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百尋の滝から離れ、わたしたちは山頂を目指す。
山頂を目指す登山者は、すでに登って行ってしまったようだ。
滝で寛いでいた人たちは、ここまでで下山する人が多かったらしく、相変わらず最後の出発だった。

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百尋の滝周辺から、フモトスミレの葉をたくさん見かけていたけれど、ここから頂上へ向かう道筋はおびただしい数のフモトスミレの葉で埋め尽くされていた。
こんなにたくさんのスミレロードは、週末の森のタチツボスミレの群落以来初めてだった。
大げさに言えば、1キロ弱は続いていたように思う。
フイリフモトスミレがほとんどのようだが、他のスミレも混ざっているような気がする。
標高があがってくると、ミヤマスミレやシコクスミレの葉も見かけるようになった。

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来年は花の時季に訪れて、ぜひ、確かめてみたい。
あまり夢中で下ばかり眺めているものだから、登山道に低く伸びた樹の幹に、頭を打ち付けてしまった。
「あいたたた。。。」と頭を抑えるわたしに、アイリスは笑いこけた。
『おかあさんたら、スミレの葉っぱに夢中なんだから…おかあさんが探していたミドリミツモリスミレもあるんじゃないの?』
「うん、きっとありそう。フジスミレとかもあったりして・・・来年は必ず来るわ!アイリスも一緒に登る?」と力を込めて言ったら、『うん、来る!!』と言う嬉しい返事だった。(*^_^*)
わたしたちは、おしゃべりをしながらなだらかなスミレロードを登っていく。
だけど、どうも雲行きが怪しい…
行く手に川乗山の頂がすっぽりと厚い霧のベールに包まれているのが見えた。
「雨になるかな?…」わたしは独り言を呟いた。

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川乗山の山頂周辺はいくつもの道が巡っている。道は大体が明瞭だけれど、うっかりすると迷いやすいと言えると思う。早速分岐が現れた。
先を行くアイリスが、『どちらを行くの?』と言う顔で振り返った。
地図を広げ、今いる場所をアイリスに示しながら、相談した。
すでに、森の中から深い霧が流れてきて行く手をすっぽり包み始めていた。
まだ1時だと言うのに、まるで夕方のような暗さだ。
「やっぱりこちらをいこうか?」と言う事で、わたしは以前にも通った事のある火打石谷方面に登っていく道を選んだ。
しばらく行くと大岩が道を塞いでいた。アイリスは、すぐ左に登る急勾配を登り始めた。確かに複数の踏み後があり道があるように見えた。
アイリスが木の根を掴んで急勾配の斜面の上に出ようとした時、いきなり15センチほどの落石が勢い良く落ちてきた。「危ない、アイリス気をつけて!」
上を見上げると、ふたりの女性が登っている姿が見えた。

上の女性たちもわたしたちに気が付き声をかけてきた。
『すいませ~ん。この道で、あっていますか?何だか道なき道って感じなんですけれど…』
上はさらに厳しい傾斜面のようだった。
わたしは少し戻って、深い霧の樹間に目を凝らした。どうやら大きな岩を乗り越えた先に道が続いているように見える。
「この道、違うようですよ。下に道が見えますから!降りた方がいいですね。」と、上の女性たちに大きな声で知らせた。彼女たちは、『やっぱり違ってますか。ありがとうございます~!』と言って降り始めた。
アイリスも、今登った道を、慎重に降り始めた。ところが、上の人たちが、また、落石の雨を降らせる。
大きな岩まで加速して落てくるので、かなり危険だ。
わたしは、もう一度、声をかけた。「すいません。降りるのをちょっと待ってください。こちらが、もう少しで降りれますから…」
無事、アイリスが降りてきて安全な道の方へと入ったので、「すいません。無事降りましたので、どうぞ降りてください!」と、声をかけた。
降りるのを待っていて貰ったので、彼女たちが無事に降りきるまで、今度はわたしたちも待つことにした。
彼女たちは降りてきて、『すいません。待っててもらってm(__)mこの先の道はどうなんでしょう?』と聞いた。一人の人は一度来た事があるようだったが、もう一人の人は始めての山のようだった。

「たぶん、これから先は分かりやすい道だと思いますが、霧があるので気をつけないとですよね。時間的には頂上まで、あと1時間弱だと思いますけれど。」
彼女たちは、先に行くべきか戻るべきか迷っているようだった。
「そうですね。戻るのも、霧があると迷いやすいかも知れないですよね。わたしたちは、先に進んで、頂上は踏まずに鳩ノ巣方面に抜ける予定なんです。下山路は長いけれど分かりやすい一本道だと思いますよ。」と、言ってみた。後は、彼女たちが決める事だと思った。
わたしたちが歩き出すと、彼女たちも歩き出した。どうやら登る事に決めたようだった。

『おかあさん、さっきは遭難紙一重だよね。(^_^;)やっぱり、ここからは、おかあさんが先に行ってください。』そう言って、アイリスは、少し不安げな顔をしながらもくもくと歩きだした。
濃霧の中の急斜面を40分ほど登ると、舟井戸と呼ばれる肩に出た。
壊れかけた売店の後があるところだ。ここまで来ると、やっと他の登山者たちに出逢った。
数組のパーティが寛いでいたので、アイリスはホッとした顔になった。
少し遅れて登ってきた先ほどの彼女たちも安心したのか、山頂を目指して登っていった。
わたしたちは、霧もあって眺望も望めそうもないので、そのまま鳩の巣へと降りるルートを選んで下山を開始した。

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この下山路は、中ほどから杉の植林帯となり、見晴らしの無い道をただ黙々と降りていくことになる。
迷いようが無い1本道なのにやたらと道標が多い事に気が付いた。
『こんな分かりやすい道にたくさんつけないで、さっきの道に道標を付けてくれたらよいのにね~』と、アイリスと笑いあった。
ともあれ、山は天候によっては、随分と環境が変わってしまうことを実感した山旅になった。
濃霧の時こそ、遠くを見渡して道に迷わないようにしなければならない。踏み後を簡単に信じてはいけないと言う事も良い教訓になったとアイリスと話し合った。

それにしても、単調で長い道のりだ。行けども行けども辿り着かない道を歩き続けると、ヒグラシの声が降るように聞こえてきた。
一匹のセミが鳴き始めるとつられるように他のセミたちも鳴き始め大合唱になるのだった。
『共鳴するように鳴いているね…』と、アイリスが呟いた。「うん、ほんと、共鳴するって良い表現だね!」
娘との山旅は、ハッとするようなきらきらした感性に出逢える旅でもあるのだった。

