはまだ、小学校1年生の頃だったのに覚えていたようだ。
『そう言えば、レッドアローに乗って来たんだったね。ここだったんだ~!』と、長女も思い出したよう。

「そうね。あの時は、西武秩父の駅から、シャトルバスに乗って随分はるばる遠くまで来たなぁと思ったわね。お兄ちゃんもまだ6年生ぐらいだったかなぁ。結構、がんばってあなたたちを連れてきたのよ。」あの頃は、若かったなぁ…なんて感慨深く思っていたら、
『おかあさん、あの頃連れて来てあげた娘の運転で、今、ここに来てるってどんな感じ?』と、アイリスが聞いてきた。

「そうね。しあわせだなぁ…って感じよ。」と、答えると、アイリスはにこっと笑った。
やがて、車は坂道を下り、公園を抜けて里山へと入っていった。

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周りを山々に囲まれた静かな田園地帯が続く。午後6時を過ぎて、あたりは夕暮れのほの暗さが広がり、郷愁をそそるような風景が広がっていた。

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夕餉の支度に取り掛かったのか、ところどころで薄煙りが上がっている。
野辺には、キンケイギクの黄色い花が緑の中でひと際、鮮やかに見える。

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一面に白い花を付けた蕎麦畑が広がっていたり、水を引いた田んぼで、まだ作業をしている人もいたり、全てが懐かしいような郷愁に包まれて、何だか時間さえもゆっくりと刻まれているような気がした。

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緩やかに蛇行しながら、そんな里山を、流れるようにアイリスの愛車は走り抜けていく。「ジーノは、風になってるね。」わたしは、車窓の景色を忘れないように胸に映していた。

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『たぶん、この道で良いんだと思うんだけれど…。』
のんきに郷愁に浸っているわたしと違って、アイリスは真剣だった。
助手席の長女も、地図を広げて眺めている。
『この先に泉田って言う交差点があると思うんだけど…』
『あっ!あったよ。その角を右に行くみたいよ。』
『良かった。間違いなさそう!』こんな感じで娘たちは上手に今日の宿泊地を探し出していた。

やがて、行く手におしゃれなホテルが見えた。教会のチャペルもある。

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「あ、そこそこ、あのホテルがそうだよ。」と、わたしが、後部座席から身を乗り出すと、
娘たちは、『え~?ここでいいの?結婚式場じゃないの?』と不安げだ。
「うん、いいんだよ。結婚式場を併設しているホテルだから。」
『ほんとうに?…』と、疑り深い娘たちなのだった。(笑)

駐車場に車を止めると、美しい芝生を敷き詰めたガーデン・ウェディングのチャペルが目に飛び込んできた。
『わぁ~!素敵だね!』『あの階段から新郎新婦が入場してくるのかな?』
『みんなから、祝福のフラワーシャワーが、降り注ぐんだね!』

『いつかは、アイリスもそんな日を迎えるんだね。きっと、かわいいだろうなぁ』と、長女はしみじみと妹の顔を覗き込んだ。

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ホテルのロビーに入ると、なかなか素敵な内装だった。
むすめたちは、『いいの?おかあさん、なんだか豪華そうだよ。』なんて心配してくれている。
「うん、大丈夫。そんなに高くないのよ。」

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フロントの人に案内されてお部屋へ通された。中庭に面した窓側には、ウッドデッキのテラスもあった。

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『わたし、ウッドデッキって、憧れなのよね♪』
『あっ!ベットなんだ。ベットに寝るの久しぶり~♪』
娘たちのはしゃぎぶりを見ているのは楽しい。

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「気に入ってよかった!今夜のディナーはフレンチよ。結婚式場のレストランに用意されてるんですって」
『え~!ますます、おしゃれじゃない。おかあさん、いいの?』
「いいのよ。せっかくだからね」

わたしたちは、食事のために、外へ出た。宵闇がせまり、ほの暗くなったチャペルの庭には、外灯が点り、芝生の縁に豆電球が輝き、光の道になっていた。

その道を辿って、大きな扉を開けて中に入ると真紅の絨毯が敷き詰められ、ロビーや螺旋階段には、大きなシャンデリアが美しく光り輝いていた。
わぁ!素敵ね~!わたしたちは、ため息をつきながら階段を上りつめ、2階にあるレストランの扉を開いた。

可愛いブーケが飾られ、優しくキャンドルが点るテーブルに案内された。
わたしたち三人だけの貸しきり状態だった。
『ちょっとだけ、飲もうか?』ということで、ワインで乾杯。
「女三人旅の復活に乾杯!」だけど、ワインは強すぎて、わたしはドキドキしてしまった。
お料理もなかなか美味しくて、メインディシュの金目鯛やフィレステーキに舌鼓を打った。

