FC2ブログ
今日は、父母のお墓参りに出かけた。
あと数日で、山梨に戻るマーガレットとてっちゃんを連れて無事出産の報告をするためだ。
3月のお彼岸に、訪れて以来、母の命日にも来れなかったから、本当に久しぶりだった。
道すがらの景色は、いつのまにかすっかり季節が動いて、夏の花々が色鮮やかに競い合って咲いていて、わたしは、季節の移ろう速さにほんの少し戸惑う。

しばらく続く茶園は、浅緑の新茶の葉が柔らかそうに伸びていたし、畑の縁や、農道沿いに、眩しげなカンナの朱色や黄色の花や、色とりどりのグラジオラスのさまざまな色合いの花が楽しげに咲いているのを見ると夏が来たのだと感じた。

家々の庭も夏の花の彩り、ハルシャギクが風に揺れていたり、クチナシの厚みのある白い花がぽったりと咲いていたり、タチアオイの柔らかな花が背い比べをするように並んでいたり…
半夏生の涼やかな白い花が、もう、咲いている。
濃いオレンジ色のノウゼンカズラの花は、緑の立ち木を覆うように、燃ゆる夏の日を象徴するように咲いているのだった。
ノウゼンカズラの花影に、縁側に座って花を見ていた父母の姿が浮かぶのは、いつものことだった。

実家に向かう道すがらには、いつも似たような郷愁を感じて胸がキュンとなる。
それは、遠い夏の記憶なのか、優しい父母の思い出なのか、いつも想いは子供時代を巡るのだった。
遥かな遠いふるさとでもないのに、そして、もう、そこに待つ父母はいないのに…。

わたしの想いを、知る由もなく、娘たちは楽しげにおしゃべりをしていた。
人の命は終わっていくもの…いつかこの道を通う事もなくなるのかもしれない。
そして、ノウゼンカズラの花への思慕も、いつか消えていくものなのだと思う。

季節は、恋しくてせつない、大好きな夏へと今年も巡ってゆく…
スポンサーサイト



2009.06.28 Sun l 日々の想い l COM(2) TB(0) l top ▲
今日は、てっちゃんの初宮参りの日。
朝早く、山梨からパパがやってきた。
本当は11時頃来るつもりだったけれど、早々と目が覚めてしまったので一路車を走らせて来てしまったと、照れくさそうに頭を掻いた。
パパは、来るなり、真っ先にてっちゃんのそばに行って、覗き込んだ。
ちょうど、てっちゃんは、目を覚ましていてご機嫌だった。
パパの顔を見つめて、手足を動かしながら、『あぅ、あぅ…』とお話を始めた。

ここ数日の成長ぶりは著しくて、それまで、目を合わせる事もあまりなかったのに、
しっかりとこちらの目を見つめるようになり、目で追う仕草もするようになっていた。
そして、声をかけると、可愛らしい声で、歌を歌うように反応し、あやせば笑うようにもなった。
パパは、何度もてっちゃんの名前を呼んでニコニコ顔だ。
マーガレットは、穏やかな笑みを浮かべながら、『てっちゃん、良かったね。パパが来てくれたよ。パパに抱っこしてもらおうね…』と言った。

その声に即されるように、パパは、大きな手で、大切な宝物を抱くようにそーっと抱き上げた。
すると、てっちゃんは、パパの顔を見つめながら、ニコニコ笑った。
『もう、笑うんだ…』パパは、感動したように呟いた。
『てっちゃん、偉いね。初父の日のプレゼントだね♪』と、マーガレットは優しく側に寄り添うのだった。

早めに心ばかりのささやかなお祝いの膳を囲んで食事をした後、1時に予約しておいた神社へと向かった。
てっちゃんは、初めてのおめかしだ。
マーガレットが生まれた時に、わたしの両親から送られたサテンのべピードレスを着せて、帽子を被せたら、『かわいい~♪』と、マーガレットとアイリスは声を合わせた。