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やっと熊野神社への急な斜面を下りきって、鳩ノ巣の集落へと無事下山できた。
熊野神社はとても古い神社のようだった。境内には広い舞台もあった。
畑で作業をしている人に挨拶をすると親切に教えてくださった。
『その舞台では神楽をやるのですが、8月の第三日曜日には、獅子舞があるんですよ。朝5時から町内を廻って、ここの境内に戻ってから、獅子舞を奉納するんです。良かったら見に来てください。』
思いがけない収穫だった。見に来れたら来て見たいと思った。

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長閑な集落を抜けると、青梅線の踏み切りにぶつかり、鳩ノ巣駅に着いたのだった。
午後5時、無事、今日の山旅を終える事が出来た。二人とも汗びっしょり。
「早くお風呂に入りたいね。」 『この間と同じように家に帰ったら手分けしてお風呂を沸かして入ろうね。』 「うん、今日は、何の入浴剤にしようか?」 『森の香りにしよう!』
満ち足りた風が、ふわっと心をくすぐる、そんな旅の終わりだった。

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2008.07.30 Wed l 山と森 l COM(4) TB(0) l top ▲
連休3日目、今朝はどんよりとした曇り空だった。
でも、雨は大丈夫そうなので、前回と同じ電車で奥多摩へ向かう。
奥多摩駅ではたくさんの登山者と一緒に降りて日原行きのバスに乗り込んだ。
川乗山は人気の山だという。登山口の川乗橋のバス停には20名近い登山者が降り立った。
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わたしたちは一番最後からのんびりと歩き出した。谷川を覗き込んだり、鳥の声に耳を澄ませたり、わたしたちにとっては、この歩き方が一番似合っている気がする。
林道沿いには咲く花の数も少ないけれど、こんな花たちに迎えられた。

P1000387.jpgヤマアジサイ

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この花はよく分からない?
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イワタバコを見つけた。まだ蕾…
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ホタルブクロも花盛り

行く手の山々は霧に包まれたりしていたけれど、
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長い林道歩きの後、細倉橋を渡るといよいよ渓流沿いの山道になる。
爽やかな渓谷の瀬音と、ミソサザイの囀りを聞きながら緑の回廊を登ってゆく。
ところどころに現れる滝は、滑滝だったり、岩肌を滑り降りる細い滝だったり、変化を見せて美しい。

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何度も道は川を渡り返して続く、苔むした木の橋が、谷川に架かっている。
アイリスは高架になった橋が怖いらしく恐る恐る渡っている。(^_^)

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なんとなく奥入瀬渓谷のような感じで好きな道だ。
水辺を吹き渡ってくる風は爽やかで天然のクーラーの中にいるようだねとアイリスは言った。
しばらくは暑さも忘れてしまうくらい快適な登りだった。

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百尋の滝が近づくと道は沢筋を離れ山腹を巻いて行くようになる。
以前、この山でコマドリを見た事があったので、アイリスにその話をする。
「とっても綺麗な声で鳴くのよ。馬のいななきに似ているからコマドリっていうらしいけれど、鉄琴を打ち鳴らしているような感じに聞こえるのよ」などと言ってみたところで実際にその声を聞いて見なければ、アイリスには?だったりする。(笑)

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「結構地面に降りてることもあるらしいよ。お母さんが見たときも、地面で餌を食べていたのよ。お腹が赤い鳥なの、見れると良いね。」そんな事を話していたら、急にたくさんの鳥たちが飛んできた。軽やかな鳴き声はコガラのようだった。

「グレーの小さな小鳥は尾が長いからたぶんエナガね。」
『あっ!コゲラがいる。何だか懐かしいなぁ…』と、アイリスが呟いた。

どうやら、週末の森で出逢った冬鳥たちの事を思い出したらしかった。

「そうね。きっとあっという間に夏が過ぎて、秋が来て、10月の声を聞く頃には、また冬鳥たちが渡ってくるわ。まず、先頭を切って姿を見せてくれるのはジョウビタキたちよ。また、ジョビコに逢えるわ。」

『そうなんだ。懐かしいね。ジョビコ…可愛かったよね。』と、アイリスは懐かしそうな目をした。
「でも、その前に、夏鳥たちも見たいよね。夏の高原や森で囀っている声を聞きたいよね。」
『うん、去年のアヤメ平を思い出すね。尾瀬に行けたら良いね。』
「そうね、行きたいわ…。」想いは募るけれど、なかなか実現しない尾瀬だった…。

「そうだ、今年のは鷹渡りを見にいかない?飯能の天覧山で見れるらしいのよ。」
『うん、見てみたい!』アイリスは目を輝かせた。
わたしもまだ見た事がないけれど、今年こそ見れそうな予感がした。

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美しいコバルトブルーの滝つぼを見て、
「おかあさん、ラピスラズリって、瑠璃色の事だって知ってた?」とアイリスが言う。

「うん、ラピスラズリって宝石があるよね。オオルリの羽の色みたいな濃い瑠璃色を言うのかな?」

『わたしテレビで見たんだけれど、ラピスラズリ色の海があるんだって、今、あの流れの色を見ていて思い出したんだけれどね。』
そう言ってアイリスが話してくれたのはこんなお話だった。

そのラピスラズリ色の海には、いろんな生き物や魚たちがいるんだけれど、小魚のイワシの大群が玉のようになって群れて泳ぐ姿が見られるのだそうだ。
イワシにはさまざまな天敵がいてそれらに襲われるのを避けるために、大群でひとつの球体を作って移動するのだそうだ。
ラピスラズリ色の海の中を魚の銀色の鱗が光ってそれは美しい光景なんだという。
すると、その魚を狙って、イルカや、サメ、シャチや、カツオドリ、ザトウクジラたちが、やはりたくさん集まってくるのだそうだ。

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イルカは群れで、イワシの球体を追って狩をする。
シャチは待ち伏せしてハンティングする、サメは一匹狼で行動する。
ザトウクジラは一飲みで大群を飲み干してしまうのだという。
そして、それらが残したイワシを、カツオドリは、空から急降下して、海中にダイブして取るのだそうだ。

