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今日は3連休初日の土曜日。
本当はどこか泊りがけの山行をしたいところだけれどそうも行かず、近場の山歩きをしようということになった。
アイリスは、前日からとても楽しみにしていた。
『おかあさんに任せるよ。おかあさんの行きたい山で良いよ。』と言うアイリスに、わたしはあれこれ考えたけれど、御岳山から大岳山への縦走を選んだ。
大岳山と言えば、奥多摩のシンボルとも言えるくらい特徴的な山容で、どこから見てもすぐに見つけられる山だ。
標高は、1266.5メートル。三頭山(1531メートル)御前山(1405メートル)に続く、奥多摩三山と呼ばれている山だ。
でも、実はわたしも登った事が無いのだった。

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今回も、まずはケーブルで御岳山山頂へ上がった。
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今日は、いつもより早い出だしだ。早朝の御岳山山頂駅は、まだ登山客もまばら。
お土産物屋さんも、シャッターを下ろしたままだった。

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空は抜けるように青い。真夏の空だ!連なる山々に早くも心は躍るのだった。
先日わたしのEos Kissは、故障してしまったので、主人のコンデジを借りてきた。
今日は、アイリスが初マクロに挑戦することになった。
けれど、三脚を忘れてきてしまったので、マクロ撮影は上手く写せるかなぁ…
ちょっと心配です。

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レンゲショウマの咲き具合の偵察もかねて、群生地に寄ってみる事にした。
やはり花期にはまだ早く、レンゲショウマは蕾のままだった。
でも、蕾はいっぱい。花つきは良いような気がするから、花の時期が今から楽しみだ。

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この森は、大きな杉やモミの樹が繁り、どこと無く太古の香りがするのだけれど、これがレンゲショウマの時季になると、たくさんの人々でいっぱいになる。
お花は咲いてないけれど、今の方が良いかななんて思ってしまう。
木洩れ日が射し込む梢では鳥たちが囀り交わし、爽やかな山の朝の空気に包まれた。

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「アイリス、今日は、まず、あのとんがり山の奥の院を目指すよ!」
『はい!了解!まだギンリョウソウに逢えるかなぁ?』
「うん、きっと逢えるよ!」

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古い民家。やっぱり今日も写真を撮ってしまった。

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こんな井戸も、まだ現役だった。

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御岳神社への石段を登り、途中から大岳山方面への登山道に入る。

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奥の院への分岐を曲がるところに天狗の腰掛け杉と呼ばれる巨樹がある。

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そこからの眺めはなかなか良好!

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奥の院へはこんな木の根が横ぎる道を登っていく。

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小さな花が零れていた。
『かわいいね~!何の花?』と、アイリスは梢を見上げる。
「たぶん、ツタの花じゃないかな?」見回しても杉木立ばかりなのでそう思った。
『なるほどね。そうかもしれないね』と、アイリスは頷いた。

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『あっ、きのこ!』  「なんだか、発光してるみたいね!」

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ホタルブクロを見つけたけれど、まだ慣れないコンデジでは、マクロ撮影が上手くできない。

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奥の院を越えて、痩せた岩場を越えて鍋割り山への尾根に出ると、二本の巨木が目に入った。
痩せた尾根に根を張り、道行く登山者を見守っているのね。

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振り返ると、アイリスが小さく見える。

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いつの間にかハルゼミの声が降るように聞こえてきた。
そして、ヒグラシの声も聞こえ始めた。
アイリスは耳を澄ましながら、
『なんとなく、ヒグラシの声を聞いていると懐かしいような物悲しい感じになってくるね。』と呟いた。
「そうだね。ヒグラシの声って夕方に似合うよね。ヒグラシが鳴き始めるのは、お盆の頃って感じもするね。そして、夏の終わりまで鳴いているから晩夏のイメージがあるなぁ…」

『昔の人は、咲く花や虫の声とかで、季節を感じていたのかなぁ…』と、アイリスが言った。
「そうね。こうして自然の中で季節を感じることが出来るのって、きっとすごく贅沢な事だと思うよね。」

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緑のトンネルを抜け…

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木の根っこを乗り越え…

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岩場をよじ登り…

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アイリス頑張る。

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やっと、前方に大岳山の姿を捉えることができた。

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大岳神社の小さな社が、深い森の中の広々とした空間に佇んでいた。
いたるところに巨樹が何本も聳え、山紫陽花の白い花が楚々と咲き、夏草が林床を埋めていた。
天をつく針葉樹の梢から、行く筋もの木洩れ日がスポットライトのように射し込み
きらきらとした青空に渡る風には夏の匂いがした。

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どこからともなく、白い蝶が2頭…ひらひらと舞っている。
わたしたちの周りを、まるでワルツを踊るように、軽やかに柔らかく離れたり寄り添ったりしながら舞っている。
「なんだろう…この空間。すごくいいなぁ…」と、わたしが言えば、
『トトロが眠っている樹の雨露がどこかにありそうな気がするね。』とアイリスも言った。

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この小さな社の脇にある急坂を上り、大岳山山頂を目指す。
ここからの上りがなかなか迫力があるのだった。

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こんな岩場も何回も現れる。段差がキツイので、わたしは少し膝を痛めた。
アイリスは、小柄ながらも上手に攀じ登っていく。ちょっと頼もしくなった。

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急坂を上り詰め、やっと大岳山の山頂に立った。
南面の眺望が良いとガイドブックにはあったが、草が繁茂していて、背伸びしないと見渡せなかった。

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記念撮影(^_^;)