『わたし、フランス料理のフルコースって、初めてよ♪』と、アイリスも嬉しそう。
『やっぱり、スーパーのステーキとは、だいぶ違うね♪』と、長女はいかにも主婦らしい感想を漏らした。
そして、デザートは、季節のフルーツとレアチーズケーキの盛り合わせ。
やっぱり、女性は、甘いものに目が無いから、三人ともニコニコだった。
ゆっくりと食事を堪能して外に出ると、すっかり日が暮れて、チャペルの上には細い三日月が覗いていた。
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『あっ、チシャ猫が、覗いてるよ。』
 『ほんと、アリスのチシャ猫が、にんまりと笑ってるね。』
子供の頃のままの会話が懐かしく、優しく、わたしの耳元をくすぐるのだった。

温泉は別棟に大きな温泉施設があり、そちらを利用する事が出来ると言うので、三人でホテルの敷地の外へ出て散歩しながら向かった。
遠くから、ドドン、ドドンとお腹の底に響くような和太鼓の音が響いていた。
どこから聞こえてくるのかしら?ときょろきょろと辺りを見回したけれど、漆黒の闇に支配された野原がどこまでも続いているのだった。
『あら?あそこじゃない?』と、アイリスが遠くを指差した。
川の向こうの遥かな森影の中に、ぽっかりと小さな明かりが浮かんでいた。
『あっ!本当だ。バチを振り上げて叩いている人影が見えるよ。』と、長女が言った。
わたしには、ぼんやりと暗闇にほのかなオレンジ色の明かりが浮かび上がっているようにしか見えないのだが、娘たちにはしっかりとその姿が見えるらしかった。
「夏祭りの練習なのかしらね?それとも、狸か狐かなぁ…(笑)」
『うん、きっとそうだよ。(笑)』わたしたちは、そんな事を話しながら、朧月夜の田舎道を歩いていった。
わたしは、あの、太鼓の音色を辿って見に行ってみたい衝動に駆られながら、彼方の明かりをぼんやりと眺めた。

“星音の湯”という、温泉は、とっても雰囲気のある温泉だった。

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中庭にも、出られるようになっていて、湯上りに涼むのも気持ちがいい。
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お湯もとってもすべすべしていて、気持ちがいい湯だった。
わたしたちは三人でのんびりと露天風呂につかりながら空を見上げた。
残念ながら、今夜は雲が多くて星は見えなかったけれど、とっても寛げる時間を過ごした。
長女は、『ああ、落ち着くね~♪すごくのんびり出来るわ…こういうのを幸せっていうんだね。』
なんて言っていた。
アイリスも、『また、三人で来たいね。』と、にこにこしていた。
「ささやかだけれど、しあわせって、小さければ小さいほど、こころに沁みてくるものなんだね。」と、わたしが言うと、娘たちは、『うん、とっても幸せだよ。おかあさん、ほんとうにありがとう♪』と、口々に言ってくれたのだった。

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宿に戻ってからも、ふだん遠く離れて暮らしている長女と積もる話もゆっくり出来た。
お陰で、いつもこころにかかっていた心配事も晴れていくような気がした。
ほんとうにささやかだけれど、こころを紡ぐ旅になった。
わたしは、ここに来て良かったと思いつつ眠りについたのだった。

長々と退屈かもしれませんが、次回は早朝の秩父路へと続きます。
良かったらお付き合いくださいm(__)m

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2008.06.15 Sun l 里山 l COM(6) TB(0) l top ▲
札所1番のバス停で、おばあちゃんがふたり。

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山門のお札
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旅籠1番という、旅館。ここもいいなぁと思ったけれど…。

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札所2番は山の中の細い一本道を登っていく。かなり急坂。
「ジーノ、がんばれ!」アイリスは愛車に声をかける。(*^_^*)

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この先の道には、
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こんな風景が広がっていた。
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アイリスは、スジグロシロショウを狙っている。
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山の上にひっそり佇む観音堂にお参りして、下山。
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途中の山道にはホタルブクロの花が揺れてる。アイリスに頼んで車を止めてもらって写真を撮った。
山道に咲く、ホタルブクロって大好き!
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木洩れ日とそよ風の道を下ると、清らかな川の流れが傍らに…
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里に下りれば、桔梗の花も咲き出した。
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こんな里道の奥には、
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仁王様が、佇む長閑な山寺がある。
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ご開帳の期間には、散華(さんげ)と言って、そのお寺の花が描かれた絵札がいただける。
それを、34寺の枚数を集めて台紙に貼ると、“花浄土”になると言う。
長女の分と、アイリスの分を作ろうと思って、今、散華を集めているのだった。
期間限定となるとなんとなく、集めて見たくなる。こういうのも楽しみが増えるものだと思う。

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このお寺にも、白いホタルブクロが花盛りだった。
清楚で、精霊が宿っているような、そんな花だと思いつつ、写真に夢中になってしまう。

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山門の向こうには、タチアオイの花が、初夏の日差しの中に美しい…