『カツオドリって鳥はね。凄い勢いでダイブするから、その衝撃で目の網膜を痛めていつかは失明してしまうのだって。でも、生きるためには必死でダイブするんだよ。まるでモリのような勢いなの。
最後には失明して餌が取れずに死んでしまうのだけど何回も何回も…生きるために飛び込むんだよ。その映像を見てたら感動して涙が出てきちゃった。それを見ていて、カワセミも凄い勢いでダイブするじゃない?カワセミの目は大丈夫かなぁなんて思っちゃった。』と、アイリスは言った。

「そうだね…どうなんだろうね。大好きなカワセミどんの事が気になっちゃったのね。
でも、きっと、勢いとかが違うんじゃない?カワセミは大丈夫なんじゃないかな?」と言うとアイリスはにっこりした。

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『そしてね。そんなたくさんの敵の中をかいくぐってイワシの群れは生き抜いていくんだって思った。丸い玉になったり、四角くなったり、時にはリング状になったり…不思議だよね。生きるために必死なんだけれど、その球体の群れが凄く綺麗なの…おかあさんに見せたかったわ』

「ふーん、いろんなことを思ったんだね。そうだ、今度江ノ島水族館に行ってみようか?確かイワシの回遊が見れるって言ってたよ。」
『え~!ほんと?うん、行きたい~♪』山道を登りながら、わたしたち親子はこんな会話をしてラピスラズリ色の海に想いを馳せたのだった^_^;

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やがて行く手にまた沢が現れた。「いよいよ百尋の滝だよ。アイリスは2度目なんだけれどやっぱり覚えてないよね?」

『うん、ぜんぜん覚えてないの…小学校4年生の時だったんだよね?』
そして木の間越しに、滝の全貌が見えた。

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『わぁ~!すごい!思っていたより大きいね!』
滝つぼへと降りていくと、轟々とした水しぶきがほとばしり、細かい霧の微粒子が辺りに飛び散っていた。

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「気持ちいいね~♪マイナスイオンがいっぱいだよ。」
『うん!見たかった百尋の滝に出逢えてうれしい♪』
滝つぼに立っていたら数分でびっしょりになりそうだったので、少し離れた岩陰に戻ってきた。
「アイリス、ここでお昼にしようか?昔、アイリスと来た時も、ちょうどこの辺りでお弁当を食べたんだよ。」
『へぇ~!そうなんだ。デジャブーだね。』わたしたちは滝を見つめながらお弁当のおにぎりを食べた。

「さて、ここから山頂までは、あと、1時間半のコースだけれど、どうする?登りも結構きついかな、行けそう?」と聞くとアイリスは、『行きたい。』と答えた。「そうと決まれば、出発しようか?山頂からの下山コースがまたまた長いから頑張ろうね。」 『ハイ!頑張ります。』

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途中ですが、眠くなってしまいましたので、続きはまた明日m(__)m
2008.07.28 Mon l 山と森 l COM(0) TB(0) l top ▲
三連休2日目は、ちょっと疲れたので休養日。家事を済ませた後、アイリスと山用品のお店に出かけた。
アイリスはドライメッシュのシャツとハーフパンツが欲しいということであれこれ探してみた。
お気に入りのものが見つかったので、明日はこのウェアを着て山歩きしたいということになった。

他にもいろいろ欲しいものがある。次は機能性が良い小さめのザックが欲しいと思っている。
それと、ストックもやっぱり必要かなぁとも思う。
夏休みには長女も一緒に山歩きがしたいというので長女の靴も買ってあげたい。

いっぺんには無理だから徐々に揃えて行けたら良いなと思っている。
こんな風に考えるとカメラを修理するのは後回しになってしまいそうだ。

手に馴染んだEos kissが無いのはなんとも寂しい。
コンデジは、軽くて撮りたいときにさっと撮れて便利だけれど、あの一眼レフの重さが懐かしいのだ。ファインダーを覗く時のときめき、心地よいシャッター音の響き、そんな全てが素敵…。

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写真が上手な訳じゃないけれど、やっぱりEos kissがいい。
だって、どんな時も一緒だったもの。
新品のカメラも欲しいけれど出来れば直してまだまだ使い込んであげたいと思っている。
早く直してあげたいなぁ。。。

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2008.07.25 Fri l 未分類 l COM(0) TB(0) l top ▲
今日は3連休初日の土曜日。
本当はどこか泊りがけの山行をしたいところだけれどそうも行かず、近場の山歩きをしようということになった。
アイリスは、前日からとても楽しみにしていた。
『おかあさんに任せるよ。おかあさんの行きたい山で良いよ。』と言うアイリスに、わたしはあれこれ考えたけれど、御岳山から大岳山への縦走を選んだ。
大岳山と言えば、奥多摩のシンボルとも言えるくらい特徴的な山容で、どこから見てもすぐに見つけられる山だ。
標高は、1266.5メートル。三頭山(1531メートル)御前山(1405メートル)に続く、奥多摩三山と呼ばれている山だ。
でも、実はわたしも登った事が無いのだった。

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今回も、まずはケーブルで御岳山山頂へ上がった。
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今日は、いつもより早い出だしだ。早朝の御岳山山頂駅は、まだ登山客もまばら。
お土産物屋さんも、シャッターを下ろしたままだった。

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空は抜けるように青い。真夏の空だ!連なる山々に早くも心は躍るのだった。
先日わたしのEos Kissは、故障してしまったので、主人のコンデジを借りてきた。
今日は、アイリスが初マクロに挑戦することになった。
けれど、三脚を忘れてきてしまったので、マクロ撮影は上手く写せるかなぁ…
ちょっと心配です。

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レンゲショウマの咲き具合の偵察もかねて、群生地に寄ってみる事にした。
やはり花期にはまだ早く、レンゲショウマは蕾のままだった。
でも、蕾はいっぱい。花つきは良いような気がするから、花の時期が今から楽しみだ。

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この森は、大きな杉やモミの樹が繁り、どこと無く太古の香りがするのだけれど、これがレンゲショウマの時季になると、たくさんの人々でいっぱいになる。
お花は咲いてないけれど、今の方が良いかななんて思ってしまう。
木洩れ日が射し込む梢では鳥たちが囀り交わし、爽やかな山の朝の空気に包まれた。

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「アイリス、今日は、まず、あのとんがり山の奥の院を目指すよ!」
『はい!了解!まだギンリョウソウに逢えるかなぁ?』
「うん、きっと逢えるよ!」

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古い民家。やっぱり今日も写真を撮ってしまった。

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こんな井戸も、まだ現役だった。

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御岳神社への石段を登り、途中から大岳山方面への登山道に入る。

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奥の院への分岐を曲がるところに天狗の腰掛け杉と呼ばれる巨樹がある。

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そこからの眺めはなかなか良好!