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山頂はとても狭くて、何組かの登者がお弁当を食べていた。
わたしたちも空いている木陰に座って昼食にした。
それにしても暑い・・・持って行ったグレープフルーツが喉にしみた。
あっという間に日陰がなくなってしまうので、早々に下山する事にした。
山頂ではヒョウモンチョウがたくさん舞っていたのだが写真には撮れずじまいだった。
アイリスはちょっぴり残念そうだった。

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大岳神社の広場まで戻った時、アイリスが『あっ!』と声を上げた。
『おかあさん、今ね、あの狛犬が、本物のキツネに見えたの。ふさふさの黄色い毛並みで、こちらを見たのよ。一瞬だったけれど本当よ!』と、目を輝かせる。
「ふふふ、案外そうかも知れないわね。ちょっとだけ、姿を見せてくれたんじゃない?」
わたしは、そう言って、ユニークな形の狛犬の頭を撫ぜた。

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ふたりして、神社にお参りした。
「今日は、sizukuとアイリスが、御世話になりました。」と、トトロの場面を思い出しながら、二人で声を合わせて言ってから、顔を見合わせて笑ってしまった。
さすが親子だね。考えてることが同じだなんて。。。(笑)

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帰りは、来た道を引き返し、奥の院には登らずロックガーデンの側を通って山頂駅へ向かった。

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森影には、こんな花も蕾をいっぱい膨らめていた。

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そして、アイリスが見たがっていたギンリョウソウも咲き残っていた。
もう、少しくたびれてしまっていたけれど、アイリスは、逢えただけで嬉しい!と言っていた。

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「アイリス、今日は疲れたでしょう?でも、また、行く?」と、聞いてみた。
『うん、奥多摩の山をたくさん知りたいの。また連れて行ってください。でも、おかあさんは、他に行きたい山があるんじゃないの?わたしとでいいの?』と、アイリスが言う。
「もちろんよ。アイリスと一緒に歩けるなんて、凄く嬉しいよ。いっぱい歩こうね。今年は、奥多摩の山で体力をつけて、来年は百名山と呼ばれている山を少しづつ登ってみようか?」
ある人から提案された事、「アイリスさんと、百名山を歩く目標を持ってみたら?」と言う言葉を思い出して聞いてみた。
『そうだね、登ってみたいな…わたしの心臓も強くなったことだしね。頑張って手術したのも山に行きたかったからなんだよ…ま、他にも理由はあるけれど…』そう言ってアイリスは悪戯っぽく笑った。
「よーし!次は川乗山に登ろう!」 『はーい!』
心地よい疲労感に包まれて、わたしたちは家路に着いた。

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2008.07.24 Thu l 山と森 l COM(6) TB(0) l top ▲

コメント

びるげの場合
 びるげ家の場合、ラッパと爺婆が山行きをし、昔は、花キャベツが先に行ったり、後から追いかけたりでシャッターを切っては、家族を撮ったり山の花々を撮っていました。今は、黙々と歩く花キャベツ。それを、追いかけつつシャッターを切るラッパです。
2008.07.25 Fri l びるげ. URL l 編集
いいねー母子旅
大岳山の頂上すごく傾斜していますね。
道のりも大変そう! でも楽しそう、伝わってきますよ。
2008.07.25 Fri l ジーク. URL l 編集
狛犬
変わった狛犬だなあと思ってちょっと検索してみたら、ここのはオオカミだとする説もあるみたいですね。狼信仰なる言葉もあるみたいです。それはさておいても、一瞬本物に見えたというあたりはトトロっぽくてよいです!^^
虫や花に心ひかれながら歩く山道の楽しさ、感じる自然の豊かさと素晴らしさ、嬉しく読ませてもらいました。
2008.07.26 Sat l shu. URL l 編集
びるげさんへ
びるげさん、こんばんわ。
ラッパくんの写真は上達したのでしょうね。
お孫さんと一緒に山歩きできる、花キャベツさんとさくらこさんは、きっと喜んでおられることでしょう。
びるげさんも膝の具合が良かったらと残念な想いをされていると思いますが、ラッパくんが、お母さんの代わりに、親孝行をしてくれているのですね。
心優しい息子さんに成長されましたね(*^_^*)
2008.07.27 Sun l sizuku. URL l 編集
ジークさんへ
ジークさん、こんばんわ(*^_^*)
そうですね。さすがに最後の山頂までの登りはきつかったです。
道のりは、奥の院を通らなければ、それほどの傾斜はありませんでしたが、結構長いです(^_^;)
母娘の道中は、おしゃべりが多いです(笑)鳥を見たり花を見たりの珍道中です。
アイリスもだいぶ山女らしくなってきましたよ。
2008.07.27 Sun l sizuku. URL l 編集
しゅうさんへ
しゅうさん、こんばんわ(*^_^*)
狼信仰ですか。調べてくださったのですね。
そう言えば、御岳山にはお犬様信仰と言うのがあるそうです。ちゃんと読んでいませんでしたが、昔、一匹の犬が現れて道案内をしてくれたとか書いてありました。
御岳神社には、いろんな犬のかたちの狛犬がありました。狼に似ているものもありましたので、犬
=狼なのかもしれません。今度、御岳山に行ったら、もう一度ちゃんと読んでみますね。(*^_^*)
アイリスは、やっぱりまだ若いので、瑞々しい感性をしているみたいです。子供と一緒に歩いているとそんな感性に驚かされ、気づかされる事が多々ありますね。
奥多摩の山は低山でこの時季は、高山植物のような可憐な花も咲きません、花もそんなにありませんが、自然はたくさんあるように思います。
大げさなブログですが、読んでいただいて嬉しいです。
2008.07.27 Sun l sizuku. URL l 編集

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