20090621_1659.jpg


そして、お祝いの着物は、鯉が滝昇りをしている絵柄の黒の紋付だ。
この着物はわたしの弟が初宮参りの時に、祖父母から贈られたものなのだった。
それを、わたしの息子が使い、今度は孫が使う。
年代ものだけれど、少しも痛みはないし、三代に渡って初宮参りに着るという事も、きっとこれを贈ってくれた祖父母や、わたしの父母も喜んでくれていると思った。

20090622_1693.jpg

お宮参りの神社は、下見をして青梅の古い由緒ある神社を選んだ。
長い急な階段を上り、深い木立に囲まれた神社は深閑として厳かな感じだ。
神主さんに案内されて、わたしたちは拝殿へと進んだ。
立派な彫刻が施された拝殿は江戸時代の創建だそうだ。

神主さんが祝詞をあげてくださる声、榊を振るさらさらと言う音…
てっちゃんが健やかに育ち、一生幸せでありますように…みんなの願はひとつだった。
拝殿の中を、涼やかな初夏の微風が吹き抜けていき、てっちゃんはすやすやと寝息を立てていた。

息子や娘たちの時もそうだったけれど、こうして健康に生まれてきた事への感謝で胸が一杯になった。
健康で五体満足に生まれてくる事を、普通の事のように思ってしまいがちだけれど、本当はとっても幸せでありがたいことなんだと、わたしは思う。

てっちゃんを、しっかり胸に抱いたパパは、天井の鳴き龍の絵や、梁の造りなどを見上げていた。
わたしが、「どう?気に入った?」と聞くと、彼は『凄いです!今まで見た中で一番立派な建物です。』と言った。
わたしは内心良かったと思った。宮大工をしている彼が、きっと気に入ってくれると思ってこの神社を選んだからだった。
彼はマーガレットに、『ほら、この階段の造りを見てみろ、いい仕事をしてるんだよ。』などと言いながら、熱心に説明をしていた。
そんな姿を見ていると、本当にこの仕事が好きで宮大工の世界に入ったということが良く判るのだった。
マーガレットは、何度も頷きながら、感心したように『本当だ、すごいね~!』と言っている。
そんな優しさがマーガレットの良いところなんだなぁと、今更ながらわたしは気づいたりするのだった。

初宮参りの後は、神社の門前近くにある小さな写真館で記念写真を撮る事のなっている。
昭和の香りのする小さな写真館は、“キネマ通り”と言う小さな路地にあるのだった。
石レンガ造りの古い外観に、昔ながらの飾り窓。まるで昭和にタイムスリップしたようだ。
主人は、『家の近くに、もっと新しい写真館が一杯あるのに、何でこんなところで撮るんだ。』と不服そうだったけれど、マーガレットもアイリスも彼も気に入ってくれたようだった。
娘たちは、『すごく、いい感じ♪“スミレ写真館”だって、おかあさん、名前で選んだんでしょう?』と笑った。
「うん、それもあるかな?」と、わたしも笑ったのだった。

20090618_1511.jpg

わたしたちが店の前に着くと、小柄なおばあちゃまが飛び出してきた。
『まぁまぁ、かわいい赤ちゃんですこと。さぁ、どうぞ、お待ちしておりました。』
そう言うが早いか、てっちゃんを抱きとると、店の2階へと案内してくれた。
マーガレットもパパも『よろしくお願いします。』と言いながら靴を揃えて脱ぎ、物珍しそうに、きょろきょろと辺りを見回しながら小さな木の階段を上っていった。
2階のスタジオでは、女性カメラマンの方が笑顔で迎えてくれた。おばあちゃまの娘さんか、お嫁さんと言った感じだった。