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奥の院へはこんな木の根が横ぎる道を登っていく。

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小さな花が零れていた。
『かわいいね~!何の花?』と、アイリスは梢を見上げる。
「たぶん、ツタの花じゃないかな?」見回しても杉木立ばかりなのでそう思った。
『なるほどね。そうかもしれないね』と、アイリスは頷いた。

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『あっ、きのこ!』  「なんだか、発光してるみたいね!」

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ホタルブクロを見つけたけれど、まだ慣れないコンデジでは、マクロ撮影が上手くできない。

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奥の院を越えて、痩せた岩場を越えて鍋割り山への尾根に出ると、二本の巨木が目に入った。
痩せた尾根に根を張り、道行く登山者を見守っているのね。

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振り返ると、アイリスが小さく見える。

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いつの間にかハルゼミの声が降るように聞こえてきた。
そして、ヒグラシの声も聞こえ始めた。
アイリスは耳を澄ましながら、
『なんとなく、ヒグラシの声を聞いていると懐かしいような物悲しい感じになってくるね。』と呟いた。
「そうだね。ヒグラシの声って夕方に似合うよね。ヒグラシが鳴き始めるのは、お盆の頃って感じもするね。そして、夏の終わりまで鳴いているから晩夏のイメージがあるなぁ…」

『昔の人は、咲く花や虫の声とかで、季節を感じていたのかなぁ…』と、アイリスが言った。
「そうね。こうして自然の中で季節を感じることが出来るのって、きっとすごく贅沢な事だと思うよね。」

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緑のトンネルを抜け…

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木の根っこを乗り越え…

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岩場をよじ登り…

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アイリス頑張る。

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やっと、前方に大岳山の姿を捉えることができた。

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大岳神社の小さな社が、深い森の中の広々とした空間に佇んでいた。
いたるところに巨樹が何本も聳え、山紫陽花の白い花が楚々と咲き、夏草が林床を埋めていた。
天をつく針葉樹の梢から、行く筋もの木洩れ日がスポットライトのように射し込み
きらきらとした青空に渡る風には夏の匂いがした。

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どこからともなく、白い蝶が2頭…ひらひらと舞っている。
わたしたちの周りを、まるでワルツを踊るように、軽やかに柔らかく離れたり寄り添ったりしながら舞っている。
「なんだろう…この空間。すごくいいなぁ…」と、わたしが言えば、
『トトロが眠っている樹の雨露がどこかにありそうな気がするね。』とアイリスも言った。

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この小さな社の脇にある急坂を上り、大岳山山頂を目指す。
ここからの上りがなかなか迫力があるのだった。

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こんな岩場も何回も現れる。段差がキツイので、わたしは少し膝を痛めた。
アイリスは、小柄ながらも上手に攀じ登っていく。ちょっと頼もしくなった。

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急坂を上り詰め、やっと大岳山の山頂に立った。
南面の眺望が良いとガイドブックにはあったが、草が繁茂していて、背伸びしないと見渡せなかった。

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記念撮影(^_^;)

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山頂はとても狭くて、何組かの登者がお弁当を食べていた。
わたしたちも空いている木陰に座って昼食にした。
それにしても暑い・・・持って行ったグレープフルーツが喉にしみた。
あっという間に日陰がなくなってしまうので、早々に下山する事にした。
山頂ではヒョウモンチョウがたくさん舞っていたのだが写真には撮れずじまいだった。
アイリスはちょっぴり残念そうだった。

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大岳神社の広場まで戻った時、アイリスが『あっ!』と声を上げた。
『おかあさん、今ね、あの狛犬が、本物のキツネに見えたの。ふさふさの黄色い毛並みで、こちらを見たのよ。一瞬だったけれど本当よ!』と、目を輝かせる。
「ふふふ、案外そうかも知れないわね。ちょっとだけ、姿を見せてくれたんじゃない?」
わたしは、そう言って、ユニークな形の狛犬の頭を撫ぜた。

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ふたりして、神社にお参りした。
「今日は、sizukuとアイリスが、御世話になりました。」と、トトロの場面を思い出しながら、二人で声を合わせて言ってから、顔を見合わせて笑ってしまった。
さすが親子だね。考えてることが同じだなんて。。。(笑)

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帰りは、来た道を引き返し、奥の院には登らずロックガーデンの側を通って山頂駅へ向かった。

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森影には、こんな花も蕾をいっぱい膨らめていた。

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そして、アイリスが見たがっていたギンリョウソウも咲き残っていた。
もう、少しくたびれてしまっていたけれど、アイリスは、逢えただけで嬉しい!と言っていた。

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「アイリス、今日は疲れたでしょう?でも、また、行く?」と、聞いてみた。
『うん、奥多摩の山をたくさん知りたいの。また連れて行ってください。でも、おかあさんは、他に行きたい山があるんじゃないの?わたしとでいいの?』と、アイリスが言う。
「もちろんよ。アイリスと一緒に歩けるなんて、凄く嬉しいよ。いっぱい歩こうね。今年は、奥多摩の山で体力をつけて、来年は百名山と呼ばれている山を少しづつ登ってみようか?」
ある人から提案された事、「アイリスさんと、百名山を歩く目標を持ってみたら?」と言う言葉を思い出して聞いてみた。
『そうだね、登ってみたいな…わたしの心臓も強くなったことだしね。頑張って手術したのも山に行きたかったからなんだよ…ま、他にも理由はあるけれど…』そう言ってアイリスは悪戯っぽく笑った。
「よーし!次は川乗山に登ろう!」 『はーい!』
心地よい疲労感に包まれて、わたしたちは家路に着いた。

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2008.07.24 Thu l 山と森 l COM(6) TB(0) l top ▲
秩父は合歓の里と呼ばれているほど、里道には、ねむの木が多い。
腕を広げたように伸びた枝葉の上いっぱいに、柔らかなピンク色の花を咲かせる。
ほわほわの綿毛のように柔らかい花…
細いピンク色のおしべがとても長くて花びらのようにみえるけれど、本当の花びらはとても小さいのだという。

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遠くから見ると、まるでピンクの雲がたなびいているみたい。
白々と夜が明けて、夜明けの空に浮かんだ雲がほんのりと茜色にそまりだしたような
柔らかな朝の東雲(しののめ)そんな感じの花だと思う。

