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もしも、人生が川だとしたら、
きっと、ボクの川は、蛇行して
台風の後みたいに、濁っているかもしれないなぁ

でも、よく見ると
一箇所だけ輝いている場所があるんだ
もう、そこだけは、山奥の渓流のように
青く透き通っていて、魚も楽しく泳いでいるんだ

鳥たちもやさしい声で歌いに来てくれて
きれいな花だって咲いている
その花の名前はね ハナネコノメっていうんだよ

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水面は、太陽の光を星が瞬くように空へ返しているし
水の一粒、一粒が、煌めいている

ボクの人生の川で一番輝いている場所は
やっぱり君と過ごしていた時間…
君を想っていた時間なんだ

いつか、遠い場所で、そんな風に人生の川を見てみたいな…
その時も、やっぱり隣で君が、
さざめく水面のように笑っていてくれたらいいなぁ

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2009.03.27 Fri l 追憶 l COM(4) TB(0) l top ▲
これは、渓流釣りの好きな友人から聞いたお話です。
とっても興味深かったので、書きとめておくことにします(^。^)

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山深い渓流を遡っていくと、必ずいくつもの滝が現れる。魚が遡上出来ないような大きな滝を魚止めの滝と呼ぶそうだ。
そこから先は、魚が自力では上れないから、魚はいないことになる。
もう、釣り人でも入らないような険しい渓谷。けれど、何故かその先にも岩魚が棲んでいる…

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それは、マタギが、下流で釣った岩魚を上流に放していくからなのだという。
マタギは、何故、そんな事をするのか?
上流で遭難した時、食料を確保するために、どんどんと上流へと放していくのだそうだ。
こうして秘境のような山奥の渓流で育った岩魚の中から巨大なその川の主のような岩魚が育つのだという。

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そうだったんだ…
こうして、人が介在して、渓流の奥までも岩魚たちは住むようになったのだということを知ってとても納得したのだった。
かつて、人と自然とはこうして深い関わりを持っていたのだと思う。
わたしが山に入って癒されるのは、その頃のように、より身近に自然を感じ取れるからなんだ。

時が止まったまま流れているような、街のサイクルとは全く違った時間軸の世界へとタイムスリップしているのかも知れない。

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2009.03.27 Fri l 山と森 l COM(2) TB(0) l top ▲
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世の人の見つけぬ花や軒の栗

奥の細道の芭蕉の句だそうだ。
この句の意味は、花は美しく咲いて、人々の心を楽しませてくれるけれど、
目立たないような慎ましやかな花をひっそりと咲かせ、美味しい実を付ける花もある。
人知れず山の中に息づく栗は密やかに咲いて、散ってなお、秋には山にたくさんの恵みを与えてくれる。

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山深いこの場所には、何故か栗の倒木が多い。
栗は材質が硬く腐食しにくいために、倒れても、その姿を保ち続けるのだそうだ。
栗は、西方浄土の樹とされているのだそうだ。
柔らかな陽射しが降り注ぐ森の中に、苔生し累々と横たわる栗の巨木たちは、清らかに生きて、そして倒れてもなお限りない恵みを与えてくれているような気がした。

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ここが天使の庭ですよ…そう、言って一葉さんが案内してくれた場所を見るなり、わたしたちはぴったりのネーミングだと思った。
燦々と降り注ぐ陽光の中、枯れ葉に覆われた、緩やかな丘が現れたのだ。
その中心にどっしりと聳えるミズナラの巨樹が、無限の空へと両手を広げていた。

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同行したひでちゃんは、あとから、こんな風に素敵な言葉で綴ってくれた。

…天使の庭、ぴったりの名前だよね。
目覚めてみる夢のような美しい光景だった。
ひらひらとまるでモンシロチョウみたいに駆け回って
静止した春の空気を三人でかきまわしたね。

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そして、ホウの樹皮の色にうっとりしたよね。
色名は…
鴇羽春色(ときははるいろ)
鴇羽色+春色
英名はキューピットピンクだよ!(愛の使者、キューピットの肌の色だよ)

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すごく素敵な言葉たちだったから、忘れないようにブログに載せたんだよ。
本当に神々しくて素敵な場所だったナァ・・・
もう一度行きたいと思ったのだった。
2009.03.26 Thu l 未分類 l COM(2) TB(0) l top ▲
巨樹探しをするようになって、時々、2本の木が寄り添ってくっついてしまった木を目にするようになった。
巨樹の中にも、このように2本の木が合体して一つの樹になってしまった合体木というのがあると言う事も、日原で巨樹をたくさん見てこられた一葉さんのホームページで教えていただいた。
その中に、一葉さんが書かれた「合体木の絆」というエッセイもある。
そのエッセイは、「合体木は一生の付き合いを宿命付けられた夫婦のようなものかもしれない。」と結ばれていた。その深い言葉が心に残った。

そして、蓮理の枝の漢詩を知った時、すぐにこの合体木の絆の事が浮かんだのだった。

   在天願作比翼鳥     
   在地願爲連理枝     

天に在っては、願わくば比翼の鳥と作らん
地に在っては、願わくば連理の枝と為らん

白居易(はくきょい)という中国の詩人の詠んだ漢詩で玄宗皇帝と楊貴妃との悲恋を描いた長恨歌と言う詩の中にある。

この詩の意味は、

天に在りてというのは、天上(天界)は、精神、心が帰るところ。
比翼の鳥は、雄と雌の二羽の羽が繋がっている鳥で、飛んでいる姿が一羽に見えるという伝説の鳥のこと。

願わくば心は比翼の鳥になって、天上に帰ろうという意味。

そして、地に在りての地は、肉体が帰るところ。
蓮理の枝とは、もともとは、二本の別々木が、長年寄り添っているうちに、枝と枝とがひとつになってしまった木の事。
たとえ、死んでしまっても、連理の枝のようにいつも寄り添っていようという意味。

  「私たちが天界へ召されたら、羽が繋がった二羽の鳥になりましょう。
  また天界から地上へ戻されたら、枝がくっついた二本の木になりましょう。
  私たちは、今も、次の世も、その次の世も、寄り添っていましょう。」