グレーを基調とした大きなスクリーンをバックに、部屋の正面には、年代を重ねた椅子が置かれていた。そして思っていた通りの古めかしくて大きなカメラだった。
わたしたちが子どもだった頃、記念写真といえば、黒い布のついた大きなカメラで写真屋さんが撮ってくれたものだった。
眩しいフラッシュがパシャっと焚かれたりしたものだったなぁと思いながら、控えの椅子に腰掛けて懐かしく眺めていると、駐車場に車を置いた主人が階段を上ってきた。
先ほど苦言を言っていた主人だったが、この写真館の懐かしい雰囲気に、こころが和んだようだった。

椅子に腰掛け、てっちゃんを胸に抱いて微笑むマーガレットと、半歩後ろから側に寄り添うように立ち、緊張した面持ちでカメラに向かうパパ。
カメラマンの指示で、てっちゃんの手をパパの大きな手の上にそっと重ねた。
その途端、パパは、とても嬉しそうな笑顔でカメラを見つめたのだった。
『はい、撮りますよ!』パシャ…っとシャッターの落ちる音。
てっちゃんは、ずーっと眠ったままだったけれど、こうして初めての家族写真撮影は終わったのだった。
古い写真館で撮られた家族の肖像…きっと思い出に残る写真になったのではないかと思う。
ほんの短い時間だったけれど、何だかわたしたちは満ち足りた幸せな時間を過ごしたような気がした。
写真館のおばあちゃまやカメラマンさんにお礼を言い、晴れやかな気持ちで写真館を後にしたのだった。

朝のうちは霧雨が降っていたけれど、すっかり晴れ上がった空の下で、色づき始めた紫陽花が美しく咲いていた。

20090618_1297.jpg

20090618_1572.jpg

駐車場まで歩く間にも、通りすがりの見知らぬおばあちゃんが、『可愛い赤ちゃんね。おめでとう。』と、声をかけてくださったりした。
マーガレットと彼は、笑顔でお辞儀をしながら嬉しそうだった。
そして、マーガレットが、『おかあさん、素敵な写真館で記念写真を撮ってくれてありがとう。とってもいい記念になったわ。てっちゃんが大きくなったら写真を見ながら今日のことを話してあげるわ』と言った。
彼は、『おかさん、何から何までお世話になってありがとうございました。』と頭を下げた。
そして、マーガレットが生まれ育ったこの街を、彼も好きになってくれたようだった。

『てっちゃんが大きくなったら、三人で来よう…』と、彼が言っていたとマーガレットから聞いたのだった。

20090618_1257.jpg

2009.06.27 Sat l 日々の想い l COM(6) TB(0) l top ▲
そよ風がそっと吹いて、水面に立てる漣の限りない優しさ
雨粒がひとしずく落ちて、湖面に広がる波紋のひそやかな静けさ
結び葉に射した木漏れ日に、透ける緑の清々しさ
森を抜けた草原に、一面に風にそよぐ花たちの巡る命の美しさ
遥かな小径をたどり、どこまでも水と緑の大地に憩う、そんな日々があった
IMG_1082_20090625072645.jpg

IMG_1041_20090626223847.jpg


そんな日々は遠くなったけれど、
いつもの暮らしの傍らに、そっと息づく安らぎに気づいた

アスファルトの隙間からつんと伸びた、草の生命のたくましさ
草むらや、垣根やお庭や、路地裏の片隅で咲く花たちの優しさ
里道の畦に咲いたシロツメクサのように
ブロック塀の割れ目に咲いた紫カタバミのように
色づきはじめた紫陽花の、ふんわりとした膨らみのように

20090618_1223.jpg

20090618_1296.jpg


6月には、そんな優しさを写真に撮りたい…
雨上がりの水溜りに映った夏色の空を見ながらそう思う。
夏が来る前の、ほんの一瞬
限りなく優しい水色の季節が過ぎてゆく前に…