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合歓の花は、日暮れ前に開き、夜が来ると葉は閉じて眠っているように見えるから“ねむのき”って呼ばれているのだとも言う。
それだと眠の木って書いても良さそうだけれど、歓び合うって書いて合歓って呼ぶのも何だか素敵。
いっせいに咲いて枝先いっぱいに風でそよいでいる姿を見ると、歓び合うって表現も分かる気がする。

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「まるで、桜が咲いたよう…」道路沿いに見事に咲いた合歓の木を見てそう思った。
こんなに見事な合歓の花に今までであったことが無かった。

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川沿いに咲いていることが多いと思う。水辺が好きな花なのかな?
柳のようにしなやかな枝先は、絶えず風に揺らいでいて、水辺に届きたくて揺れているように見える。

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今年は、合歓の花を堪能した。
とても嬉しかったです…
こんなに綺麗な花を、あなたにも見せたいなぁ。
だから、今日は、合歓の木特集…(*^_^*)

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2008.07.18 Fri l 里山 l COM(4) TB(0) l top ▲
緑の野辺に、桔梗の花が咲き始めていた。
とっても綺麗な花色が草原に映えていた。
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桔梗の青紫の花の色を見ると、「桔梗の窓」というお話を思い出す。
子供たちが小学生の頃、国語の教科書に載っていたお話だった。
あまりはっきりとは覚えていないけれど、猟師が道に迷い、一面に青い桔梗が咲いた野原で子狐に出逢う。
お互いに一人ぼっちの寂しさを抱えた二人は、いつしか心が通い合う。
そして、猟師は子狐に桔梗の花の汁を絞って作った青紫の絵の具を指先に塗ってもらうい、その指で作った窓から覗くと一番逢いたい人に逢えると言うお話だった。
月夜に照らされた野原一面に、青い桔梗が揺れていてその花の中に子狐がちょこんと座っている挿絵があって、不思議と、それがとても印象に残っている。
あの絵本があったら、ぜひ、買い求めたいと思うのだった。

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猟師は桔梗の窓を覗いて一番逢いたい人に逢えた。
嬉しいはずなのに、何だか切ない気持ちになるのだった。
そして、誤ってその絵の具を落としてしまい、もう1度塗ってもらおうと桔梗の原を探すのだった。
切ないはずなのに、また、絵の具を塗って欲しいと思うのは、もう1度、大切な人に逢って優しい気持ちになりたいからだったのかもしれない。暖かい気持ちになりたかったのかもしれない。
人の心の不思議さや優しさや寂しさを、桔梗の紫は癒してくれるような気がする。

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野辺に咲いた桔梗の花を見て、わたしは、足を止めてしまう。
ちょうどお盆の頃に咲くこともあって、どこか彼岸の匂いがする。
彼方へ旅立った人たちに、ひと目逢いたい…
逢って、その声が聞きたい…
わたしも一面の桔梗の咲く原を探してみたいと思ってしまう。

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白色の桔梗も清楚だった。

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桔梗の窓…

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2008.07.17 Thu l 里山 l COM(3) TB(0) l top ▲
夏椿の花を見たいと思っていました。

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『夏椿の花が好きです。夏椿は、初夏に白い美しい花をつけます。
とても繊細で優しげな花ですよ。』

知り合ったころ、あなたは、そう教えてくれました。
覚えていますか?あれからずっと、
わたしは夏椿の花を見たいと思っていたのですよ。
いつもの森で、晩秋に美しいオレンジ色に色づく夏椿の木を見つけたのは、おととしの秋でした。
でも、どういうわけか、夏椿の花が咲く頃に出逢えませんでした。

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6月の終わり頃、秩父路を歩いている時、思いがけず夏椿の蕾を見かけて
ああ、この花の咲く頃に訪れてみたいと思いました。
次の週も、その次の週も秩父を訪れて
やっと、やわらかく咲いた夏椿の花に出逢えました。

あなたの言葉どおり、それは可憐で美しい花姿でした。

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緑の葉陰に、うつむくように下を向いて咲いた姿は、恥じらいがちな少女のよう…
見上げれば、木漏れ日に、うっすらと透けた花びらが、ふんわりと明かりが灯っているようでした。

夏椿の花は一日花で、朝に開いた花は夕暮れにはぽとりと落ちてしまうのだと初めて知りました。
こんなに愛らしく美しく咲いたのに、夕には落ちてしまうなんて…
桜の花を儚いと思っていたけれど、もっと儚い花たちが夏を彩っている事にいまさらながら気が付きました。

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だからいままで、この花になかなか出逢えなかったのでしょう。
夏椿の花を知ってから5年もかけて、やっとめぐり逢えたコト…
何だか不思議な気がします。
わたしはうれしくて、いつまでも清楚で儚いその花の下に佇んでいました。
めぐり往く季節、流れ往く時間が、わたしの心の岸辺にさざ波のように流れ着いたような気がして、いつしか涙ぐみたいほどの優しい夕暮れに包まれました。

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ぽとり… ぽとり…
ほんのりと染める夕映えの中、ひとつ、またひとつと、静かに夏椿の花が落ちました。

今日の花は散ったけれど、
明日の朝、また、清楚な白い花が目を覚ますのですね。
そして、次の季節も、もう一度…

新しい、あなたとの時間を刻みながら…

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        夕暮れに ぽとりぽとりと時刻む 君との時間 夏椿色



2008.07.16 Wed l 日々の想い l COM(0) TB(0) l top ▲
最近、秩父や奥武蔵に通っていたので、奥多摩の山に登っていなかった。
なんだか、今日は無性に登りたくなった。
でも、天気予報は午後から山沿いでは雷雨に注意と言っている。
そこで、最初に候補として考えていた、鷹巣山、酉谷山は、アプローチの長さで止めることにした。
海沢から大岳山も行って見たかったけれど、いろいろ迷って、出かける間際に、都民の森から登れる三頭山に決めた。
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都民の森には一度行った事があるのだけれど、三頭山に登るのは今回が初めてだった。
雨具はしっかり持ったけど、なるべく早めに行動して天候が崩れる前には下りてきたいとおもっていた。
いろいろコースはあるけれど、一番山道らしい道を登りたいと思った。
木洩れ日が零れる道を歩き始めると、さっそくホタルブクロが迎えてくれた。

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谷筋には、ガクアジサイの白い花も、涼やかな顔で迎えてくれた。
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見上げれば、緑の葉陰にさくらんぼの赤い実がいっぱい。
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陽光に透き通る赤い実って綺麗。そしてかわいい!