7月7日の夜、玄宗皇帝と楊貴妃とが永遠の愛を誓い合ったという、究極の愛の詩なのだそうだ。

うーん、深いなぁ…
わたしは、これからも森の奥深くで合体樹を見たら、この漢詩を思い出すことだろう。

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2009.03.25 Wed l 山と森 l COM(2) TB(0) l top ▲
マーガレットが帰ってくるまで、飾っておいたお雛様。
娘は、部屋に入るなり、『あら~?まだ、飾ってるの?アイリスがお嫁に行けなくなっちゃうよ。』と言って笑った。
「あなたに、見せてあげようと思ったのよ。明日は、しまおうね」と言うと、
『そうだったの、ありがとう、そう言えばお雛様を見たの久しぶりだわ♪』と嬉しそうな顔をした。

翌日、嫁いだ日から置いたままになっている、マーガレットの荷物を一緒に片付けた後、お雛様を箱詰めした。
ひとつひとつ、手にとって、やわらかな和紙で顔を覆い、大きな和紙にくるむ作業だ。
娘たちが小さな時は、わたしがこうやってしまうのを、娘たちはじっと見守っていた。
何時の頃からか、こんなふうに、どちらかの娘が手伝ってくれるようになっていた。
ここ数年の間は、ずっとアイリスが手伝っていてくれたのだった。
マーガレットは、雛人形をそっと箱に入れながら、『実家に帰ってきて、こうして、おかあさんと一緒に雛人形をしまうのも、なかなかいいものね…しあわせだなぁって感じるわ。』と言った。

食事の時も、お風呂に入る時も、はにかんだような笑顔で、『ああ、しあわせ~♪』と呟いていた。
前日、干しておいた布団を敷いてあげると、『おかあさん、ありがとう。こっちは暖かいね。お布団もふかふかだからゆっくり寝れそう…明日から、わたしも家事を手伝うからね。』と言うのだった。

お腹の大きくなった娘の姿は、何だか愛らしくさえあったけれど、母となる実感が娘をずいぶんと大人にしたのだと思えた。
『おかあさん、これ、わたしが縫ったんだけれど、良かったら使ってください。ちょっと変だけれどね。』
そう言いながら、マーガレットは、バックから、クマの絵柄のエプロンを取り出した。
「へー!凄いじゃない。ありがとう。使わせてもらうね。」と言いながら、何だかとても嬉しかった。
娘は、赤ちゃんのベビー服も縫ってみたのだと、可愛いタオル地の上着を見せてくれた。
娘が、こんなに変わるとは思わなかった。
「あなたも、おかあさんになるのね…上手に出来たじゃない!」と、褒めてあげたのだった。
夜、2階からアイリスと、マーガレットの楽しそうな声が聞こえてきた。
何かな?と思ってドアをそっと開けてみると、布団の上に座って寛ぎながら、二人で絵本を読んでいるのだった。
のんたんの絵本…子どもたちが小さい時、何度となく読み聞かせをしてあげた本だった。
アイリスが声に出して話しかけるように読むと、マーガレットは、そっと手をお腹に当てるのだった。

わたしは、ふと、写真立ての中の幼い二人の写真に目を向けたのだった。

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2009.03.22 Sun l 日々の想い l COM(2) TB(0) l top ▲
先週の土曜日、こいちゃんとshinさんと、風の谷の早春の花たちの様子を偵察に行った。
あいにくの雨降りだったけれど、午後からのお天気回復を期待して出かけたのだった。

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春の渓谷は小雨に煙り、橋の側の有料駐車場のおじさんも、閑そうにしていた。
『今日は、こんな天気だから、お客さんも来そうもないからねぇ。どこまで行くの?』そんな事を言いながら外に出てきた。
「今日は、お花を見に行くんですよ。」と、答えると、『花?何の花を見に行くんだ?』と聞かれた。
『ハナネコノメと、イワウチワですよ。』とこいちゃんが言うと、『知らないなぁ?そんな花が咲くのかね。』と首を傾げていた。
わたしたちは、とっても小さくて、とっても可愛いお花なんですよ。なんて言いながら、傘をさして出発の準備した。

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おじさんは鉄五郎新道も知らないと言う。地元の人でも、知らないようなマイナールートらしい。
でも、駐車場のおじさんは、ひとつだけ、わたしたちに新情報をくれたのだった。
『海沢のトンネルの側に咲く、ダイモンジソウなら知ってるけど…』
もちろん、こいちゃんとわたしは、その情報に食いついた。(笑)
「こいちゃん、次は、ダイモンジソウ探索ですよ!」と、わたし。
『もちろんです。お付き合いしますよ』と、こいちゃんはにっこりしたのだった。
渓谷は、青く澄んで流れていた。

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小さな寸庭の上下の滝も今日はなかなか水量が多いが、かなり暗くて写真は?

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この谷は、初めてのshinさんを案内して、わたしたちはおしゃべりをしながら雨の林道を行く。
そして、ハナネコノメたちが咲く渓谷を、そっと訪ね歩いた。

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しっとりと雨に濡れた苔は、美しい緑の滴…

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コチャルメラも咲きだした。緑がやっぱり綺麗。

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冬イチゴの実も、ルビーのように紅く熟れて…

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向こう岸の大きな岩の上にびっしりと咲いたハナネコノメは、とても見事だった。
それを撮ろうと、こいちゃんは、橋を渡って向こう岸へ。
shinさんは、長靴なので、ジャブジャブと川の中を渡って向こう岸へ。
降りる斜面を探していたこいちゃんは、『あれ~!shinさん、ずるいなぁ~(^。^)』と、笑っている。
shinさんの長靴は、尾瀬森林組合で調達した優れもので、これなら残雪の尾瀬も、雨で濡れた木道も絶対に滑る事はないのだそうだ。わたしも欲しいなぁ…なんて思ったのだった。

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そこへ、ちかちゃんからメール♪
おふたりは、ピカピカの一年生のちかちゃんへのお土産画像を撮ろうと一生懸命!