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巡礼の道
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長閑な里道を抜けて、
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気持ちのいい景色の中に、
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野原と水田に囲まれた、3番札所がある。
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紫陽花の花咲く美しいお寺だ。
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色とりどりの紫陽花
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水田の水面に、映える紫陽花の花

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紫陽花の小道
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次は、影森という駅のそばにあるお寺。
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アイリスは「影森」という、駅名が素敵と言う。
『おねえちゃん、このお寺の観音堂は月影堂というんだよ。月影堂って素敵な呼び名と思わない。』
『うん、本当だね。』そして、御朱印をいただいたら、三日月の印だった。
アイリスと長女は、嬉しそうに目を合わせて笑いあった。
たったそれだけの事なのに、幼い頃の娘たちの面影が重なってほのかな思い出がきらきらと香り立つような気がした。

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山からの湧水を引いたという延命水。
『このお水を一口飲むと33日長生きするって書いてあるよ。』
『じゃぁ、おかあさん、いっぱい飲んでおけばいいよ。』
「3口飲んだから、99日は長生きできるわね。」
娘たちも一口づつ飲んだ。(笑)雪ノ下の白い花が揺れていた。

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山の中腹に建つ、大きな観音像に見守られているようなそんなお寺だった。
観音様の目線と合うという敷石の上に立って見上げると、何となくアイコンタクトが取れたような不思議な気持ちになるのだった。

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カエデの赤い新葉が燃えているように綺麗だった。

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ヤマボウシの白い花が、逆光で緑に真っ白に浮かぶ。

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ハコネウツギの花も綺麗。

さて、次はどんなコースを取ろうか?アイリスは地図を開いて眺めていたけれど、荒川を渡りミューズパークという丘を越えて宿のある小鹿野へと入る事に決めたようだった。

長くなりました。続きは、また明日。(*^_^*)
2008.06.14 Sat l 里山 l COM(2) TB(0) l top ▲
「おかしいわね。ケータイが繋がらないわ…。高速道路を走ってるのかしら?」
わたしは、朝から何度か娘の携帯に電話をかけていたが繋がらない。
心配性の悪い癖でだんだん不安になってきた。
今日から3日間、長女が里帰りすることになっていた。

『彼が2泊3日で北海道に旅行に行くので、その間、また帰って来てもいい?』
5月に遊びに来た時、長女はそう言って帰っていった。
せっかく泊りがけで来れるのなら、どこか遊びに連れて行ってあげたいと思い、あれこれ考えを巡らせていた。
最初、尾瀬に行きたいなぁと思った。ちょうどミズバショウの季節、久しぶりに娘たちと歩いてみたい。
娘たちはお母さんに任せるよ。と言ってくれたけれど、いろいろ考えたら、近場でゆっくり出来るところが良いのかなぁと思った。

アイリスの日曜デートも邪魔したくないし…。日頃、忙しい長女をゆっくりさせてあげたいし…。という事で秩父の温泉で1泊して、いくつか札所を回る事にした。
宿泊場所もネットで検索し、娘たちが喜びそうなおしゃれなリゾートホテルっぽい所に決めて、心待ちにしていたのだった。

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すると9時頃、やっと娘と電話が繋がった。『おかあさん、ごめんなさい。寝ちゃって…今、起きたの。』良かった事故じゃなかった。。。
ほっとした途端「え~?朝から待ってたのよ。すぐ出れるの?家の事は終わってるの?」と、つい、強い口調になってしまった。(反省)

『楽しみにしてたのに本当にごめんなさい…。』と娘は涙声…。わたしは慌てた。(^_^;)

「しょうがないわねぇ。でも、泣かなくてもいいわよ。」『だって、本当に申し訳ないなぁと思って…。』

「電話が繋がらないから、ちょっと心配していたのよ。でも、お昼ごろまでには着くでしょうから、焦らないで気をつけておいで。慌てないでいいからね。」
お昼頃、すまなそうな顔で長女がやってきた。
彼を4時半に送り出した後、洗濯や掃除を終わらせたらついうとうとしてしまったらしい。

「日頃の疲れが出たんでしょう。急ぐ旅じゃないんだからいいよ。それに、お布団が干せたから、かえって良かったのよ(^_^)」
『そうだよ。気にしない、気にしない、今日は、運転はわたしに任せて!道は全部頭に入ってるから(^_^)』と、アイリスもホローしてくれた。
『ほんとうに、ごめん。』と、長女はいつもの笑顔になった。

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ちょっと出だしは遅れたけれど、爽やかに晴れた梅雨の晴れ間を一路秩父路へ。
アイリスは上手にお寺を回っていく。季節の花が咲き、緑が目に沁みる札所巡りは楽しいものだった。
ご開帳という事もあり、どこの札所も堂内が開かれ、ご本尊の観音様を見る事ができるので、参拝する人たちも多かった。