20090618_1235.jpg

IMG_5857_20090626225021.jpg

2009.06.26 Fri l 山と森 l COM(2) TB(0) l top ▲
耳元で、さやさやと吹く、風の音を聞いた事がありますか?
まるで、風が囁いているような、微かな音色…
それは、とっても心地よい響きなんです。

山の上の湖の上を吹いてきた風は、ほんのりと夕日の色を映していました。
岸辺に立って、体にその風を受けると、わたしの耳元に囁くように…
6月の風は、ほのかな夏の匂いを乗せて吹きぬけていきます。

湖面には、微かなさざ波が、夕日の光を散りばめ
金色の小さな波が、きらきらと寄せています。
時折り、森の中から鶯が囀る声が聞こえてくるだけで
あとは、やわらかな風の囁きをきくばかり…
わたしは、五感で初夏の音色を感じていました。
さざ波の煌めきを見つめていると、こころは水面を漂っているような気がします。

ふと見上げると山の上の高い空にツバメの群れが飛び交い始めます。
夕暮れの名残りの空は、薄いオレンジを流したようにやさしく溶け合い
ツバメたちのシルエットが、やわらかな曲線を描いて飛んでいきます。
キュルルル…と可愛らしい囀りも聞こえてきて、黙って見上げていると、
わたしの心は大空へと吸い上げられていきそうな気がします。

ツバメたちのたくさんのシルエットの中に、寄り添う二羽を見つけて思わず目で追います。
二羽のツバメは、楽しそうに時々体をひるがえしたりしながら、戯れていて、
しあわせそうで、それを見つめるわたしも微笑んでいました。
いつしか、名残りの夕映えの光も、消えて行き、ツバメたちも、ねぐらへと帰って行きました。
水面の金色の光も色褪せて湖の底へと消えていきました。

でも、風はずっと耳元にあって、その透明な息吹きが、優しく包んでくれていました。
わたしは、風と共に岸辺を歩き、夏を感じた6月をずっと忘れずにいます。
6月という季節が巡る度、あの山上の湖の夕暮れ時のひと時を思い出すでしょう。
そして、また、あの場所に…

2009.06.15 Mon l 未分類 l COM(2) TB(0) l top ▲
6月8日。
てっちゃんが、この世に生まれてきて、ちょうど一ヶ月。
おっぱいを飲んで、寝て、泣いて、オムツを替えて、また寝て…
夕方になれば、お風呂に入れて、小さな手足をばたばたさせて…
ママのマーガレットはずっと側にいて、お世話をしている。
アイリスも精一杯、姉をサポートしている。
いつも二人で相談しながら、育児をしているようだ。
本当なら、パパとそうするはずだけれど、里帰り中なのでアイリスが代理みたいなものかもしれない。
わたしが仕事を終えて家に帰ると、二人で沐浴を済ませてくれている。
最初はおままごとのようだった育児も慣れてきたようだ。
おっぱいをあげる時のマーガレットは、慈愛に満ちた優しい表情をしている。

一ヶ月経って、てっちゃんは、視野も開けてきたのか、時々ジーっと見つめる仕草をする。そのあどけない表情がとても可愛い、いろんな表情も見せてくれるから飽きないのだった。

20090524_0843.jpg

♪ひよこがね、お庭でちょこちょこかくれんぼ…
 どんなに上手に隠れても、黄色いあんよが見えてるよ
 だんだんだあれか見つかった…♪
てっちゃんを寝かし付ける時、
かわいいかくれんぼや、お使いアリさん、ゆりかごのうた、あめふりくまのこ
そんな童謡を、マーガレットもアイリスも可愛い声で歌っている。

アイリスが、てっちゃんを抱っこして“隣のトトロ”を歌っていると、てっちゃんはじっと見つめながらおとなしく聞いている。
『てっちゃんは、アイリスの歌が好きみたいよ。お腹の中にいる時からいつも聞かせてもらっていたものね。』マーガレットが笑顔でそんな事を言っている。