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渓谷は、浅緑の柔らかな新芽が吹き出したばかり…
やわらかな春の色に、やわらかな雨の色。

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ああ、好きだなぁ、こんな色。

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ハナネコ第2基地は、まだまだ、硬い蕾なので通過。
寸庭ロッキーの大岩をshinさんに紹介して、雨なのでここも通過。
いよいよ、越沢バットレスの大岩壁に着いて、ここで食事にした。
霧雨が上昇気流に乗って、下から上に降ってくる…不思議(*^_^*)

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こいちゃんも、shinさんも恒例のバットレスからの写真撮影。

さて、イワウチワの場所までもうひと登りしたけれど、イワウチワの蕾は前回とあまり変わり映えしなかった。ほんの少し赤みが帯びてきたけれど、開花は、まだまだかなと思えた。
偵察の結果は、ますます花期が読めなくなってきたみたい。。。^^;

今日は、本当は、風の谷に下りて、天目指庵を訪ねるつもりだったけれど、雨が止まないので、来た道を引き返すことにした。

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早めに駐車場に戻ってきたので、鳩ノ巣の山鳩で美味しいコーヒーを飲もうということになった。
わたしたちが、山鳩で寛ぎながら、楽しくおしゃべりをしていたら、どんどんと青空が広がって、すっかり天気は回復していた。

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うーん、もう少し早く回復してくれたら良かったのにな。。。
でも、こいちゃんとshinさんのお陰で、楽しい偵察となりました。ありがとうございましたm(__)m

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2009.03.21 Sat l 山と森 l COM(6) TB(0) l top ▲
明日、山梨に嫁いでいる上の娘、マーガレットが里帰りしてきます。
5月初旬の出産に備えての里帰りです。
昨年、赤ちゃんが授かったということを聞かされた時、嬉しさと同時に、わたしもとうとう、おばあちゃんになるのかぁ…なんて、ちょっぴり複雑な心境でした。

だんだんとお腹が大きくなっていく娘の姿を見ていると、ああ、この子も母になるのだなと感慨深いものでした。
本当に日々の暮らし向きが大変で、なにかと、心配事は尽きないけれど、娘の表情は、だんだんと温和な優しさが滲み出てきたのでした。
母となる覚悟が、こんなにも娘を大らかに強くしていくのかと、思えました。

アイリスも、本当に良く、姉を支えてくれて、明日も、アイリスが、マーガレットを迎えに行ってくれます。
『おかあさん、やらなければいけないことは、今日、みんな終わりました。だから、明日から、かえっても良いですか?アイリスには申し訳ないけれど、よろしくお願いします。』マーガレットは、ホッとしたように、穏やかな口調で、そう電話をかけてきました。
「そう、頑張ったね。お疲れ様、あとは、こっちでゆっくりすればいいわよ。」と、答えながら、娘の成長ぶりが、感じられたのでした。

明日、帰ってくるマーガレットのために、さやかだけれど、「お帰りなさいと、頑張ってね」のエールを込めてお花を飾って迎えてあげようと思い、アイリスとお花を選びました。
マーガレットの好きなガーベラの花と、オレンジ色のチューリップ。
上手に生けられなかったけれど、喜んでくれるかな?

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わたしは、ふと、わたしの母のことを思い出していました。
母は、どんな気持ちで娘の出産を見つめていたのだろう…
本当に心配そうにわたしのことを見つめていた母の眼差しを今になって思い出したのでした。
体の弱かった母は、出産のあと、疲れきって入院してしまったのでした。
肝心の時に、何もしてあげられなくてすまないと、涙を流しながら詫びていた姿を思い出して、目頭が熱くなりました。
そして、会社員だった父が、仕事に出かける前に、掃除や洗濯をしてくれて、新米の育児にてんてこ舞いのわたしを支えてくれた事を思い出して、胸が熱くなりました。

きっと、わたしも、娘の出産を通して、始めて亡き父母の想いを知ることが出来るのかもしれません。
そして、やっと、本当の親のありがたさを実感するような気がします。

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2009.03.18 Wed l 日々の想い l COM(4) TB(0) l top ▲
いつもの年なら、冬場は秩父・奥武蔵方面を散策する事が多かったのに、今年の冬はずっと奥多摩に通っていた。
それでも、セツブンソウやフクジュソウ、ザゼンソウと早春の花を求めて、ここ数回秩父に足を運んでいる。
秩父路の花旅で、急に思い立ったことがある。それは、明ヶ指(みょうがさす)という場所にカツラの巨樹があるという情報だった。

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一昨年、自然の中で咲くセツブンソウが見たくて、荒川辺りを探していた時の事だった。
荒川にあるビジターセンターで、何か情報はないかと情報収集をしていて、手作りのパンフレットに、k“たまご水”という記述を見つけた。
“たまご水”って、一体なんだろう?けれど、それ以上の詳しい説明は見当たらない。
だけど、好奇心旺盛なわたしにとっては、それだけで十分だった。
とりあえず、大まかな地図が載っているパンフレットを片手に、“たまご水”探索に乗り出したのだった。

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どの辺りを歩いたのか、記憶が定かではないのだけれど線路沿いに寂れた山寺があって、高台になった場所からの景色は良いのかな?と思って何の気なしにその境内へ上がってみたのだった。
すると、その先に、また“たまご水”への道標が現れた。

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導かれるように、雑木林の中に伸びている枯葉の降り積もった細い小道を歩き出した。
クヌギやミズナラが主体の雑木林には、燦々と陽射しが注いでいて、いい感じ。
セツブンソウはないかなぁ?と目を凝らしつつ歩いていく。

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そのうち、森の中ほどに小さな建物や水槽などがあるのが目に入る。
「サンショウウオ研究所」という看板があり、良く見ると下のほうに小さな渓流が流れている事に気が付くのだった。
「へ~!サンショウウオがいるんだ!」なんて、興味を引かれつつ、その場所を通過したのだった。
なおも細々と道は森の中に続いていて、時折り、開けた場所からは、反対側の山との谷あいに広がる小さな集落が望めたりするのだった。
草原のようになった畑には、ロウバイや、マンサクが花を咲かせその枝先にキラキラとした雫を付けて、輝いていた。