アイリスは、今日も望遠レンズに挑戦。
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アイリスが狙っていたのはヒメジャノメさん。
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お寺の境内では野良猫が、のんびり、寛いでいた。
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長女は、お寺の門前の小屋で、ミシンを踏んでいるおばあちゃんを見つけた。
見ると、ハギレで作ったかわいいバックや巾着袋を売っているのだった。
手にとって眺めると、とても綺麗な仕上がりだった。
『おばあちゃん、おいくつですか?』 『はい、88になりますよ。』
『これ、みんなおばあちゃんが作ったんですか?とっても上手!』
『年寄りの暇で作ってるからねぇ。これが300円で、こっちが、500円です。』
そんな会話の後、長女は、『これが、かわいいから、これください。』と言って、手提げバックを一つ買った。『はいはい、どうもありがとうね。500円です。』
『おばあちゃん、ありがとう、お元気でね。』長女はそう言って、嬉しそうにバックを早速手に提げたのだった。

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次のお寺へ、アイリスの運転はスムーズだ。

色とりどりの垂れ幕に、風が見えた。
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アイリスと長女は、人々の不の感情を預かり、平常心に戻してくれるという、預かり観音という仏像の前で、じっと見つめていた。
この観音様は3つの顔を持っている。怒りの顔、嫉みの顔、病気などの苦しみの顔。
『みんなの怒りを預かってるから、こんなに凄い形相なのね。』とアイリス。
何だか良く分からないけれど、この観音様の顔を見ていたら、心の中がすーっと軽くなった気がしたよ。小さなことでくよくよしたり、怒ったりしちゃだめなんだね』と、長女は笑顔でそう言った。

札所を巡っていると、自然に仏像に手を合わせ、いつしか静寂な空間に心癒されている。
きっと誰もがそんな気持ちになるのかも知れない。庶民の信仰の対象だった札所の素朴な温もりがそうさせるのだと思った。
たまにはこんな時間を持つのも良いものだと思った。

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ドクダミの白い花が、風に光っていた。
続きは、また、明日。(*^_^*)
2008.06.11 Wed l 里山 l COM(4) TB(0) l top ▲
さぁ!いつもの道の駅を通り過ぎ、雨が上がった空に武甲山が、いつもより大きく近く見える道を走り抜ける。
『なんだか、わくわくするね!』 「うん!ホント(*^_^*)どこのお寺に行こうか?」
『う~ん、どこでもいい!』 「そうね。じゃぁ、野坂寺に行って見ようか?」
『この辺りの道だったっけ?あれ?何だか通った事の無い道にきちゃった…』
「大丈夫、大丈夫、このまま行こうよ。細い路地裏って面白いね。」
わたしたちは、秩父鉄道のガード下をくぐったりしながら、昔ながらの巡礼古道を走り抜けた。
「何だかいい道ね。自転車で走りたいね。」
『ほんと、風を切って、走ったら気持ちいいだろうね!』
「ねぇ、ここをSLが走ってきたら、素敵じゃない?向こうから汽笛がボーーーなんて聞こえてきて、ゴトンゴトンゴトンなんて、だんだん近づいてくるの。」(^。^)
「最初は、小さな黒い点が、だんだん大きくなって、迫力満点で目の前を通り過ぎる…お腹の底に響くんだよね。』(*^_^*)

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野坂寺の駐車場に着くと、観光バスが止まっていて巡礼姿の人たちが次々と降りてくる。
今年はご開帳だから、きっと巡礼ツアーがあるのかも知れない。
白装束に菅笠、古来からの巡礼スタイルだけれど、今は、バスで一気に回ってしまうのだろう。
わたしたちも車で回っているけれど、いつか、昔の人々のように、一寺、一寺、自分の足で回ってみたいと思うのだった。

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山門からは、青く秩父の山並みが望めた。

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野坂寺は、のどかで明るいお寺だった。木彫りの仏像がたくさんあって、境内も広くて気持ちがいい。

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山門から並んだ瓶の中には、ハスが植えられ、緑の葉っぱの上には、雨上がりの雫がころころと玉を作っていた。
『綺麗だね。雫が銀色に光ってる。』 「そうだね。コロンと葉っぱの上で揺れているね。」

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今日は、拝殿の中に人々が集まってご詠歌を歌っていた。
よく分からないけれど、何だか懐かしいようなこころに沁みる節回しだった。
わたしたちは静かな境内を歩きながら、人々の詠うご詠歌に耳を済ませていた。
『なんだか、こころが落ち着くね。この空間…』
「そうね。青空からお日様も暖かく照らしてくれてるし、風は柔らかくて心地よいし和むね。」
『あっ!素敵だね。睡蓮が咲いてるよ!』 お寺の横には、色とりどりの睡蓮の花が咲いていた。