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マルバウツギの白い花。
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沢沿いの緑の小道を辿り始めると、緑の草はらに山苧環が咲いていた。
山苧環のシックな花色を愛でながらカメラを向ける。

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ファインダーを覗くと、バックの木々が日差しの中で美しいグラデーション。
素敵だなぁと思いながらシャッターを押した。その色合いが気に入って何枚もシャッターを切った。

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ベンチには雨に散ったエゴの花が、ひとひら、ふたひら。
ふと、尾瀬の木道に散ったコツマトリソウの純白の花を思い出しながら…カメラを向けた。

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森の小道で、小さな夢の小舟に出逢った。朝露を乗せてまだ、夢の続きを見ているのかな?

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晩夏の花のイメージだけれど、初夏に咲いたキツリフネは、眩しげな黄色い花色が太陽の小舟のようで、元気いっぱいに輝いて見えるね。

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夢の続きは、通り過ぎる風と話すのかしら?後姿もキュートね♪

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木陰の小さな木の橋の上を光と影が緩やかに動く。
まるで、夏の陽射しが橋を渡って行くようだね…。目には見えないけれど日差しと風が手を繋いで橋を渡っていったような気がする。
夏だね!大好きな夏が来たんだね!

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山紫陽花は、通り過ぎる谷風に純白の花を揺らしている。
ちらちらとこぼれる木漏れ日が白い花をいっそう白く輝かせ涼しげな初夏の花。

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清楚で綺麗だなぁ…。涼やかな谷風が見えるようだね。

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足元にこぼれた白い小さな花を、そっと拾い上げればバイカツツジの花だった。
あら?まだ咲いていたのかしら?…そう思って頭上の枝を見上げると、咲き残った花が枝先に、ほんのいくつか残っていた。

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もう、今にも散りそうな花だけれど、広げた緑の葉陰からわたしを見つめていた。
こんにちは。バイカツツジさん。咲き残っていてくれてありがとう。思わず微笑みかえして、シャッターを切る。

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ブナやミズナラやクリの広葉樹は、瑞々しい緑の結葉…
木漏れ日の森は初夏の香りを漂わせている。

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時折、針葉樹のツガやモミの巨樹が聳えている。

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まるで降るように、ハルゼミの声が、森のなかに響いている。初めてハルゼミの姿を確認した。

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ハルゼミの抜け殻も見つけた。

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水色のこんな蛾も見つけた。

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鞘口峠からは、ブナの回廊の道を分けて山道を登っていった。

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木々の根っこが剥き出しで横切っているような細々とした山道を登っていくと、急に、目の前の地面で吸水している小さな蝶を見つけた。
最初、アカシジミかなぁと思いながら覗き込むと、模様が少し違うようだ。ベージュに近い茶色の裏羽に小さな突起とその傍にオレンジ色の星が見えた。

あら?もしかして、ゼフかもしれない。と胸がドキッとした。
慌ててカメラを構えようとしたら、蝶はすばやく飛び立ってしまった。
でも、飛び立つ瞬間に、蝶は一度だけ、ゆっくりと翅を広げてくれたのだった。

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ほんの一瞬だったけれど、美しいメタリックグリーンに輝くの表翅の色は、わたしのこころを射抜いたような気がした。
ああ!ゼフィルスに逢えたわ!夢見たい…蝶はひらひらと踊るように舞いながら山道を降りていってしまったのか、それとも木立の上に駆け上ってしまったのか、もう、わたしの目では追えなかった。

しばらく呆然としながら、もう1度、戻ってきてくれないかなぁと思いながら待ってみたけれど、だめだった。
“ゼフィルス、西風の妖精って言われているんだよ。素敵な呼び名だろう?”どこからか、そんな声が聞こえた気がした。
“また、必ず逢えるさ。そんな気がするよ”優しげに誰かがそういった。
懐かしい、夏の匂いの風が囁いたのでしょうか…

わたしは、我に返って、また、黙々と山道を辿り始めた。たとえ一目でも見れただけで満足だった。
わたしには、逢う事は叶わないだろうと思っていた蝶だっただけに、ときめく出逢いに胸がいっぱいになった。「ゼフィルス、ときめきをありがとう…」そう呟いた。

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標高1500メートルを超えたあたりから、コアジサイの薄紫の花がたくさん咲いていた。

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淡く霞むようなこの花も、わたしの好きな花だった。嬉しくてつい何枚も写真を撮ってしまう。
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木漏れ日に浮かぶ姿も、薄紫に煙る姿も好き…。

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ダケカンバのごつごつとした白い幹も好き。

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東峰に着く頃には西の空が大分薄暗くなってきた。展望台に登ったが何も見えない。
登りはじめにはあんなに綺麗な青空で、湧き上がった白い雲が輝いてああ、夏山!!って感じだったのに。
遠くのほうで雷も鳴っているようだ。急いで昼食を済ませ、駆け足で中峰を回り、ムシカリ峠から、一番近道と思われる三頭大滝へ下山する事にした。
一瞬、晴れ間も覗いたが長くは続かず、すぐに霧が立ち込め始めた。

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下り始めてすぐに、アキノキリンソウのような黄色い花が咲いていた。見た事のない花だったので、写真に撮ろうとしたら写らない?
あれ??シャッター音がいつもの音じゃないと感じた。シャッターは切れるのに液晶画面は真っ暗なままだ。
おかしいと思いメディアを交換してみたが、同じだった。その前までに撮った画像はちゃんと液晶画面に移るから、液晶の故障じゃないみたい。
レンズを換えても同じだからレンズの接触や故障でもない。ということは?本体の故障だ。。。
露光装置の故障かな?まったくカメラの構造に無知なわたしには、分からない事だらけだった。

いつも一緒だったEOS Kiss 壊れてしまったのかな?
とてもショックだったけれど、あれこれ試している時間はないので、ザックにカメラをしまって駆け下りるように下山を開始したけれど、とうとう降られてしまった。

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ポンチョを持っていたのでそんなに濡れずにすんだけれど、結構激しい雨だった。
何とか三頭大滝に着く頃にはやっと小降りになたのだった。
大滝は水量も多く迫力があった。今は簡単にこの滝を見ることができるが以前は麓の奥多摩湖から長い道のりを歩かなければこの滝に出会えなかったのだろう。
その時の滝はどんなだったのだろうと思いを巡らしたのだった。