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とても静かで、人気はないのだけれど、時々、現れるシジュウカラやエナガたちが一緒に歩いてくれたし、
見上げる青空はどこまでも澄み渡り、早春の陽射しは惜しげもなく降り注がれていたから寂しくはなかった。
とても不思議な路に迷い込んだ気がした。だいたい、わたしが目指している“たまご水”って、どんなものなんだろう?
いったい、わたしはどこを歩いているんだろう?分からないものに向かって、迷路のような道を行く歩いている自分がおかしくもあった。

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それでも、時折り、“たまご水”を指す道標が導いてくれるまま、歩いていくと、やがて広々としたキャンプ場が現れた。
そのキャンプ場も、ひとつの小さな村になっている感じで、長閑な山里のイメージだった。今まで見たキャンプ場とは一味違う感じ、
上手く言葉に表せないのだけれど、不思議な場所だった。
やがて、別荘地のような場所を過ぎ、行き止まりとなる辺りに、「私有地に着き一般の方は立ち入り禁止」の立て札が現れた。
え~?と思っていたら、たまご水の見学者は、キャンプ場の人の迷惑にならないようにとのただし書きがあり川へ下りてゆく道があった。
そして、川原に降りていくと、ドラム缶の中に、こんこんと流れ込む水…硫黄分を含んでいて微かに硫黄の匂いがする水だった。

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色も藍色がかった色をしていた。立て札には、野生の鹿が傷を治すために入っているのを見て発見されたのだということが書いてあった。
やっと、ここで、“たまご水”の謎が解けてわたしは満足して同じ道を引き返したのだった。

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ところが、今年になってお知り合いになったTさんという、日本全国の巨樹・巨木を訪ね歩いていらっしゃる方のサイトで、この明ヶ指という地名に、はたと立ち止まった。
あの“たまご水”のすぐそばに11メートルの幹周を持つ、カツラの巨樹があることを知ったのだった。
そして、あの時の不思議の国に辿り着きそうな山道の事を鮮明に思い出したのだった。

ずっと気になっていて、やっと出かけるチャンスが来た。うろ覚えの一昨年の記憶を辿って、荒川のビジターセンターにやってきた。
ところが、あの古びた山寺がどこにあったのか思い出せない…^_^;

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わたしは、観光案内板をじっと眺めた。“たまご水”も“カツラの巨木”の文字もある。でも、そこへ至る道が、一昨年のコースと違うのだった。
まぁ、いいや、とにかく行ってみよう。と言う事で、新しいコースを歩き出す。途中、道筋には観音堂があったり、

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桜の若木が植えられた畑があったりニリンソウの群生地があったりした。
まだ、ニリンソウは咲いていなかったけれど、葉っぱがたくさん出ていた。

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アズマイチゲの可愛い蕾も見つけた。
途中で行き会ったおばあちゃんは、笑顔で挨拶してくれた。
背負った籠の中には、取れたての野菜が入れられていた。長閑だなぁ。

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オオイヌノフグリやふきのとうなどを撮りながら歩いていくと、一軒のお蕎麦屋さんの前に出た。
驚いたのは、そのお蕎麦屋さんが、昨年、偶然、訪ねた場所だった。
そして、“たまご水”への案内板は、なんとそのお蕎麦屋さんの駐車場の脇に続いていたのだった。
昨年来た時は、全く気づいていなかった事を不思議に思いながら、民家の脇に続くその道を入っていった。

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すると、程なくして大きな川に出たのだった。
さっきまでの長閑な里山風景の裏に、こんな渓谷が潜んでいようとは、全く想像できなかったので、わたしは、またしても不思議な迷路に迷い込んだような気がした。
川岸の森は深くて、累々とケヤキや、クス、カエデなどの巨木が茂り、うっそうとしてまるでジャングルのようだった。

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オノオレカンバかな?

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さらに、空き家になった民家の庭先を通り、イノシシよけのネットを巡らした畑の中の小道を登っていく。どこからかロウバイの香りが漂い、マンサクの花が咲き、なんだか、一昨年の記憶が呼び覚まされた時だった。
出し抜けに、その小道は、あの、キャンプ場へと飛び出したのだった。

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見覚えのあるお堂があり、梅林が、美しく咲き乱れていた。
ここまでが、あのお蕎麦屋さんから20分ほどだった。あまりの短さに驚いた。
そして、そこからは、別荘地を抜け、10分足らずで、たまご水へと辿り着いてしまった。
確か、一昨年は、3時間以上かかって辿り着いたのに、こんな近道があったとは驚きだった。

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そして、たまご水の辺りから、杉木立の植林帯に伸びる、細い踏み後…。
以前のわたしなら、こんな植林帯の中に、巨樹が在るはずがないと思っただろう。でも、今は違う。
日原の森の達人の一葉さんの手ほどきを受けている。
こんな植林帯の中にもちゃんと巨樹は守られているものなのだ。
わたしの巨樹センサーは、ピピーっと働き始めていた。(^。^)
迷わずに、その踏み後を突き進んでいく。
時刻は午後3時を回り、夕映えに近い時間、巨樹との対面には素晴らしいシチュエーションだった。
程なくして、杉木立の奥に、とんでもない存在感を感じ始めた。
わたしの心臓は大きく高鳴った。「あっ!いた!」
わたしが歩いていくその先に、川を背にして、佇むカツラの巨樹が現れた瞬間だった。

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その樹は、わたしが今までに見たこともないほどの巨木だった。3本の主幹を守るように、たくさんのヒコバエが密生していた。

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その巨樹に近づき、周りをぐるっと一周して、さらに、驚きの声をあげた。川岸から眺めると、本当に迫力ある姿だったのと、清らかな流れの岸辺に佇む、美しい佇まいだったからだった。
そして、歩み寄ったわたしは、思わず駆け寄って歓声をあげたのだった。
その逞しく入り組んだ巨樹の根元には、あの可愛らしい早春の渓谷の妖精のような、ハナネコノメの花が群落を作って咲いていたのだ。
巨樹の根元に小さな、小さなハナネコノメ…その夢のようなコラボに酔いしれてしまった。

