8月12日〜25日の期間で、銀座松屋で、熊田千佳慕さんの絵画展が開催されていた。昆虫を細かく観察した精密画で知られる画家で、日本のプチファラーブルと世界でも賞賛されている。
今年で99歳になられたが、いまだ眼鏡は使わずに絵筆を握る。
幼い頃、病弱で、虫と遊ぶのが好きだったそうだ。父親から教えてもらったファーブル昆虫記が愛読書で、いつしか自分の絵でファーブル昆虫記を書いてみたいと思うようになっという。
60歳ごろから描き始めたファーブル昆虫記の昆虫の絵がライフワークとなり99歳になった現在も描き続けている。
良く観察し、見極めてはじめて書き始めるという絵は、細い筆の筆先の毛数本のみで描かれ、1枚を書き上げるのに3年を要することもあり、緻密でリアルな画法と美しい色彩にあふれた表現力が素晴らしい。
熊田さんの絵は、とてもリアルなのに、なぜかとてもファンタジックで、その不思議な美しさと、優しさと温かさに、まるで魔法のように観るものを惹きつけて止まない。
わたしもまた、熊田さんの魔法にかかったひとりなのだった。
熊田さんの絵画展が開催されることを知って、絶対に行こうと心に決めていた。

8月12日、絵画展初日、わたしは久しぶりに都心へと向かった。
今日は銀座の絵画展のあと、浅草界隈を歩いてみるつもりだった。
くまちかさん(熊田千佳慕さんの愛称)の絵画展は、開場と同時に、大勢の人々が訪れた。改めてくまちかさんの人気を物語っていると思った。
わりとご年配の方が多かったように思う。みなさん、それぞれの作品の前で足を止め見入っていた。
わたしも、一つ一つの作品を、じっくりと鑑賞することができた。
どの作品にも、虫に対する溢れる愛情と細やかな観察眼の賜物のリアリズムが、まるで生きているように生き生きと描かれていた。
絵本作家としても知られていて、代表作に、“ミツバチマーヤの冒険”“不思議の国のアリス”“オズの魔法使い”“ピノキオ”“ライオンのめがね”などがあり、それらの挿絵も展示されていて、丁寧に描きこまれた精密画の手法で、メルヘンの世界を作り出しているような気がした。子供たちに夢を与えてくれる素晴らしい挿絵だった。
もしかしたら、わたしも子供の頃、そのどれかの絵本に出逢っているような気がするのだけれど、はっきり覚えていないが残念だった。
約2時間かけてじっくりと作品を鑑賞した。こんなにゆっくりと一つ一つの絵を鑑賞したのは久しぶりのことだった。
そして、会場で上映されていたくまちかさんのビデオも拝見した。
横浜の郊外に借りた古い小さな民家、6畳一間の小さな部屋で寝起きし、それがくまちかさんのアトリエだった。飾らない質素な暮らし向き、清貧という言葉が浮かんだ。
奥様もご高齢だが、共にお元気で暮らしている。
くまちかさんの部屋には網戸がない。一年中開けておくから、いつもいろんな虫が遊びにやってくる。
夜になれば、部屋の明かりに引かれて、甲虫たちもやってくる。
「灯りの周りをくるくる廻っているうちに、ほら、目を回して落っこちてしまうんですよ」と言いながら、愛おしそうに指でカナブンの背中を撫でる。そんな仕草がなんとも自然体で素敵なお二人だった。
90歳の頃、奥様のご病気で一時、絵が全く描けない時期があったという。
その時を振り返って千佳慕さんは、穏やかに語った。
『誰でも、人生の中でそのような時期があるものです。それは、神様がお与えになった試練の時なのだと考えます。その時期を一生懸命頑張って乗り越えた時、後は、面白いように絵が描けるようになりました。』
わたしは、その言葉を聞いて、千佳慕さんの絵が、こんなにも人の心を惹きつけて止まないのか判るような気がしたのだった。
千佳慕さんの絵には、生き生きとした命の輝きが溢れていて、その輝きが見る人の心に生きる勇気と愛を与えてくれているような気がした。
とても充実した良い時間を過ごした。今日の目的は、もう、半分以上叶い、後はおまけのようなものだと思いながら、地下鉄で浅草へ出た。
浅草に来るのは何年ぶりだろう。浅草寺界隈は、相変わらずの賑わいだった。

雷門のこの大きな提灯は、下町という雰囲気を感じてとても好きだ。




仲見世のアーケード街に軒を連ねる、昔ながらお店。

どのお店も、古い佇まい。今では懐かしい雰囲気だけれど、昔は活気に満ち溢れていたのだろうなと感じた。今も観光客の大勢の人の流れを見ていると活気があっていいものだ。
夏らしいとても暑い日だった。アーケードの屋根に木立の影が映りこむ。


五重塔に、陽射しが動く。

久々に夏らしい青空に輝く

境内は大勢の人々で賑わっている。


屋台のお店もいくつか出ていて、下町のお祭り情緒もあったりして…

浅草寺は改装中だったが、屋内はお参りすることが出来た。
天井に書かれた天女や龍、鳳凰の絵が美しい。

鳴き龍かな?

荘厳な感じのする祭壇?(何と言うのだろう?知識がなくて…)
大寺院の風格がある。

何本もの柱には、小さな灯りがともる。

浅草寺を後にして、下町散歩に出かけた。

ジャパーニーズ・オープンカフェみたいな、出店が続く裏通り。

いきのいいおにいさん、おねえさんたちが、呼び込みをしていた。
『休んでいきなよ!ビールが冷えてるよ!』
屋台で乾杯する人も、食事する人も、みな朗らかでたのしそう!

「天国」なんて、ホットドック(*^_^*)

寄席があるのも、浅草らしいな。

浴衣姿の娘さんたちを乗せた人力車の青年。なかなか風情がある。


快活な感じの娘さんたちもまた、粋です。

おや?街角になにやら懐かしいお顔の看板がいっぱい。

デンスケさんをご存知の方もいらっしゃると思う。、子供の頃、お昼頃のテレビで、でん助劇場と言うのをやっていた。懐かしい。


花屋の店先で、立ち止まる。

ブーゲンビリアのビビットなピンク

ガーベラの元気なオレンジ

海のような青いリンドウ

太陽のようなヒマワリ

水上バスを見たくて…

桟橋に向かう

青空に聳えるビルと、首都高

○○○ビールだったかな?

水面の光がゆらゆらと水上バスの下を流れる。

時間が来て、水上バスはゆっくりと川を走っていった。

水上バスの中から僕を見つけて
観光客に混じって笑って手を振る
そんな透き通った景色を
僕の全部で守りたいと思った …♪ミスチルの歌を口ずさんだ。

カモメは高いビルまでも上昇していった。

波間に浮かぶカモメも…

いつか水上バスに乗ってこの川を遡ってみたい。