今回は雨に降られたので、西峰までは回れなかった。三頭山の二つの頂までしか踏んでないから、二頭山かな?なんて。(^_^;)
次回は、ぜひ、西峰から大沢山を抜け、深山の道と名付けられた道を辿ってみたいと思っている。
そうそう、レンゲショウマの蕾もたくさん見つけたのだった。ツリガネニンジンやレンゲショウマの花咲く頃に訪れてみたいと思ったのだった。
それまでに、カメラを直さなくちゃ…

今回、ギンリョウソウの純白な花が綺麗だった。

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2008.07.15 Tue l 山と森 l COM(2) TB(0) l top ▲
明日は、七夕…こちらの蛍はちょうど七夕の頃がピークだという。
蛍が飛びそうな小川を探して、いつもの道から、もうひとつ路地を曲って山際の里道に入ってみた。
そこには目新しい光景が広がっていた。小高い丘に続く畑では、家族で夏野菜を収穫している人たちがいたり、長閑だなぁと心が和むのだった。

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いくつものなだらかな坂道を登って行くと、空が近くなる。

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降りてゆけば畑の中の古びた小さなお寺に行き当たる。

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並んだお地蔵さまが、懐かしくてふるさとの面影を宿している。夕焼けに赤とんぼが似合いそう。
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もう、今は見られなくなった古いすりガラスの窓…

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ダリアの花はヒメジオンの花の波の中に・…
美しいなぁと立ち止まってしまう。メキシコ原産のこの花も里山の景色にとてもよく溶け込んで、今は懐かしい日本の花になった。

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若い頃は、夏には高山を歩いていたから、高嶺に咲く花たちに夢中だった。
里に咲く花たちの美しさ、懐かしさが香り立つような憧憬を知らずにいたけれど
いまさらながら、その想いに気が付いた。

畑の片隅に一叢の鮮やかなピンクの花の波…クサキョウチクトウ
この花が南アメリカ原産だということも、こういう名前があったことも初めて知った。
子供の頃は、“天狗花”と言っていた。この花をひとつ摘んで、逆さまに鼻の頭に付けて遊んだ。
懐かしいなぁ…

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ヒメヒマワリの花の向こうに、ハンゲショウ咲く小道。
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果樹園のある風景、羊歯の葉が青々と夏を歌ってる。

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山陰の茶畑…子供の頃、家の前に父が植えた小さな小さな茶畑があった。
茶摘の頃、家族総出で摘んだ事を思い出す。黄緑色の柔らかな若葉を摘むと仄かな甘い香りが立ち上った。
籠いっぱいになると、玄関の土間に敷いたゴザの上にあける。山積みになったお茶の葉から漂う馥郁とした香りを子供心に“新茶の香り”と心に刻まれていた事を思い出す。
しっとりと里の家…何故か懐かしい憧憬。

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森の中をさらさらと流れる小川は、澄んだ流れ、きっとホタルが飛ぶんじゃないかと思う。

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山の畑を抜けて里に下りてくると、長閑な田園風景が広がっていた。

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あぜ道にはユウゲショウの花。小さな桃色の花がかわいくて…

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あっつ!アマガエル…かわいい~♪
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水の中をすぃーっと泳いで…
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まだしっぽがあるよ(^。^)
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案山子が、まるで田の人のよう。

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ハマユウ咲く農道…


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夏の花、色とりどりのグラジオラス咲く。(南アフリカ原産の花)
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アヤメ咲く道。美しい紫に立ち止まる。
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茅葺屋根の民家

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森の中の小さな草原に、まき散らしたように、ハルシャギクの花が咲いている。
明るい緑の草原に、シックな色合いの小さな花が一面に咲いている。

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心惹かれて、そっと足を踏み入れた。花の中にしゃがんでカメラのファインダーを覗くと微かな風に身を揺らせ踊っているように見える。小さな踊り子たち…「きれいだよ」そう囁いてみる。

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草の中で、ラブラブなシジミチョウのカップルを見つけちゃった…
翅に小さな突起があるから、ツバメシジミさんのカップルね。
ツバメシジミを見るのは初めてかもしれない。ごめん、ちょっとだけ写真、撮らせてね…

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川沿いの坂道を登っていくと合歓の木があった。たくさん付いた蕾がいっせいに紅色に染まっていた。
あの、ほわほわの花も、咲き始めはこんな風にくしゅくしゅって縮れたままなのね。

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この川の上流でホタルが飛ぶと、地元の人が教えてくれた。
昨晩もかなり飛んだそうだ。

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木々の緑に癒される

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沿道沿いのこんな風景…

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そして、長い坂道を上り詰めれば、名栗湖に到着。

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湖を一周する道はサイクリングロードにもってこいのさわやかな気持ちの良い道だった。
最後に山上の湖に別れを告げ、あの懐かしい里道を駆け抜けて久々のポタリング終了。
自転車でなければ味わえない、里山の憧憬を堪能した一日だった。

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2008.07.11 Fri l 自転車 l COM(4) TB(0) l top ▲
“半夏生”(ハンゲショウ)とは七十二候の一つ「半夏生」(はんげしょうず)から作られた暦日で、太陽の黄経が 100 度になる日(夏至から 11 日目の7月2日頃)を言うそうだ。

植物の“半夏生”もこの頃に花をつけるからこの名前になったと言う。
半夏生は(カタシログサ)ともいう。草の葉が名前の通り半分白くなって化粧しているようになるのも、この頃だという。

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里道の片隅で、ハンゲショウの花を見つけて立ち止まってしまった。
7月6日、明日は七夕…一年に一度の星逢いの日。
夏の匂いのする風が頬を撫でて通り過ぎていった。
半夏生の夏…
片白草の花陰に、この言葉を教えてくれた人の名を思い出した。

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同じ仲間のドクダミも白い十字の花を咲かせる。
さやさやと、流れる川面に、笹舟を流してみたいなぁ…

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梅雨の晴れ間が覗いた週末、久しぶりに自転車で近くの里山を走った。