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あいにく、カメラのバッテリーが切れてしまい。思うような写真が撮れなかったけれど、わたしの脳裏には、健気で美しい早春の渓谷の姿が焼き付いたのだった。

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また、逢いに来る事を約束して、わたしは岐路に付いた。
あのお蕎麦屋さんは、巨樹への入り口だったのかもしれない。
一昨年、解き始めた、とてつもなく大きくて難解なパズルがやっと完成したのだ。
ジグソーパズルの最後の1ピースがはまったような気がしたのだった。
2009.03.13 Fri l 山と森 l COM(6) TB(0) l top ▲
小雨に煙る渓谷で、生まれたばかりの小さなハナネコノメの蕾を確認してから1週間。
どのくらい大きくなっただろうかと、いそいそと渓谷へ向かった。
逸る心を抑えながら、梅の花咲く長閑な集落を抜けて杉木立の小道を歩いていく。

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昨日までの雨で、少し川の水は増水しているようだった。小さな橋を渡り、川原へ降りた。
この間、一輪だけ咲いていたのは、あの樹の根元辺り、それから、びっしりと蕾を付けていたのは流れの中のあの岩の上。
そう思って視線を投げれば、「ああ、咲いてる~♪」そして駆け寄った。

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まるで、夢のように、ハナネコメは、可憐な白い花を零れるように咲かせていた。
赤いしべが、清らかな白いガクに可愛いアクセントを効かせている。

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今にも開きそうな小さな蕾もなんて愛らしい…

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わたしは、ひとしきり、夢中で写真を撮った。そして、われに返り、花の分布状況を確認した。
そう、今日は、近日中に行われる、奥多摩分校の春の遠足の下見に来たのだった。

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流れは、相変わらず清らかで、何処までも澄み切っている。
青い流れに、いっぱいの酸素を内包した白い泡がぽこぽこと湧き上がっている。

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きっと、酸素をいっぱい含んだ水はおいしいんだろうなぁ…。川の生き物たちを育む命の水なんだと思った。
魚たちもいっぱいいることだろう。

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わたしは、まず、上流へと、川岸を歩いてみる。ハナネコノメは、所々に小さな群落を作って成長していた。
先ほどから、ミソサザイが美しい歌声を聞かせてくれていた。時々、林の縁に姿を見え隠れさせてくれる。
わたしのカメラでは捉える事はできないけれど、双眼鏡には、くちばしを大きく開けて高らかに囀る愛らしい姿を見ることが出来た。

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わたしは、その双眼鏡を、向こう岸に向けて、ハナネコノメを探し出した。
こんなところで、双眼鏡が役立つなんて思わなかった(笑)花探しにも、なかなか便利なグッツだった。

向こう岸にも、所々に群落が見える。今度は、橋を渡り返し、向こう岸へと降り立った。
あるある…(^_^)(^_^)

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小さな群落を確認する。どれもこれも愛らしい仕草で咲いていて、やっぱりここでもかがみこんでカメラを向けてしまうのだった。

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そして、その中に、しべがオレンジ色のハナネコノメを見つけた。
何となく、色合いが柔らかく見えるな…と思った。雨の雫がいっぱい付いていてそのせいかなとも思った。

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でも、赤いしべのハナネコと比べてみて明らかに色が違う事に気が付いた。
わぁ…綺麗!なんとも愛らしい色合いだろう。雫に滲んでいる姿は、ぽっと灯りが点ったように見える。

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これって、新種かしら?もし、新種なら、命名権があるよね?ってことで、勝手に新種と決め込んで名前を考えた。^_^;

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雫を付けている姿が、とっても綺麗だから、“しずく紅”(しずくべに)ってどうかしら?
うん、いい感じ♪って、ことで、命名しました。

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橋の向こう側も、丹念に探すと、去年よりさらに多くの群落が出来ていて、さながらハナネコの谷って感じだ。
あら、このネーミングもなかなか良さそう。この渓谷をハナネコの谷と呼ぶことにしよう。
まだまだ、小さな可愛い花がいっぱいのハナネコの谷、わたしは後ろ髪を引かれながら次の場所へ。

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杉木立の中に細々と残る踏み跡に入る。ちょっと迷いやすいところだ。
ミソサザイの歌の案内で、下に渓谷の流れやワサビ田を見ながら登って行くと、大岩が現れ、小さな沢が道を横切っている。

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ここは、薮やら、倒木やらが道をふさいでいるけれど、第3ハナネコ基地なのだった。
足場は悪いけれど、ちょっと沢を遡れば、小さな滝になった岩肌にびっしりとハナネコノメたちが、まだまだ固い蕾で咲きだす日を待っていた。

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おやおや、こんな蜂の巣発見。すでに空き家だったけれど…

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やがて金毘羅山に差し掛かる手前に、大きな滝が落ちている。今日は、なかなかの迫力だ。
わたしは、滝を覗き込む大岩に降りてみたけれど、吸い込まれそうだった。

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恒例のバットレスの大岩から、風の谷を俯瞰する。

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このツガの樹は、岩に大きくて太い根を這わせて、谷を大きく望んでいた。

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あなたの根っこは偉大だね。ここを登るクライマーたちの、命綱がその根に何本も残されていた。
あなたに命を委ねて登ってくる人間たちを、どんな思いで見つめているのかな?
ふとそんな事を思ったのだった。

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そこから、もうひと登りでイワウチワの尾根へ。尾根の下は急斜面の断崖になっている。

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あっ!鳥の巣!かなり大きいけれど、何の鳥だろう?巣の直径は、30cmはあるだろうか?
細い木の皮を何本も合わせ、とても丁寧に作られている。
触ってみるとふかふかだった。もしかして、鷹の巣だろうか?
今日は、巣に遭遇する日かも(^_^;)

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やがて前方の斜面にイワウチワの群落が現れた。

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でも、まだ蕾は固い。この状態から、蕾がピンク色に膨らみ、花茎が伸びるまで2週間はかかるかと思う。