『てっちゃんには、妖精が見えるんだよね。てっちゃん、信じる事を忘れちゃダメだよ。てっちゃんが信じなくなったら妖精はいなくなってしまうからね。』と、アイリスはてっちゃんの体を優しく揺すりながら話しかけている。
『てっちゃんは、どんな子に育つんだろうね。いたずらっ子になるのかなぁ。お姉ちゃん、楽しみだね!』そんな事を言いながらアイリスは、マーガレットに、てっちゃんを渡した。
『うん…』マーガレットは、いままで見せた事のないような優しい微笑を浮かべながら、てっちゃんを、胸に抱えて、愛おしそうに頬ずりをした。

20090524_0877.jpg


一ヶ月検診とお宮参りを済ませたら、そろそろ、マーガレットとてっちゃんが山梨へ帰る日が近づいてくる。
里帰りしてから、出産と育児を通して、こんなに長い時間、娘と過ごしたのは、子どもの時以来だと思う。

母となった娘は、娘であると同時に、母親としての同胞のような気もした。
実際、娘時代の頃よりも、ずっと成長した大人の女性になっていた。
この数ヶ月間、母と娘の時間を、穏やかに愛情こまやかに紡げたこと。
そして、新しい命が誕生する瞬間に立ち会え、感動と喜びをを分かち合えたことに感謝している。
わたしや家族に、しあわせを分けてくれた、マーガレットとてっちゃん、ありがとうと心からそう思った。娘が命がけで贈ってくれた最高のプレゼント、そんな気がする。
命の素晴らしさ、尊さ、若い父母の希望や夢や喜び、たくさんの力を感じられた数ヶ月だった。
最初、漠然と、わたしの父母の想いが本当の意味で判るかもしれないと思っていたけれど何だか判った気がする。
きっと、父母も今のわたしのように感謝の想いに満たされていたに違いなかったとそう思う。

20090524_0820.jpg


てっちゃんと、マーガレットが帰ってしまう日が近づいていることを思うと、自然と涙が零れそうになる。
娘たちは目ざとく見つけて、『おかあさん、もう、今から。早すぎるよ。』と笑う。
涙もろいのは昔からだけれど、最近、ますます弱いのは、やっぱり年のせいなのかもしれない。

てっちゃん、あなたを見つめるだけで、涙ぐんでしまうほどの喜びを与えてくれてありがとう。
どうか健やかに育ってねと、心の中で話しかけるのだった。
あなたと過ごした5月から6月は、忘れられない日々となると思うよ…

20090524_0816.jpg
2009.06.08 Mon l 日々の想い l COM(6) TB(0) l top ▲
今、北海道のMさんご夫妻が尾瀬を訪れている。
わたしにとってMさんは、ホームページを開設した当初からの、とても大切な人だった。
Mさんが、尾瀬にいらっしゃる時には、どんな事があっても駆けつけます…
そんな風に約束していたのに、やはり行けないわたしだった。
尾瀬仲間さんたちは、みなさん、逢いにいらっしゃっていると思う。
土曜日に駆けつけたmちゃんが、Mさんご夫妻と映っている携帯写真を送ってくれた。
わたしは何度も何度も、その写真を見つめたけれど、小さい写真だから、お二人のお顔はよく見えないのだった。
でも、楽しそうな笑顔で映っているのは分かる。
思い出深い尾瀬に立たれたMさんご夫妻の弾む気持ちも伝わってくるような気がする。

わたしは、「行きたかったなぁ…逢いたかったなぁ…」と呟く。
Mさんは、いつの日も変わらずに、陽だまりのように暖かい大きな心で受け止めてくれる、そんな人。吹き抜ける風のように、夢と浪漫を胸に大自然と向き合うMさんご夫妻に、大好きな尾瀬の懐で、出逢ってみたかった。
名前を呼んで駆け寄って、その手のひらに触れたら、きっと暖かいだろうと思った。
優しいその声を聞いてみたいとも思う。

『いつの日か、風たちぬベンチで逢いましょう。それを信じて頑張ってください。その時はもうひとりの風さんも一緒にね。』と、Mさんは優しく言ってくれるけれど、逢えるだろうか…
わたしにとって、尾瀬は相変わらず、遠いから…