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わたしたちは、あっ…と、思った。今朝、名栗のお宅で見せていただいたかわいい睡蓮の花が思い浮かんだからだった。
何だか導かれているよう…ふたりとも同時に、そんな気持ちになったのだった。

いろんな種類の睡蓮の花が、美しく咲き競う。
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水面に映る姿も美しいね。

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   赤いべべ着たかわいい金魚、おめめを覚ませばご馳走するぞ
   赤い金魚はあぶくをひとつ…昼寝うとうと夢から覚めた~♪

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夢中で写真を撮っていたら、お寺の休憩所の方がやってきた。
『お花が好きなんですか?もう少ししたらハスの花も咲き始めますよ。良かったらお茶の接待をしていますから、お寄りくださいね。』
なんて、不思議な事…合言葉は、「お花が好きなんですか?」
わたしたちは、思わず顔を見合わせて笑いあったのだった。

お寺の庭には他にもいろんなお花が咲いていてわたしたちは嬉しくなった。
美しいアヤメの花。この紫と、清々しい葉の美しさ。和のお花の魅力を感じる。

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白砂に映えて美しい。
    紫のひともとゆえに武蔵野の 草はみながらあわれとぞ見る

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白いエゴの木は、よく見かけるけれど、薄紅色のエゴノキは初めて見た。
まるで桜の花のような華やかさと、俯いて咲く姿がどこか恥らうようで愛らしい少女の面影の花だった。

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水瓶に散った花びらも、かわいらしくて、思わず並べて見たくなる。

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紅と白、寄り添うふたつの花…
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ハクサンボクの花、芳香がほんのり漂う。
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芍薬の花は、少し重たげに雫をたくさんまとっていた。
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小さな石庭。
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今日は、拝殿にも入れてもらえ、間近で秘仏も拝見できた。
中庭も美しい庭園になっていて、わたしたちは縁側に座って眺めた。
なんともいえないいい空間・・・ふたりじめ(*^_^*)

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わたしたちは、野坂寺を後にして、次の目的地へ向かった。
いつも気になっていた大きな鳥居のある角を曲がったら、どんどん山奥へと道は伸びていた。
うっそうと茂る木立の奥へ。臆せずにわたしたちは進む。
今朝の出会いが導いてくれる。そんな不思議な思いが、わたしたちのこころを強くしているみたいだった。
『凄いね。どんどん、山奥に入っていくよ。』 「うん、今朝のおじさんに教わらなかったら、間違いだと思って、きっと引き返しているね。でも、どこへ着くんだろう?」
やがて、道は開けた田園風景の中に飛び出した。山々に囲まれ、清流に囲まれ、長閑な佇まい。
そこは、奥秩父の山間の、秩父七湯のひとつ柴原の湯温泉卿だった。

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「秘湯を守る会だって。素敵なところね。泊まってみたいなぁ」
『うん、夕暮れ時なんて、寂しそうだけれど、宿に明かりが点ったら、きっと懐かしいようなあったかい気持ちになるだろうね』
まるで、湯治場のような古い建物だった。400年の歴史があるのだとか。

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そばを流れる小川に、カジカガエルの鳴き声が寂しげに懐かしく、響きだした。
郷愁をそそるその音色に耳を澄ましながら、わたしは、タイムスリップしたような気がした。
「素敵な場所を教えてもらったんだね。今度、いつか泊まりに来ようね。」
『蛍も飛びそうだね。みてみたいなぁ…』

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わたしたちは、ちょっぴり冒険の旅から、満足した気持ちで家路に着いた。
帰り道、畑に咲いたルピナスの花を見つけて、また寄り道をした。
今度は、誰も、合言葉をかけてはくれなかったけれど、美しいルピナスの花がわたしたちを優しく包んでくれたのだった。

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こんな風に、わたしたちの花めぐりの旅は終わった。
明日、山梨から長女が帰ってくるので、アイリスと三人で一泊で秩父路の温泉旅行に出かける。
最初に別の宿の予約を取ってしまったので、残念ながら、この“柴原の湯”には、泊まれないけれど、また、きっと素敵な出会いがあると思います。
お天気も良くなりそうだし、のんびり楽しんできますね。
2008.06.06 Fri l 里山 l COM(2) TB(0) l top ▲
5月下旬の日曜日、夜来からの雨が朝になっても降っていた。
今日はどうせ雨だから、ドライブでもしようか?と言う事になった。
ちょうど、秩父札所は午年のご開帳に向けて、今年は前開帳の時期だった。
普段は厨子の奥にしまわれ、けして扉が開くことが無い秘仏を見せていただけるのだ。
いくつか札所を訪ねて帰ってこようと思って家を出た。
途中、名栗を通過する時、川岸のニセアカシアの花が咲き始めていることに気が付いた。