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かわいい花芽たちが、艶やかな葉っぱの影で、じっと花開く日を待っている。
大事に大事に、薄紅色の蕾を暖めているんだね。

わたしは愛しさにそっと蕾を撫でて立ち去ったのだった。

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枯れ草と枯れ枝、枯れ葉一面のけものみちをザクザクと踏みしめながら降りていく、アオイスミレの斜面もまだ姿も見えなかった。

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風の谷のハナネコやコチャルメラは、まだまだ小さいままだった。
この奥の谷筋にもきっと、ハナネコの咲く沢があるに違いない。いつか、そんな沢を探してみたいと思う。

やっぱり風の谷の木橋は、はずされたままだった。
川を渡渉する事を考え、渡りやすくするために、河原から大きな石を運んでみた。

風の谷の陽だまりで、今年初めてのタチツボスミレを見つけた。
まだ、5つほどの花が咲いただけだったけれど、うす紫のその花が茶色の枯れ葉の中から咲きいづるすがたを心待ちにしていた。
ああ、また、スミレの季節が始ったのね。
とても愛しくて、なぜかゆかしい早春の花よ…

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2009.03.12 Thu l 山と森 l COM(0) TB(0) l top ▲
  人生不相見
  動如參與商

人生相見ず、ややもすれば参(しん)と商(しょう)の如し
(人生、会うことは難しい。参と商の星が、共に空にいられないように。)

これは、中国の詩人杜甫の詩で、人と人との巡り逢いは、一期一会だから、出逢えた今を大切にしようという意味だそうだ。
参(しん)は冬の夜空に輝くオリオン座の事で、商(しょう)は夏の星座のさそり座の事、
東の空にオリオン座が昇る時に、さそり座は西の空に沈んで見えないことから、なかなか会うことが出来ないことに例えられているのだそうだ。

この詩を教えてもらった時、杜甫という詩人は、なんて素敵な喩えをする人だろうと思った。
人と人との巡り会いを、夜空に輝く星座に見立てるなんて、究極の浪漫だと思う。
星空の向こうに繋がる宇宙、永遠、何億光年もの時空の流れ、遥かなものに想いをめぐらせた。
星めぐりのような出逢い…そんなふうに、めぐり逢えたあなたと“今”を、大切にしたい。
そして、わたしの人生の中で、参と商のように、再び巡り逢うことの叶わない人々のことを思い浮かべた夜だった。

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2009.03.10 Tue l 日々の想い l COM(0) TB(0) l top ▲
春色の川

まだ、冬枯れの山、そのセピア色の世界にも、煌めく光がある。
何処と無く、そこかしこに柔らかな光が和む水辺に、そっと春は足音を忍ばせる。

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さざれ石のような渓流の小石に、ゆらゆらと揺らめく光が届き、所々に青い光を放って輝いている。
思わず、浅い水辺に手を浸してみる。身を切るような冷たさはない。
ほんの数週間前には、岸辺に幾つものツララを作り、流れは凍り付いて凍てつく世界だった。
まだ、名残りのように岸辺に残った飛沫氷も、眩い陽射しを受けて、キラキラとした光を放っていた。
冷たいはずのツララなのに、それは、もう、冬のものではなかった。

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水面を柔らかな風が吹けばさざ波が立ち、水底に沈んだ枯れ葉の上に、陽炎が立ち微かに風が吹いているように見える。
水の中を覗いていたら、すばやく小さな魚の影が小石の下に潜っていった。今年生まれた岩魚だろうか?
水の中にも、春の風が吹くんだね…ヤマメの稚魚たちは、そんな事を話しているかもしれない。
それは、あまりにも優しくて、あまりにも小さな物語なんだね。

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川原の石をそっと持ち上げたら、小さな虫が現れた。のんびりとお昼寝をしていたのだろうか?
トビゲラみたいな、川虫くん…起こしちゃってごめんね。
まだ、寝ぼけていたのかなぁ?手のひらの上でおとなしく、カメラに収まってくれたのだった。

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わたしの渓流の写真を、『春が来たみたいで、光に溢れていて、とっても好き!』と言ってくれたあなたに、
この写真をお届けしますね。きっと、喜んでくれるよね。そして、ヤマメみたいに春色の川を泳いで行きましょうネ(^_^)

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春告げ花

雪の中に咲くセツブンソウをずっと、撮ってみたいと思っていた。
枯れ葉の斜面から、そっと顔をのぞかせた、透き通るような白い花…
春の妖精のようなその花姿にどんなに憧れた事だろう。

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一昨年の初めての出逢いから、三度目の春、今年はもう、3回ここに来ている。
昨夜の春のなごり雪が消えてしまう前に、逢いにきたかった。
家を出た時は一面の銀世界、枯れ枝には、花が咲いたように雪が丸く繭玉のように残っていたけれど、やはり、儚い春の雪…秩父に着いた頃にはすっかり溶けてしまった。
自生地へ向かう間、どうか、残っていますように…と、心の中で祈っていた。
なごり雪を、その枝に乗せた、冬桜の蕾…あなたも、わすれ雪。

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やっと自生地に着くと、ほんの少し雪が白く残っていた。
わたしは、慌てて駆け寄った。白い雪の中で、白い花はより白く咲いていてくれた。

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でも、花びらが痛んだ花もあり、雪の洗礼は、きっと小さな花には過酷なのだろうと思えた。
雪とのコラボが撮りたいなんて、きっと人間のエゴなのかもしれないと、思うのだった。

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それでも、早春の花は、厳しい環境の中でも、健気にこんなにも美しく咲き誇っているのだと
まるで、雪のように地面を白く染め上げる可憐な花たちに出逢えたことが嬉しかった。

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もう、きっと、今年は訪れる事はないだろう…
見納めに、わたしは、もうう一度心を込めてシャッターを切った。
雪解けの雫を宿したセツブンソウ 春が来たよと想い謳えり

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セツブンソウのなかに、かわいいアズマイチゲの蕾を見つけた。
愛らしいピンク色が恥じらうように俯いていた。春の色だね…