IMG_3152.jpg
2009.06.08 Mon l 日々の想い l COM(1) TB(0) l top ▲
先日ブログにアップしたドクダミの花の写真を見て尾瀬の水芭蕉と同じ色合いで美し
いと思っていたので嬉しくなりました。とメールをいただきました。
また、ずっと以前にブログにアップしたわたしの写真を見て、ドクダミの花を綺麗だと思うよ
うになりました。というメールもいただきました。ブログを綴っていて嬉しいと思える瞬間です。
メールをくださった方、ありがとうございました。

mori-100200.jpg


今は野辺に咲いた何気ない草花に限りない愛情を感じるようにりましたけれど、若い頃のわたしは、高山植物に夢中でした。
尾瀬の水芭蕉やリュウキンカ、ショウジョウバカマやタテヤマリンドウ、イワナシ、ズミ、ヒツジグサ、ミツガシワ、チングルマ、サワラン、ヒメシャクナゲ、マイズルソウ、ハクサンイチゲ、ミヤマキンバイ、ヒナウスユキソウ数え上げたら切が無いくらい…
そして、まだ見ぬ、北アルプスの高嶺に咲く、コマクサ、ウルップソウ、チシマギキョウ、ハクサンフウロ、イワカガミ、etc…孤高の花たちに憧れていました。
可憐な花たちは、星の雫を飲み、朝露の玉をまとい、燦々と降る日の光を浴びて咲いているのだと思っていました。
そして、再び尾瀬に足を踏み入れた時、そんな花たちが撮りたくて、カメラの事など何も知らないのに一眼レフを購入したのでした。
その頃のわたしは、写真を撮るのは尾瀬と山の景色と山の花だけだったと思います。
尾瀬で撮った写真や尾瀬への溢れる想いを綴りたくて始めたホームページ。
尾瀬で知り合ったたくさんの仲間が、訪れてくださって、BBSは、いつも、尾瀬の便りで賑わっていました。
そんな時、ある人が、里山に咲いたノカンゾウの花を届けてくれました。
『この花もユリ科の植物で、尾瀬に咲くニッコウキスゲと同じ仲間です。
やはり一日花で、朝咲いた花は夕方にはしぼんでしまいます。
わずか一日限りの花の命です。』

IMG_5994.jpg

それからもずっと、そして、今も変わらずに尾瀬への思慕は続いていますが、“一日限りの花の命”この言葉が長くわたしの心に留まりました。
悲しい事が続いて、尾瀬も遠のいていたある日、わたしは、初めて里山に立ちました。
そして、里山の花にカメラを向けていました。
儚くも逞しく咲いた野の花が、切なさを癒してくれました。

身近に咲いた野の花を撮り始めた…それがわたしの原点だと思います。
路傍に咲いた小さな花にも名があって、その花影に憩う小さな虫たちも季節を巡りな
がら健気に生きていることを知りました。
尾瀬は限りなく恋しく美しいけれど、尾瀬だけが自然ではないことを、高山に咲く花だけが花ではないことを、そして、わたしに自然の営みの美しさと儚さを教えてくれた人。
“こころの人”あなたのお陰でわたしの今があるのだと思います。
まだまだ、上手くは撮れません。想いのままの写真です。
でも、そんなわたしの写真でも、こころを動かせてくださる人がいることが、何だかとても嬉しいのです。
いつか野に咲く花のような、誰かの心を暖かくする飾らない写真が撮りたいです。