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「あっ!ニセアカシアの花が咲いている。」
『見たいの?じゃ、寄っていこうか?』って、事で車を止めてもらう。
「あれ?何だか、雨が上がりそうな気配だよ。」
『本当だ!さすが、晴れ女だね~♪』
そんな事を言いながら、川岸の土手にかわいく咲いたマーガレットの白い花を撮っていた。

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すると、川岸のお宅の方が出てきて、わたしたちの方に歩いてこられる。
「こんにちわ。」と挨拶をすると、笑顔で、『お花がお好きなんですか?』と訪ねられた。
「ハイ!マーガレットやアイリスが綺麗だったのでつい…」と答えると、
『今ね、睡蓮が綺麗に咲いているんですよ。ご覧になりますか?』と言ってくださった。
わたしたちは、二つ返事で、「ハイ!」と答えた。
奥さんは、先に立って、『家の庭に咲いているんですよ。こちらからどうぞ。』と、木戸を開けてお庭の方へ導いてくれた。
お庭いっぱいに、たくさんのお花が植えられ、その一角に、大きな瓶がいくつも置かれていた。
そして、瓶の中には、小さな睡蓮の花が、今朝、開いたばかりと言うような綺麗な花姿で咲いていた。

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「わぁ、綺麗ですね~♪とってもかわいいわ!写真に撮らせて貰ってもいいですか?」と言うと、『どうぞ、どうぞ。わたしも自分でも写真に撮りたいなぁって思っていたくらいですから。』と笑顔で言ってくださった。
『主人が植えたんですけれど、今年は綺麗に咲いてくれて、本当に嬉しくて…』と、いとおしそうに睡蓮の花を見つめていらっしゃった。

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わたしたちは、何枚も撮らせていただいてお礼を言って、このお宅を後にした。
「優しい奥さんだったね。」 『うん、いい人だったね。』
「雨、上がりそうだね。」『睡蓮の花も雫に濡れてきれいだったよね。』そんな事を話しながら
お庭の片隅に咲いた一輪の真紅の薔薇も美しかった。

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名栗から秩父方面に抜ける山道に差し掛かった通りに、製材所があって、数軒の民家が寄り添うように建っている場所がある。
土手に作られた畑や、木の香り漂う材木が置かれていたりするのだった。
いつも四季の花が咲いていて、時折り車を止めて、写真に撮らせてもらったりしていた。
今日も、変わった色彩のカモミールのような小花に惹かれて車を止めた。

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「何のお花かしら、シックな色合いが綺麗ね。」『雨の雫が付いてて綺麗!』

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「あら、オダマキも咲いているね。」 『これが、オダマキって言うの?綺麗な花だね。』

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「ねぇ、こんなことしていたら、また、誰か出てくるかもね。」
『うん、また、お花が好きなんですか?なんて言われたりしたら面白いね。』

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そんな事を言い合っていたら、どこからとも無くお父さんが出てきた。
そしてなんと、わたしたちが期待した通りの言葉で話しかけてきた。
『花が、好きなのかい?』

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わぁ…びっくりした!本当に、おじさんが出てくるとは思わなかった。
しかも、同じ言葉で話しかけてくるなんて(笑)
「ええ、好きです。このお花がとっても綺麗な色だったので、つい。」なんて、答え方も同じになってる。(*^_^*)
『そうかい。でも、オレは、花は嫌いだなあ』と、おじさん。
「ええ?どうしてですか?」 『花は咲いても3日、って言ってよ、咲いてもすぐ散ってしまうから嫌いなんだ。』と、おじさん。
な~んだ、花の命は儚いから嫌いなんて言ってるのね。本当はおじさん、お花が好きなんじゃない?って、こころの中で思った。(*^_^*)
すると、おじさんはこう言った。『今年も、枝垂桜を見に秩父に行ったんだけれど、早すぎたなぁ…。なかなかちょうどいい時期に行くのは難しいや。だから、嫌いだよ。』
「枝垂桜って、もしかして青雲寺ですか?有名ですよね。」
『いやいや、あそこは、桜より人が多くてたいしたこたぁないよ。』と言いながら、おじさんは川岸に植えられた名も無い桜並木の場所を教えてくれた。そして、秩父の隠れた秘湯の情報を教えてくれた。

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今日は、何だか不思議な日だ。合言葉は、『お花が好きなんですか?』だった。
わたしたちは、思いもよらない展開に顔を見合わせた。
わたしは地図を持ち出して、おじさんに、温泉と枝垂桜の大まかな場所を教えてもらった。
さぁ、雨も上がったことだし、今日の目的が決まった!秩父の秘湯と知られざる桜の名所を見つける旅にしよう!
車は一路、峠を目指して出発した。
(さあ、どんな旅になるか、続きは、また明日綴りますネ)m(__)m
2008.06.06 Fri l 里山 l COM(0) TB(0) l top ▲
ある日のメールから…