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セツブンソウとのコラボレーション。春のコラボ…

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もうひとつの春告げ花のフクジュソウの自生地へも行ってみた。
セツブンソウの自生地を出る時、地元のお土産を売っている売店のおばあちゃんが、
『ほら、夫婦の鷹が飛んでるだろう。あんなふうに鷹が飛ぶと雨か雪が降るよ。』と
教えてくれたけれど、空はどんよりと曇り空になっていた。

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フクジュソウとロウバイの自生地は、少し小高い丘の上にある。
紅白の梅の花が美しく咲き誇る道を自生地に向かって登って行くと、賑やかにシジュウカラたちが迎えてくれた。

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やがて良い香りが漂うロウバイ園に着いた時、たくさんの鳥の群れがやってきた。
小高い木の枝に止まった群れを双眼鏡で眺めると、頭が黒っぽくて喉が紅色だったからウソの群れだと思った。

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しばらく眺めていると鳥たちはいっせいに飛び立ち、ロウバイ園の上を円を描くように一周した。
その羽ばたく羽の音が頭上を通り過ぎていく…

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やはり曇り空の下では、フクジュソウの花は、あまり開かないのだけれど、秩父紅というオレンジ色の品種も見れた。

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黄色い花色のフクジュソウは、陽射しに輝けば黄金色に見えて、春の喜びを謳歌しているような花だけれど、
オレンジ色の秩父紅は、シックな花色で、なんとも言えない深みがある色だった。

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ロウバイの透き通った花がはらはらと零れ落ちた…早春から咲いているこの花こそ、春告げ花にふさわしいのかもしれない。
綺麗な花を拾い上げ、石の上に並べて写真を撮ってみた。

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すると、また、たくさんの羽音がして、30羽近い鳥の群れが舞い降りた。
その数に、胸をときめかせながら双眼鏡を覗いて、また、胸がときめいた。
それは、マヒワたちの群れだったのだ。逆光りだけれど、ほんのりと黄色い胸の色が見えたから、間違いないと思う。
マヒワは、鳥見を始めた頃に、何度か逢えたきり、ずっと逢えずにいた鳥だったから、凄くうれしかった。

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もっと、良く見たいと思っているうちに、たくさんの観光客がやってきたので、鳥たちはまた、あの波のような羽音を残して飛び去っていってしまった。でも、わたしは、とてもしあわせだった。

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帰りに、売店の野草を眺めていたら、シックな色合いの翁草と、紫色のユキワリソウに心惹かれた。
上手く育てられるか分からないけれど、小さな鉢植えを2つ、買って帰ったのだった。

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2009.03.07 Sat l 山と森 l COM(2) TB(0) l top ▲
      Forget Me Not / 尾崎 豊

   小さな朝の光は疲れて眠る愛にこぼれて 
   流れた時の多さにうなずくように寄りそう二人
   窓をたたく風に目覚めて君に頬よせてみた
   幸せかい きのうのぬくもりに
   そっとささやいて強く君を抱きしめた

   初めて君と出会った日 僕はビルの向こうの
   空をいつまでも探してた
   君が教えてくれた花の名前は
   街に埋れそうな小さな忘れな草

            “Forget Me Not” ←クリックすると曲が聴けます。     

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アイリスと一緒にお雛様を飾った。
いつも、飾る度に、幼い日のマーガレットとアイリスの笑顔を思い出している。
段ボール箱の中から、柔らかな和紙に包まれた雛人形を取り出し、そっと和紙を外すと、
『わぁ~!かわいいねぇ、おひなさま、こんにちわ♪』と、幼い娘たちは目を輝かせた。

アイリスは、慣れた手つきで、ひな壇を組み立て緋毛氈を敷き詰めていた。金屏風を飾って
雪洞に、桜と橘を飾る。『おかあさん、右近の桜、左近の橘だったけ?』なんて言いながら(^_^)
わたしは、「うん、そうよ~」などと答えながら、雛人形を箱から取り出した。
「お久しぶりです。お内裏様、相変わらず美男におわしますね♪」
「お久しぶりです。お雛様、とってもお美しいですよ♪」
「お久しぶりです。三人官女さん。どなたも美人さんですね♪」
ひとつひとつ、こんな事を言いながらテーブルに並べていくわたしに、アイリスはケラケラ笑っている。
小さい時、こんな風に言いながら飾った事を、覚えているだろうか?
今年は、飾るのが遅くなってしまったから、少しゆっくり飾っておこうと思う。
「お姉ちゃんにも見せてあげたいしね。でも、アイリスのお嫁入りが遅れたら困るわね。」と言うと
『いいよ、まだ、わたしは、お嫁に行かないから^_^;お姉ちゃんが来るまで飾っておこうよ』と、アイリスは答えるのだった。

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ふたりして、協力しながら、お雛様を飾り終えた。『わぁ、かわいい♪ここだけ春が来た見たい。』
アイリスは雪洞に灯りを点けながら、昔と同じように、ひな祭りの歌を口ずさむのだった。
マーガレットも歌っていたなぁ…♪~金の屏風に映る陽を微かに揺する春の風~を、
かすかに~ゆずる~はるのかぜ~なんて、歌っていたっけ(笑)

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母が選んでくれたお雛様。今年も見に来ているのかな?と思ったら、ちょっとしんみりとしてしまった。
『おかあさん、明日は、おばあちゃんの好きな散らし寿司にしようね。』と、アイリスが言った。
いつも、お雛様を飾ると、三月に逝った父母の優しい眼差しを思い出す。
そして、3月3日、ひな祭りの日に、27歳の若さで旅立っていったTさんのことも…
外は春の忘れ雪が降り出した。そう言えば、Tさんの告別式の日も、こんな春の雪がふっていたっけ。