IMG_3025.jpg





2009.06.05 Fri l 日々の想い l COM(4) TB(0) l top ▲
今日から6月…雨の月って印象もあるけれど、
実は、とってもひそやかで、美しい季節。
雨に濡れた紫陽花や、木々の緑、匂い立つクチナシの香り…

mori-100227.jpg

雨上がりの水溜りを、ひらひらと飛び交う白い蝶…
クモの巣にかかった水玉のネックレス…
暑かった日の夕暮れの空、小さく輝く一番星…
宵の闇に、儚げに煌くホタルの明滅…

mori-100165.jpg

6月は涼暮月(すずくれづき)とも呼ぶのだという。
そんな6月の情景を…

mori-100251.jpg


雨に濡れた紫蘭の花をとても美しいと思う。
庭の片隅や、垣根の下で雫をためて濡れそぼつ姿が
とても密やかで、そっと何かをささやいているようで…

IMG_2980_20090603010716.jpg

いくつもの雨粒は、神秘のベールのように薔薇の花びらを包む
今にも開きそうな蕾ならなおさらに美しく
はらりと散った薄紅の花びらならば、夢の足あとのようで…

IMG_2990.jpg


緑が濃くなった森陰の小道で雨上がりの陽射しに
くっきりと白い花びらを輝かせているドクダミの花
雨の名残りの雫が清らかな水玉になって揺れている
白い十字のその花が、なぜかとても清楚な気がして…

mori-100166.jpg


ほんの少し早く目覚めた朝、急に野辺の様子が見たくなって
露を含んだ下草が足元を濡らす草原を歩めば
薄紫の花灯りが朝もやに浮かぶ。紫つゆ草は朝へのくぐり戸…

IMG_4224_20090603011853.jpg

田んぼには早苗が柔らかな風に緑の波のよう
その上を緑色の目をしたサナエトンボが飛び交い
水草を分けてアマガエルが泳ぐ
畦に咲いたユウゲショウの花は優しげな初夏の譜面のように咲き続く…

IMG_5855.jpg

IMG_5803_20090603011143.jpg

IMG_5828_20090603011344.jpg

紫のアヤメは涼やかで、秘めた想いの潔さ
誰にも知られずに凛と咲いて散ってゆく

IMG_4223_20090602073029.jpg

純白の睡蓮の花には、おやゆび姫が眠っていそうな気がして
そっと覗き込んでしまうのは、わたしだけだろうか
睡蓮の葉の影にはカエルが隠れていそうな気がしていたけれど、
隠れていたのは赤い金魚だった。

IMG_4160.jpg

IMG_4191.jpg

真っ白な花が緑の梢に咲き始めた…ヤマボウシの清々しい花を見つけると
東北の森の中のログハウスに住むあなたの事を思い出す。
“アビ”という白い犬を連れたあなたの姿が浮かぶ。
あなたは大好きなヤマボウシの花を庭に植えたと言っていた。

IMG_4775.jpg

雪のように枝に咲き零れるヤマボウシ…

mori-100158.jpg

野辺に咲いたヒメジオン…薄紅色のハルジオン…
なんてやさしい花でしょう

IMG_4011_20090602075325.jpg

雨上がり、蓮の葉の上の大きな水玉が、青い空を映していた。
燕が低く飛んでゆく

IMG_4129_20090602072247.jpg

森影のシャガの花、雫を宿し

IMG_3078.jpg

木洩れ日に輝く…

IMG_3882_20090602075252.jpg


涼やかなカエデは緑の木洩れ日を浴びて、そよいでいる

mori-100271.jpg

光と影の渓谷の煌きは、6月の情景

IMG_4430.jpg

早瀬、踊る光に、濡れていた君の瞳…
時はめぐり、また夏が来てあの日と同じ流れの岸
瀬音優しき杜の都 あの人はいない…

青葉城恋歌、くちづさんでしまう。

IMG_4428.jpg

ホタルブクロの薄紫の花が静かに川面を吹く風に揺れれば、
宵闇に、ひとつ、ふたつと瞬き始め、儚きホタル舞う季節…
今年も、夢のような夢幻の世界に出逢いたいと、ただ思う。

IMG_5142_20090602074551.jpg
2009.06.01 Mon l 里山 l COM(0) TB(0) l top ▲