しーちゃん、月の雫、天の露、人魚の涙、白玉…これは、何の呼び名だと思う。

正解はね、真珠の事なんだってさ。
貝のなかに、何か異物が入り込むと、それを何とかしようとして貝は分泌物を出して異物を包み込んで真珠が生まれるそうだよ。

そして、ここからが素敵なお話なんだよ。

人の苦しみや悲しみも、異物のようなもの。
その痛みと向き合っていくうちに、人の心にも輝く真珠が出来るんだって。

苦しみや辛さ、悲しみが、こころの真珠を作り出す…。

素敵なお話をありがとう。
こころの奥に、どうにもならない悲しみを抱えたあなたは、その悲しみを深く抱いて、けして、見せたりはしないよね。
このお話を聞いて、あなたの胸の奥にある、涙色した綺麗な真珠が見えました。

それは、あなたのやさしさ…あなたの宝物だね…

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2008.06.05 Thu l 日々の想い l COM(2) TB(0) l top ▲
“天狗の腰掛け杉”と名付けられた巨樹をまえにして、
『どうしてこんな形になったのかしら?自然にこうなったのかなぁ?』と、アイリスは不思議そうに見上げていた。
どっしりとした杉の巨木で地面からまっすぐに立ち上がる杉独特の樹形なのだけれど、途中から真横に伸びた太い枝が、グンと直角に曲って、主幹と平行してそのまま天を目指している。
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そのUの字に折れ曲がった腕に、天狗が腰掛けたという発想はぴったりだった。
「誰が名付けたのかしら、ぴったりの名前だね。御岳山には天狗が住んでいるんだよ。きっと。」(笑)

わたしは、その枝に、大きなハウチワカエデみたいなうちわを持ち、一本歯の高下駄を履いた天狗が座っているような気がして思わず笑った。
そして、アイリスもきっと、同じ事を思ったんじゃないかとそんな気がした。
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奥の院へは、杉の樹が立ち並び、木の根が、まるで生き物のように登山道に這っている細々とした道を辿って行く。
アイリスは先ほどのキビタキとの遭遇の余韻が覚めやらぬ様子で、梢を見上げシジュウカラたちの声に耳を澄ませながら登っていく。
わたしは呼び笛を取り出して、鳴らしながら登っていく。足元にはチゴユリの花が涼やかな花を咲かせていた。
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メインストリートの道を、ほんの少し脇にそれただけなのに、まるで深山へ続く道のような趣が、辺りをひっそりと包んでいた。
遠くから、胸に染み入るようなツツドリの声がした。
この静寂さが、気付かせてくれた微かな音色に耳を澄まし、
「アイリス、聞こえる?ポーポーと、遠くで鳴いているツツドリの声がするよ。」と声をかけると、『うん、聞こえるよ。』とアイリスもまた、耳を澄ますのだった。
親子でこんな声を聞ける、なんてしあわせなんだろう…。

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すると、突然、静寂を破って、近くの枝で高らかに囀る声が聞こえた。澄んだ音色で囀る声に、わたしたちはきょろきょろと辺りを見回す。これが、第2のサプライズ。

「もしかして、オオルリかなぁ?」と言った瞬間、アイリスが鳥影を見つけた。
『おかあさん、あそこにいる!あっ、青いよ!』
アイリスは、 双眼鏡でしっかり捕らえていた。肉眼でも青い色が確認できる近さだった。
オオルリは美しい声でしばらく同じ場所で囀っている。
わたしは、200ミリで撮ろうと登山道から林の中に踏み込んだ。
苔むした切り株があって、その上に登ろうとして、「アッ!」っと足を止めてしまった。
なぜなら、切り株の上で日向ぼっこしているヤマカガシがいたからだった。
「アイリス、ヘビがいるよ。」 『え~!大丈夫?噛まれなかった?』
「うん、平気。ちょっと睨んでるけど。。。」そんな訳で、これが、第3のサプライズ。

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(苦手な人は大きくしない方が…笑)

「考えて見ればヘビもかわいそうよね。何にも悪い事をしてなくても、みんなに嫌われちゃって。」
『うん、遠くで見てる分には、そんなに怖くないよね。』
なんて話してる変わった母娘です。(^_^;)
「でも、これからは、藪に踏み込むときは気をつけなくちゃね。」なんて話したのでした。

道は杉木立が切れて落葉樹の森となった。新緑が深くなり、緑溢れる道になる。
遠くにホウの大きな白い花がたくさん咲いていた。
「あの、ティーカップのような白い花が見えるでしょ。ホオの木よ。花はいい香りがするのよ。葉っぱは、ほら、朴葉味噌や朴葉焼きにする大きな葉っぱがあるでしょ。」なんて話す。
アイリスは、双眼鏡で覗きながら確認して、
『ほんと、大きな花ね。朴葉焼きにする葉っぱ?ああ、分かる分かる、この葉っぱなんだ~。』
食べ物にすぐ結び付けてしまう母娘です(笑)