今夜は静かに、Tさんが好きだった“Forget Me Not” を聴こうかな…

Tさんのこと…<過去のエッセイ>からForget Me Not
  よろしかったらご覧くださいm(__)m
2009.03.03 Tue l 日々の想い l COM(8) TB(0) l top ▲
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金曜日、こちらでも雪になった。初雪そして、名残雪だった。
アイリスの車の上にも、淡く、白く降り積もっていた。
「もしかしたら、明日はセツブンソウと雪のコラボが見れるかもしれないわ、一緒に行く?」
と言うと、『うん、行きたい!』との返事が返ってきた。
翌日、久しぶりにアイリスと秩父に向かった。
『おかあさん、今日は何を聴きながら行こうか?』と、アイリスがCDを選びながら聞いた。
「そうね、久しぶりにアンジェラ・アキがいいかなぁ…」と言うと、『うん、わたしも今、聴きたいと思ったところ!』
そんな感じで、二人のちいさな旅は始まったのだった。

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道すがら、梅が綺麗に咲き競っていた。
その美しさに、時々、車を止めては、ふたりして眺める。
山際の空は、薄い水色が覗き、畑には明るい黄色のクロッカスやピンク色の桜草などが、愛らしく咲き競っていた。
小川のせせらぎには、何処と無く春の気配が感じられ、深呼吸するとほのかな梅の香。

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『あっ!カワラヒワ、かわいい♪』アイリスは目ざとく見つけて、嬉しそうに微笑むのだった。
その後、何度も車を止める度、カワラヒワに出逢えた。
『おかあさん、今日は、カワラヒワデーだね♪』お弁当のおにぎりを食べながら、わたしたちは、長閑な田園風景を眺めていた。

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午前中は長閑な日和だったのに、両神のセツブンソウ園に着く頃には、どんよりと雲が広がって寒々とした天候になってしまった。
期待していた雪はすっかり消えてしまっていたけれど、林床には、真っ白に雪が降ったように、一面のセツブンソウが咲き誇っていた。

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わたしたちは、ゆっくりと散策しながら可憐な早春の花を愛でた。
アイリスは時々、液晶画面で確認しながら、丁寧に写真を撮っていた。
わたしは、ついつい、撮りすぎてしまう自分を反省した。きっと、何か大切なものをなくしているような気がしたからだ。

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写真を始めた頃は、フィルムカメラだったこともあり、じっくりと被写体と対話しながら丁寧にシャッターを切っていた。
初心に帰って、そんな姿勢を大切にしたいと思った。
ふと、昨年のセツブンソウを見に出かけた日のことが思い出された。

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ちょうど今頃だったろうか?秩父両神にあるセツブンソウの自生地が、開園になったと聞き、早速出かけた。
アイリスに見せてあげたくて出かけたけれど、まだ早すぎてただ一輪のセツブンソウを見ただけだった。
小雨の降る寒い日だった。広い自生地の林の中を、手分けして探した。
わたしが、斜面の上側を探し、アイリスは、下側を探した。

一面枯れ葉の斜面には、何処にも花の姿は見当たらない。
アイリスはどうしているだろう?そう思って振り向いた時、一陣の突風が吹き荒れた。
ザワザワ、ザワザワと、斜面の枯れ葉はいっせいに動き始めた。
それはまるで、川の流れの様でもあった。そして、あたり一面に舞い上がったのだった。
わたしは、思わずあっと、小さく叫んでいた。
斜面にかがみこんでいたアイリスが、その枯葉の波に飲み込まれたように見えたからだった。
でも、その次の瞬間、アイリスの嬉しそうな声が聞こえた。
『おかあさん、一輪だけ、小さなお花が咲いているよ!』

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風で乱れた髪を気にしながら、輝くような笑顔で立っている、娘のもとへと
わたしは、笑顔になって、斜面を駆け下りたのだった。

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時々、会話を交わしつつ、思い思いにレンズを向けながら、1時間近く撮っていた。
体が芯から冷え切ってしまい、二人は震えながら、ほっと、ため息をついた。
「そろそろ、帰ろうか?」『うん、寒くなっちゃったね。』
帰り道、ちょっと物足らない気がして、セツブンソウ園で、貰った割引券を眺めていた。
それは、両神温泉と神怡館という施設の割引券だった。
「どっちかに、寄ってみようよ。」ということになり、神怡館に立ち寄る事にした。
それは、中国の山西省というところと、埼玉県とが友好都市になっていて、その記念館があるのだそうだ。

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山あいにかなり大きな建物が建っていた。館内は撮影禁止なので、写真はないのだけれど、
いくつかの仏像や、都市の模型、書や絵画、組み紐の展示など、なかなか興味深く楽しめた。
特に、薄い絹に施された梅の花の刺繍のついたてに、ふたりの足は止まってしまった。
見事な枝振りの梅の樹に、美しい紅梅が咲き誇る絵柄で、細いサテンの糸で刺された刺繍は、その色の濃淡が実に美しく表現されていた。
そして、裏から間接照明の柔らかな光が差し込むと、その刺繍の花は、立体的に浮かび上がって見えるのだった。
「素晴らしいね。」『うん、芸術品だね。』娘と同じ感性で鑑賞している空間が、何だかとても静かで温かく心に響き、今日という一日の終わりに相応しいようなそんな気持ちにさせられた。
中国の民芸品が並んだ、小さな土産物品のコーナーで、アイリスは七宝焼きで出来た小鳥の置物を手に取った。
それは、とても小さな置物で、陳列棚に、違ったポーズのものが2羽だけ、置かれていた。
しばらく迷った後で、アイリスは一羽を買い求めた。

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外に出て、綺麗な紅梅の咲く小道で写真を撮っていたら、『おかあさん、やっぱり、わたし、もう一羽の方も買ってこようかな?』
と、アイリスが、恥ずかしそうに言った。
「そうね、きっと、残った一羽が寂しがっているから、買ってきてあげたら?」と言うと、
アイリスは嬉しそうに、走っていったのだった。

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家に帰ってきてから、アイリスは、机の上に2羽の小鳥を並べて飾った。
『やっぱり、買ってきて良かったわ…』と、微笑みながら…
それは、遠い中国から長い旅を越えて渡ってきた鳥のように見えた。

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2009.03.03 Tue l 里山 l COM(4) TB(0) l top ▲