雲の切れ間から光が射して、時折り輝く太陽が夏の匂いを連れてきた。

ふいに、いくつもの夏の記憶が蘇って、胸がきゅんと切なくなった。

夏には、逢いたいものがたくさんある。

夏草揺れる緑の草原…木漏れ日眩しい森の小道…

真っ白な夏雲が湧く、あの山の頂…稜線を走る風…

渓流の水しぶき…、水底の小石に揺らめく光…岩陰に光る銀色の魚

蝉時雨…、水辺のトンボ、花に舞う煌めく蝶たち

ひまわりの花、あぜ道のミソハギ、早稲田の風の波

濡れ縁の吊りしのぶ、風鈴の音色…桔梗の紫

夕焼けの空、宵の空に浮かぶ一番星、夜のしじまの天の川

草原に降りた朝露の白き玉、露草の青い瞳…朝顔の紅…

草いきれの道、遠くの雷鳴、真夏の通り雨

逢いたくて、逢いたくて…触れたくて、

ただ、待っているのじゃ待ち遠しいから、わたしは夏を追いかけていこう。

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2008.07.06 Sun l 里山 l COM(2) TB(0) l top ▲
田園風景が広がる里山を歩いていると、路傍に咲く花が目に留まる。
タチアオイの柔らかなピンクの花が、緑の葉陰に零れるようで、
その蕾は青空にすくっと向かって眩しいくらい。
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キンケイギクや、キクイモや、オオハンゴンソウの黄色は鮮やかで、素朴で、明るくて
夏の野辺にとっても似合っている。
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夏草の茂る川面の土手にひっそりと咲く、ノカンゾウは、一日限りの花だという。
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ホタルブクロの花明かり、夜になると、小さなともし火がぽっと灯るような気がして…
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真っ赤なルビーのような実は、ナワシロイチゴの実でしょうか?
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あぜ道にはユウゲショウの花が花盛り・・・
愛らしいピンクの花びらが、まるで少女のようにはにかんでいる。
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紫陽花はさらに美しく、青く山並みを映す。
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路傍のシロツメクサ…幼い日の夢を、そっと、その花陰に抱いているようで、
思わず指先で触れて見たくなる。
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寂しげなハキダメギク、でも、小さな花びらは、幼子が笑っているようにかわいい
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ラベンダー畑…ハーブの香り漂い、流れる風さえ、ラベンダーの花色に染まっているようで
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そんな路傍の花たちに、白い蝶が舞っている。
ひらひらと、ただ舞う姿を見ていると、こころが立ち止まってしまう。

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葉陰に休む小さな青いシジミチョウ。
路傍の花には、いつも蝶たちが傍らにいることに、いまさらながら気が付いて
花を愛で、花に舞う、小さな命があることを、
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優しげな蝶の姿を美しいと教えてくれた人…
野を歩けばいつも、あなたに逢いたくなるのです。
2008.07.05 Sat l 里山 l COM(2) TB(0) l top ▲

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  時を止めて 君の笑顔が

  胸の砂地に浸み込んでいくよ

  闇の途中でやっと気づいた

  すぐに消えそうで、悲しいほどささやかな光

  忘れたくない鮮やかで短い幻

  それは、幻


あたりが、ほの暮れて、家々の窓辺に明かりが灯る頃。

夕闇が包む川面に、小さな、小さな灯りがひとつ、ふたつ。

やがて水辺の草の中で、無数の光が瞬き始める。

そして、ふわ~、ふわ~っとやさしい光を放ちながら飛び始める。

それは、気づこうとしなければ、見つけられないくらい儚い光…儚い幻…

青白い燐火のような光や、緑ががかった神秘的な光や、

温かな橙色の豆電球のような光だったり、

見つめる間に、仄かな軌跡で、闇に瞬き、闇に溶けるように消えてゆく

ちらちらと火影を揺らすように明滅しながら、

蛍は身を焦がしながら、短い逢瀬を終えてゆく…

いま、ひとつの小さな光が、天に昇るように、星空に消えていった…

見上げれば、いつの間にか、さざめく夏の銀河が漆黒の夜空に横たわっていた。

蛍はあの星屑の川のなかを、流れ星のように流れて行ったのだろうか。

美しくて儚い、夏の夜の幻を見た。

近くに続く田んぼから、胸に響く蛙たちの声が聞こえてきた。

鳴かない蛍の代わりに、田んぼの蛙たちが、恋の歌を歌っているみたい。




    わたしは、スピッツの“ホタル” を口ずさんでいた…


   忘れたくない鮮やかで短い幻

   それは、幻


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2008.07.03 Thu l 日々の想い l COM(0) TB(0) l top ▲
早朝の数馬峡橋にやってきた。
奥多摩の源流部の支流から流れ込んだ川は奥多摩湖に集まり
そこから流れ落ち、紺碧の多摩川となって流れてゆく。
この数馬峡は、深いV字の渓谷となり緩やかに蛇行しながら、白丸湖へと続いている。

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今朝は、白い川霧が立ち込めて、とても幻想的に見えた。

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白丸湖のコバルトブルーの水面は、鏡面のようにないでいた。

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美しいなぁと見入っていると、霧の中から、一艇の白いカヌーが漕ぎ出してきた。

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真っ白なカヌー、操っているのは女性のように見えた。
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カヌーは岸辺を静かに滑りながら、橋の手前で方向を変えた。
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そして、もと来た方へと漕ぎ出していった。
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何の物音もしない。カヌーは彼女の体の一部であるかなように、とても静かな漕ぎ方だと思った。
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水面には、櫂が水をかく、小さな軌跡だけが残されて、ただひとつの道になっていた。
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わたしは、橋の欄干にもたれ、だんだんと小さくなってゆく白いカヌーを見つめていた。
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ただひとり、霧の水面に漕ぎ出してゆく。彼女はどんな思いで漕いでいるのだろう。
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やがて、ひとつの点となり、真っ白な一艇は、霧の中に消えていった。
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わたしは、ふと、ひとり山へ踏み出す時の心境に似ているような気がした。
彼女の気持ちは、きっと静かにこの湖面に溶け込んでいたことだろう。
ミルク色の霧の中に、滑るように包まれる時、無心に彼方を見つめていた事だろう。
一匹の魚が、きらりと鱗を見せて跳ね上がる。ただそれだけで、ときめく喜びに満たされる。

わたしもひとり、山を歩く時、どこまでも青い空を見上げると、こころがすっと吸い込まれるような気がする。
雨ならば、透明な雨粒が、木々の葉を濡らす微かな音が体の中に溶け込んで、こころが透き通ってくる気がする。
一抹の寂しさも、いつしか友となり一緒に歩いていてくれる。
一輪の花が風にそよぐだけで、煌くような感動を呼び覚ましてくれるのだった。

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やがて、一羽の鳥が、川面を滑るように飛んでいった。
白っぽく見える…ああ、きっと、ヤマセミだと思った。
逢いたかったヤマセミに逢えた…さぁ、わたしも、孤高の山を目指そう。

やっぱり、この道を行こう…
2008.07.01 Tue l 日々の想い l COM(2) TB(0) l top ▲