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足元には、フモトスミレの葉がたくさんある。こいちゃんが言っていたとおり、斑入りの葉がいっぱい。
咲き残っていてくれた花もまだ頑張って咲いていた。
こいちゃんが発見したシコクスミレの葉っぱもチラホラ。来春が楽しみになった。

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少し険しくなった登山道には鎖があったりして、アイリスは不安そうな顔をした。『おかあさん、あとどのくらいかな?お天気怪しくない?』
「うん、もうじき着くと思うから。2時になったら引き換えそうね。雨は3時までは大丈夫よ。」

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ちょっと、木立が切れた辺りから、先月登った日出山方面が望めたが、空はだいぶどんよりだ。
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やがて、シロヤシオの見事な樹が目に入るが、花はほとんど散り敷いていた。
名残りの花が少し残っていたけれど、咲き誇る姿が見れず、ちょっと残念だった。
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小さくてかわいい花が咲いている。ピンと飛び出したおしべがかわいかった。
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細長い葉っぱだし、カマツカでいいのかなぁ?
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やがて小さな社が現れ、さらに少し登ると奥の院の円錐形の頂に出た。
確かこの近辺にイワウチワの群落があるはずと探したら、日陰になった急斜面にしがみつくように群生しているイワウチワの葉っぱを見つけた。やっぱり来春が楽しみになった。

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鍋割り山を越えて大岳山への道には、岩がごろごろした痩せ尾根のように見えた。
立ち枯れた木が印象的だった。「次はこの先を行こうね。」というと、アイリスは『そうだね。』と答えた。
彼女の山への好奇心は芽生えたばかりだけれど、山を楽しむ人になって欲しいと思うのだった。

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祠の脇には、オトコヨウゾメの愛らしい白い花が咲いてた。
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さて、雲行きは少し怪しくなってきた、わたしたちは下山を開始した。
可憐なオトコヨウゾメの花が、ひっそりと静かな山頂でわたしたちを見送ってくれた。
下りはあっという間に天狗の腰掛け杉に着いた。少し展望が開ける場所だけれど
向かいの山々は、ぼんやりと煙ったままだった。
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表参道まで戻ってくるとまだ観光客がたくさんいた。ここまでくればもう雨になっても心配要らなかった。
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わたしたちは、並んで歩き出した。先ほど来るときはあんなに生き生き輝いていた花たちも、どんよりした空に重く沈みがちに見えた。

チチブドウダンの真紅の花。
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ヒメジョオンの花の蕾、この花は、濃いピンク色でとっても綺麗だったから写真に撮った。
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『ちょうど午後3時、急げば3時40分のケーブルに乗れるかも。』そう言って足を速めたアイリスが、ピタッと足を止めた。
『おかあさん、あの声は、何かしら?』参道脇の宿坊の庭に茂る高い樹の梢で盛んに囀っている鳥がいる。
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「う~ん?聞いた事ない声ね。何かなぁ?」高い澄んだ声で、繰り返し囀っていた。
二人で双眼鏡を出して梢を探す。やっぱり目のいいアイリスはすぐに見つけてわたしに教えてくれた。
ちょうど葉影で、全体の姿が見えないのだけれど、アイリスはイカルのような嘴をしているという。
しばらく囀ったあと、その鳥は、葉陰から姿を見せてから飛び立った。全体の姿が見えたその瞬間、わたしたちは同時に叫んだ。
『やっぱりイカルだよ!!』 
「うん、確かにイカルだったね。イカルってあんな声で鳴くんだ。初めて聞いたわ♪」
『とっても綺麗な声だったね。高らかに口笛を吹いてるようだった。うれしい♪』
ふたりして、ニコニコだった。これが、第4のサプライズ。

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すると、いきなり、大きな鳥が羽音を立てて、目の前を横切り、すぐそばの枝に舞い降りた。
「アイリス、カケスだよ!」『え~!これがカケスなの?びっくりした!!』 
「ほら、風切り羽が綺麗なブルーでしょ。」『うん、すごーく綺麗♪背中は茶色いんだね!』

ごま塩みたいな頭の羽も、どんぐりまなこのぐりんとした丸い目も、はっきりと肉眼で見えるくらいの近くで見る事が出来た。
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ボケボケの一枚だけれど(^_^;)

わたしもこんなにリアルにカケスを感じたのは初めてだった。意外とおおきいんだね。ジェイくん!
これが、今日5回目のサプライズ。それにしても何気ない一日がとびきり素敵な一日になった。

山での鳥との出逢いって本当に不思議。だって、その場所を通るのがほんの数分違っても逢えないのだから。
それにしてもイカルの鳴き声は素敵だったと、アイリスと話しながら家路に着いたのだった。
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夕方の光の中に白山吹の花は、いよいよ白かった。


2008.06.04 Wed l 山と森 l COM(4) TB(0) l top ▲